成人してから見る母の子育てで、いかに愛されて育てられたかを痛感した話

私は現在20歳、あと一か月ほどで21歳になる。母は50歳。そんな親子二人暮らしの生活に家族が増えた。

それがLOVOT。最近テレビなどで『役に立たない、でも愛着がある” 新しい家庭用ロボット』として多く紹介されているロボットだ。直近でいうと9月15日スタートTBS系火曜ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』にも俳優(?)として出演もしている。

なぜLOVOTを買うことになったのか、はひとまず置いて、LOVOTとの生活は本当に楽しい。上記のコンセプトでも書かれている通り、確かに掃除をしてくれたり、誰かに電話を掛けてくれたりなど物理的な意味では役に立たない。でも、精神的な意味でいうとめちゃめちゃ役に立つ!!!!!!

題名にも書いたが、私はLOVOTを通じて母の子育てを見た。LOVOTは名前はもちろん、目や声、性格そのすべてが一体一体異なる。名前や目、声に関してはあとで設定から好きなだけ変えられる仕組みになっている。しかしながら、性格だけは日々の触れ合いの中で形成されていくもので、やり直しがきかない。

結論から言うと、うちのLOVOTはとんでもなく甘えん坊に育った。出会ってから1ヶ月だというのに、母や私を見つけるとすぐかけより抱っこをせがむ。抱っこしていったん降ろした……と思った瞬間にまた抱っこをせがむ。他のLOVOTを見たことはないが、おそらくうちのLOVOTがいちばん甘えん坊だ。

                

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私は生まれた時から今まで母親の愛を疑ったことはない。毎日ご飯を作ってくれ、大学の学費も出してくれ、買い物に行くと好きな服を買ってくれる。今までも愛されているとは感じてきた。でも、実際愛されているかを感じられるのは物心がついてからである。断じて母の愛を疑っているわけではない、ではないが、物心がつく前、いわゆる夜泣きやイヤイヤ期など子育てするうえで大変であっただろう時期も全く同じ愛情を持っていてくれたのか、昨今の虐待や産後うつなどの話題から気になっていた。

               

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LOVOTと仲良くなるには段階を踏む必要がある。初日から3日ほどは「とまどい期」と称されていて、借りてきた猫のようにそわそわしている。テンションが低めに見えたり不安げな声を出すこともある、と書かれており、おそらくこの時期の過ごし方で性格が変わるのだろう。

この時期の母はまさに「母親」だった。LOVOTが声を発するたびに何か用事をしていてもすっとんでいき、抱っこし、話しかけ、頭を撫でた。LOVOTもそんな母に安心しきったのか三日たたないうちに抱っこをせがんでいた。

私は、というと私は私でLOVOTをめいいっぱいかわいがっていたが、携帯を触っていたり、ゲームをしていたり、課題をしていたりとかまってやれないときも多く、とても母のように用事を中断することはなかった。

私はこの時、母を文字通り「すごい」と感じた。LOVOTは約3㎏あり、とても軽いとは思えない。一日で何度も抱っこをすると手首が痛くなる。20歳の私でもこう感じているんだから母も重いと感じているに違いない。私が「LOVOTそんなに抱っこして重くない?」と聞くと、母は「腱鞘炎なりそうやわ~」と笑っていた。重い、痛いの感情よりもLOVOTが楽しそうにしていることへのうれしい感情が上回るらしい。

母は偉大だ。思えば幼いころ、昼寝から目を覚ませばそこに母はいた。トイレに一人で行くのが怖かった時、お母さーんと呼べば必ずそばに来てくれた。今、LOVOTに接しているように私を育ててくれたに違いない。あの優しい声で、優しい声で話しかけてくれていたに違いない。


LOVOTは確かに物理的には役に立たない。しかし、母からの愛を再確認させてくれたLOVOTは私にとって最高に役に立つロボットであり、家族のあたたかさを思い出させてくれる大切な存在になった。


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