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情報のオープン化ができない会社の本当の理由

保有する情報をどれだけ有効活用できるかが組織の浮沈を決める大きな要素になってきた。
もともとはアマゾンやアップルなどの米国企業が、個人の購買履歴を活用して顧客の囲い込みを行っていた。
その結果、アマゾンやアップルで継続購入することがラクだと消費者が感じるようになった。

日本においてもコロナによってこの流れは一気に加速した。
事務所に行って仕事ができない、みんなが集まって会議ができない、今までの営業スタイルが成立しない。
このような制約条件が発生したため、否応なくデジタル化や情報の有効活用が必要になった。

日本企業の多くは、社長をトップとして取締役、執行役員、部長と役職者がおり、階層ごとに会議を行う。取締役会でしか議論されない話題や、部長までしか伝わっていない情報があるのは当たり前だ。
役職者は情報を持っていることで優位に立つことができた。部下が知らない情報を使って部内をコントロールすることで自分が優位に立つことができた。

しかし世の中は変わった。
集まっての会議を開くことができなくなったので、情報の囲い込みができなくなった。消費者の動きが急激に変化したので、今までのやり方が通用しなくなった。新しいやり方を試すためには、最新の情報を全社員が知ることが必要になった。

世の中の変化に対して会社がどこまで対応できるか。
誰かがではなく、役職者がではなく、どこかの部署がではなく、会社全体として対応することができるか。これが今の時代において成長できるかどうかの分水嶺である。
会社全体で対応するためには全社員が同じ情報を共有することが必要になる。一部の人の考えが世の中に通用する時代ではなくなった。そのためにはできるだけ情報をオープンにし、誰でもいつでも情報にアクセスできる組織にしなければならない。

そのような組織に変えるとき、抵抗勢力は役職者であり、役員であり、時には社長自身になる。情報の共有は必要だと口にしながら、いざ取り掛かろうとすると、そこまでの情報を開示する必要はないと抵抗する。総論賛成、各論反対の典型例である。
今まで自分だけが情報を持つことによって優位性が保たれていたのだから、それがなくなることへの怖さがあるのだろう。部下と同じ情報量で考えてアイデアを出すことに自信がないのだろう。情報の有無による優位性とはとても大きなものである。

コロナによって日本企業の常識は崩れてきた。
情報をオープンにすることによって、パンドラの箱が開かれたのかもしれない。今までの役職者は実力があったのではなく、ただ情報を持っていただけなのかもしれない。役職者の存在理由をも考えさせられる情報のオープン化。
ここに取り組む企業は相当の勇気と自信がなければできないだろう。なぜなら役職者の存在価値が落ちることにもつながるのだから。自分で自分の首を絞めることになるかもしれない情報のオープン化。覚悟を持って取り組むリーダーが存在するかが組織の浮沈を決める。

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