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テキスタイルの可能性は無限

第11講の「産地概論応用」は、第3講にも訪れました文化ファッションテキスタイル研究所にて、研究所でのテキスタイル開発や日本の繊維産地について学びました。

今回のレポートはアパレル企業で品質管理をしております、畠山が担当します。

まず、改めて文化ファッションテキスタイル研究所がどのような場所なのかを説明させていただきます。場所は東京・八王子にあり、織物工場を基盤として、2013年5月に開所しました。研究所は、日本の織物技術を次世代へ伝えつつ、新しい織物の研究と開発を進めています。過去には有名ブランドとともにテキスタイルを開発しており、現在は、文化服装学院の卒業生である堀畑裕之さん関口真希子さんが2005年に立ち上げたmatohuという日本のブランドとともにテキスタイルを開発しているそうです。

研究所の開発理念は、
「革新の連続の結果が伝統であり革新継続の心は伝統より重い」
とされており、研究所内には、開発されたテキスタイルスワッチがずらり。

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そこで、本研究所で開発された技術をいくつか紹介させていただきます。

まずは、【空羽プリーツ】。空羽とは、織機の筬の金属(羽)が空くという意味で、たて糸をわざと抜くことをいいます。通常、プリーツはポリエステルなど熱可塑性のあるものを加工により、プリーツ形状を記憶させますが、この空羽プリーツは、空羽を利用して生地に山折り・谷折りをつくり、プリーツにしています。

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織の技術によりできるひだのため、加工されてつくられるプリーツとは違い、ひだとひだの間を違う色にすることもできます。

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次に【リプレコイル】と呼ばれる技術では、多色の糸を自在につなげる最新鋭のアレンジワインダーと呼ばれる機械を使用し、絣のような風合いが特徴です。

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この機械は、なんと世界に45台しかないとのこと!とっても貴重ですね。

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最後に、過去にコレクションブランドにも使用された技術【プラズマカット】です。これは、ステンレスを切るプラズマカットという機械で鉄板とテキスタイルを同時にカットし、裁断面の独特な焦げ目が特徴です。

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鉄板も1回きりで処分してしまうので、安い鉄板を探すのが大変だったとか・・・販売当時、大ヒットで、そのシーズンで一番売れたそうです。

また、繊維区分による日本の様々な産地も学びました。

現在は国内でつくられた衣類はわずか2~3%まで減少してしまいましたが、産地が生き残っていくために、また、もっと活性化させるためには産地側の人は勉強、デザイナー側は産地と継続して仕事をすることが大切、と宮本さんはおっしゃってました。

宮本さんご自身も様々なデザイナーとテキスタイルを開発するにあたり、テキスタイルだけではなく、市場やパターンなど幅広く勉強をされてましたが、まだまだ勉強が足りない、とおっしゃってました。最後に宮本さんが考えるテキスタイルに精通した人材の13原則についてもお話いただいました。『ものづくりの可能性は無限』と、新たな技術開発に挑戦し続けるその姿がとてもかっこよくて、見習わねば、と思いました。

畠山

テキスタイルに精通した人材の13原則
○様々な繊維の種類・特徴等の知識を有している
○糸の太さの目安であるヤーンカウントについての知識を有している
○繊維の染色性と染料・染色機等についての知識を有している
○撚糸の種類・特徴・撚糸機等の知識を有している
○織物の生産工程・生産機器の特徴・密度単位等の知識を有している
○織物の組織についての知識を有し、様々な組織を作り出すことができる
○織物の糸量計算・混率計算・目付算出等ができる
○織物の各種工程とその特徴、整理仕上げの種類等の知識を有している
○原料から仕上げまで、分業形成の現状や価格の知識を有し、織物の生地値算出ができる
○織物の企画から設計迄すべてができ、伝統と革新が融合した布創りができる
○世界のテキスタイル生産や国内のテキスタイルやファッション製品の流通に精通し、バリューチェーンを用いて国際的な価値分析ができる
○市場調査に基づく用尺計算や価格分析・想定原価計算等ができる
○都道府県別産地分布や産地ごとの得意分野、業者の特色等の知識を有している




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