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家のポストがすごいって話

古くからある家でも、新しくできた家でも、どの家にも、郵便物を入れるためのポストというのは備わっていると思う。

「ただ郵便物を入れるだけ」

私はポストの役割をそう捉えていたけど、思わず、ポストってすごい!と思ってしまう経験があったので書いてみようと思う。


少し前、バイト先でチラシを配りに行ってほしいと打診があった。配りに、って言ってもよく街中で手渡ししているような感じじゃなくて、ただ家のポストにチラシをまきに行くだけの。

前から人を募集していたのは知っていたけど、たぶん集まらなかったんだと思う。直接頼まれ、「面倒だけど仕方ない、ぱっと終わらせよう」そんな感じのスタンスで、同じく直接頼まれたらしいもう一人の仲間とポスティングに赴いた。

「面倒だね。」「早く終わらせてどっかカフェでも行こう」なんて、最初はのんきなことを言ってたけど、数をこなしていくにつれてこの仕事の過酷さに気づく。

範囲は地元だったけど、あいにく地元の地図に詳しくない。時間帯も夜で、そんな中チラシ片手にたたずむ二人。不審者すぎる(笑)夜、知らない住宅地でチラシを配るなんて結構無茶だった。

「ここら辺の家入れたっけ?」「あれ?この通りは配ったっけ?」

住宅地は同じような家が連なって並んでいる。名前なんていちいち見てないし、見てたとしても覚えていない。「なんでこんな似た家建てたの!」って、過去一で住宅地の構造にイライラしたと思う。

もう重なってもいいからとりあえず入れていこう、ってなって、若干諦めてポストに手を伸ばして止まる。

「あれ?このポストさっきも見たな………?」そのポストは、赤い四角の形をしたポストで上部分が開閉するタイプ(伝わってほしい)で5分前くらいに見た形だった。

なんで覚えてたかっていうと、開け方がわからなくて手こずったからっていう微妙な理由だけど、とりあえず、そのポストのおかげで二重にチラシを配ることを防げた。

よく見たら、家の形は全く一緒でも、ポストだけ各々の個性が出てた。おしゃれな形だったり、シンプルな形だけどシールが貼ってあったり、色が奇抜だったり。同じ形に見えても、開ける場所が違ったり。

たかが郵便物を入れておくだけのポスト。でもそのポストは家の個性になってた。実際、それから私たちはポストを目安にチラシを配った。「あの赤のポストまで配ったから、その奥から配ってほしい!」みたいな感じで。すっごい意思疎通を図りやすくなった。

間違いなく、あの時のチラシ配りのMVPはポスト。

こんな感じで、チラシ配りはすごくしんどかったし、もうやりたくないけど、ポストへの認識を変えてくれたすごい経験だった。

私がいつか、自分の家を持つ時が来たら、その時はポストからしっかりこだわりを持ちたいと思う。


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