労働人口減少に対する考え方の違和感

10月3日(木)、BSテレ東「日経NEXT」で労働人口の減少にどうやって対応していくかの特集を放送していました。

労働人口減少への3つの対策

対応策は以下の3点です。
①外国人労働者の受け入れ
②女性労働者の待遇
③高齢者の雇用継続

労働人口を減らさないための3つの対策です。
これは、政府が旗を振り、経済団体も支持をしています。

もちろんその通りなのですが、私は大きな違和感があります。

その違和感とは、
権力者や既得権益者の都合で動いていないか?
ということです。

どういうことか説明します。

①外国人労働者

日本の人口が減少していく中で必要なことでしょう。
でも、
入国する外国人に権力者は何を求めているのでしょう?

新たな価値を生み出すような仕事をしてほしいのか?
それとも歯車の一部としてがむしゃらに働いてほしいのか?

ということです。

今までは、外国人労働者を工場や農場などで、肉体労働者として働かせていました。
しかし、今の日本は世界と比べると賃金が低下しています。
同じ肉体労働をやるならば、もっと賃金の高いところ、そして言葉が通じるところで働きたいと考えていると思います。
そのような現実を権力者はどこまで直視しているのでしょうか?

そしてもう一つの問題。
治安です。

令和5年における技能実習生の失踪者数は9,753人でした。
1万人近くの外国人が行方不明になっている。
これはかなり不安です。こんなにも多くの外国人が失踪しているのに、国としてどんな対策を行っているのでしょうか?どのような法整備をしているのでしょうか?警察官を増やしているのでしょうか?
何もやっていないのが現状だと思います。

1万人近くの失踪者がいるにもかかわらず、外国人労働者を増やそうとする経済団体。まずは国の安全を守ってからではないでしょうか?
順番が逆だと思います。
国の安全を守るのは政府の役目だと言いたいのかもしれません。
それはおっしゃる通りです。
でも、大きな票田である経済団体から外国人労働者の受け入れ増加を提言されれば、国会議員は我先に取り組むでしょう。
国民の生活を守るのは後回しになってしまいます。

②女性労働者の待遇

男女雇用機会均等法が施行されて40年近く経過しました。
働く女性、働く母親は当たり前の社会になりました。
では、管理職に就く女性、取締役である女性は当たり前になったでしょうか?
まだまだです。

女性が管理職になる、取締役になると驚かれます。
「初の女性社長」
という見出しが新聞記事になることもあります。
それくらい女性が働くことが当たり前になっても、女性が出世することには大きな壁があります。

その一つの要因は、出産・育児における一時的な休職があるでしょう。
女性が休職している間に、同期の男性はたくさん働いて出世します。
出産・育児の時期と、体力も知力も最盛期の年代がかぶっていることも大きいのでしょう。
この時期にアピールできないことは大きなマイナス要因です。

そしてもう一つの要因は、女性に期待することがアップデートされていないことでしょう。
組織の空気を柔らかくしてほしい、笑顔で明るく振る舞ってほしい、意見を言うのではなく自分の考えに従ってほしい。
このように思っている上役はまだまだ一定数います。
会社によっては大多数がこのような考え方を持っています。
その期待に反した行動をすると、その人の評価は下がります。
結果的に、思い切ったことのできない女性労働者が増えてしまいます。

③高齢者の継続雇用

医学の進歩により、高齢者の定義を変えなければいけません。健康寿命は明らかに延びています。これは間違いないことでしょう。
だから定年を引き延ばす。働けるうちは働いてもらう。
間違ってはいません。
ただ、どうなのでしょうか?
医学の進歩により体力的には元気な高齢者が増えました。
一方で、脳の寿命は延びたのでしょうか?

新しい発想、柔軟な考え方、前例にとらわれない、決断。

これはどうしても年齢を重ねるにつれて衰えてしまいます。
この事実を見逃してはいけません。

そしてさらに悪いことは、
自分を守る、意固地になる、最近の若い者はと言う。
老害と表現されるものです。

こんな人ばかりが会社にいると、もう組織は機能しません。
高齢者を雇うことはかまいませんが、ポジションをどうするかはしっかりと考えなければなりません。

間違ってはいないがやることがある

このように労働人口の減少に対する対策は間違ってはいません。
この3つしか今のところ手を打てないでしょう。
でも、この3つに対する考え方を改めなければ、新たな問題を引き起こします。
そして権力者や既得権益者にとっては、新たな問題は見て見ぬふりをすればそれで済みます。
これが私の思う違和感です。

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