「防災小説」にチャレンジ
ついにその日がやってきた。
我が家は海岸から約700メートル、海抜7.4メートルに建つ築25年の木造3階の戸建て。一階には歩行器や手摺を伝って生活する老親(96と95)、2階3階に我々夫婦と次女が暮らす。長女は武蔵小杉だ。
3階の自室で寝ていると、尋常でない「抗いようのない揺れ」に目を覚ました。スマホの緊急地震速報が鳴らないのは「午後11時から午前7時まで電断となるセッティングをしている」からだ。遮光カーテンの上端が明かるくないので、夜明け前と分かる。
亀のように体を丸く