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スポーツ科学によるVBTの効果についての新たな証明

VBTは、より少ないトレーニング量でより大きなトレーニング効果が得られる

VBT vs PBTの比較トレーニング研究の結果が公表されました

ウェイトトレーニングにおけるリフティングスピードをリアルタイムでフィードバックし、目標スピードから外れたらそれ以上の反復を停止して、次のセットから負荷質量を調節するというVelocity Based Training(VBT)と、あらかじめ決められた1RMに対するパーセンテージの負荷質量で、規定のレップ数とセット数を続けるPercent Based Training(PBT)を直接比較したイギリスの研究グループによる研究結果が速報で公表されました。Journal of Strength and Conditioning Researchという研究雑誌に近日中に掲載予定です。

被験者は少なくとも2年以上のトレーニング経験があり、直近6か月間においてもウェイトトレーニングを継続していた平均年齢22.8歳の男子20名。バックスクワット、ベンチプレス、オーバーヘッドプレス、デッドリフトを、週に2回6週間にわたってトレーニングを実施しました。VBT群もPBT群も、変動的なピリオダイゼーションプログラムを用い、70~90%1RMで2~8repsを3セット行いました。PBT群があらかじめ設定した通りの負荷質量とレップ数でトレーニングを進めたのに対して、VBT群はリフティングスピードを1レップ毎にGymAwareを用いてリアルタイムでモニターし、あらかじめ設定されたリフティングスピードを20%上回ったり、下回った時は、そのセットを中断し、次のセットから負荷質量を調整しました。

その結果、スクワットの1RMはVBT群が有意に9%向上させたのに対してPBT群も有意に8%向上させ向上率には両群で有意差はありませんでしたが、ベンチプレスはVBT群が8%に対してPBTは4%でVBT群のほうが有意に大きな向上率を示しました。オーバーヘッドプレスではVBT群が6%、PBT群が6%と同じ有意な向上率を示し、その差には有意差がありませんでしたが、デッドリフトではVBT群のみ6%の有意な向上が示されました。さらに垂直跳の跳躍高は、VBT群のみが有意に5%の向上率を示しました。

さらに興味深いことに、レップ数×セット数×%1RMで計算されたトレーニング期間全体を通したトレーニング量は、VBT群がPBT群に対してスクワットで9%、ベンチプレスで6%、オーバーヘッドプレスで6%少ないことが明らかとされました。

以上のことから、ウェイトトレーニングにおいて、リフティングスピードを1レップ毎に測ってモニタリングすることにより、レップ数と負荷質量をコントロールできれば、従来のPBTよりも大きなトレーニング効果がより少ないトレーニング量で得られることが明らかである、と結論づけられています。

VBTのPBTに対する優位性はこれまでもいくつかの研究で示されてきましたが、トレーニング経験を積んだ被験者に対し、基本的に同一の負荷質量、セット数で直接比較した研究は初めてで、今後、実際のトレーニング指導においてVBTを積極的に導入していくことの有効性がまた新たに証明されたことになります。

【参考文献】

Dorrell, H. F., Smith, M. F., & Gee, T. I. (2020). Comparison of velocity-based and traditional percentage-based loading methods on maximal strength and power adaptations. The Journal of Strength & Conditioning Research, 34(1), 46-53.

このトレーニング研究で使用されたGymAwareという測定・モニタリング機器についての詳細はこちら:
http://sandcplanning.com/solution/category/detail/?cd=1

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