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NOTO(石川県能登)旅Day3

輪島キリモト(輪島塗)工房見学で伝統工芸の「現実」を知る

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里山まるごとホテルの山本さんに教えてもらって、輪島塗の老舗「輪島キリモト」の工房にお邪魔してきました。電話で予約すると概要を30分くらいで説明しますね~と。何気ない気持ちで朝一工房に向かうと、キリモトの奥様が迎えてくれた。話すこと約2時間・・・あまりにもお話しが壮絶でかつ課題感を持たれており、聞きこんでしまいました。

輪島塗と言えば高級品中の高級品、石川の人でも普段の食事では絶対に使わず、大事に棚にしまってあったものを出して、お正月など特別な時のみに使う品物です。ところが、このような高級品、美術品となった原因はバブル時代にあったそう。質が良く美しいということで、お金持ちがどんどん買い、美術品として愛でるデザインとして確立されていっった。それ以前は、みんな普段の食事にガンガン使っていたみたいで、とにかく頑丈だから一度買ったら絶対に壊れない、もしくは修理できるため一生ものの漆器だったそうです。

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全国各地共通の課題だけど、伝統工芸の絶滅。。。本当に深刻だけど輪島塗も生き残りのためにめちゃくちゃ頑張ってました。美術品のままだと滅びる。だから、漆器をあるべき昔の姿に戻そう「漆器を日用品として」をコンセプトに現代表がプロダクトデザインの観点から、今の若い人にも受け入れられるスタイリッシュで普段使いできる漆器を制作されています。

工房見学の後に、輪島の朝一にあるキリモトさんのショップに行って、伝統工芸とは思えないデザインに驚きました。私が知っている輪島塗ではなかったから。そして輪島塗の機能性や危機の話も聞いた上で(かなり期待値上がってる)何か購入しようかなと思っていました。

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が、しかし・・やはり予想を超えたお値段にひるんでしまった私たちでした。私は料理が大好きだし、器もけっこうこだわりたい。だがお椀一つ18,000円~ううう高い。そうだ!相対的に考えてみよう!一着18,000円のコートなら逆に安って思って買う。でもそのコートは来て3シーズンくらいかと。でも輪島塗は一生もので、毎日飲むお味噌汁が美味しく感じられるかもしれない!!と思うと、高くないかもしれない?と悩む私です。もう少し稼いで身の丈に合うようになったら、購入しようと思います(笑)

私のようなミレニアム世代は、使い捨ての安いものよりサスティナブルでずっと使えるものを好むから、その世代に向けて発信していきたいと。非常に的を射てる。大事なことは、私たちが輪島塗を楽に買えるくらいの収入を得るまでに、なんらかの接点を持ってもらい興味を持ってもらうことだなと。

既に、キリモトさんは東京でワークショップをやったり、工房見学を積極的にやっておられるので、じわじわと爆発すればいいなーーと思いながらも、あの値段はやはり一部の富裕層向けになるのかなーとか。少しもんもんと考えていましたが、とにかく産業が続いてほしいなと切に思ったのでした。

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輪島塗は、恐るべし124もの手作業の工程を経て、職人が分業で一つの製品を作ります。確かに高級品ですが、それにはちゃんと理由があります。
多くの工程を経て完成した輪島塗は、堅牢優美、とても頑丈です。

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比較的若い職人さんにお会いできました。輪島塗に惚れて職人になったそうですが、周りの若者のような華やかな生活はできないのが今の伝統工芸職人の現実と言っていました。また、近年たくさんの輪島塗工房が閉鎖されています。伝統工芸を残したいけど、生活ができないならやめるしかない・・・と。そんな業界で彼らを養うには絶対に絶滅させるわけにはいかない!!とキリモトの奥様は熱く語ってくれました。

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ベテラン職人の技。しゃべっている時は普通のおじさんなんだけど、、、彫り始めると、空気が変わりましたね。スーッと見ているこちらも気合が入る感覚。伝統工芸の不思議でした。

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キリモトさんに長居しすぎて、輪島の朝市は昼になってしまったので、残念ながら新鮮なお魚はありませんでした(笑)でも、石川名物のえがら饅頭やばぁちゃんが作った赤飯おにぎりはとっても美味しく満足しました。朝市は、やはり朝一(8時~)に行きましょう(笑)

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まるで天空テラス~85歳のガイドと登るユネスコ認定アマメハギの里山~

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こちらも、Webサイトや観光ガイドには一切載ってない場所。その名もヒデっ坂。でも実は、この里山に伝わる「あまめはぎ」は秋田のなまはげと同様にユネスコ無形文化遺産に登録されたそう。まさか能登の奥地にそんなすげー場所があったとは・・・ゆうか庵の女将が教えてくれました。ただ、地元の人も知らないこの低山は、標識や道が整備されておらず単独で登るのは難しいので、案内人の天野さんに特別にコンタクトを取ってもらいご一緒することに。

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その昔…遡ること約2千万年前、日本海側で火山活動が起き、日本海が開いて日本列島の原型が誕生。その火山灰、砂などあらゆるものが蓄積し、凝灰岩の山となったのがこの『ヒデッ坂』。日本のカッパドキアともいわれる。

『ヒデッ坂』は上杉謙信の戦国時代より前から、村から村への尾根道として使われていた。名前の由来は坂が「ヒデー/ひどく」急だったことから『ヒデッ坂』となった。

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山道も、まるでトトロの小道のようで(整備されてないから枝とかぬかるみが多く険しいが)気持ちぃぃぃぃ!!案内人の天野さんがめちゃくちゃ歩くの速いもんで、ついていくのに必死wwwお年を聞いてみると、なんと85歳。腰も全然曲がっておらず、すたすたと歩いてたーくさんのことを説明してくれます。知識量もすごい。そして巴御前が大好きらしく会話の6割はその話でした。歴史がわからない私たちはチンプンカンプンでしたが、天野さんの気持ちだけは伝わって面白かったです(笑)

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こりゃーーー写真じゃあ伝わらないんすわー。まさに天空テラス。空気が乾いており、周りが凝灰岩のためが音を吸収しシーンっと静まり返っています。日本じゃないみたい。むしろ、ココが地球の中心か?と感じる不思議な感覚を味わいました。

帰りに自宅まで招いてくれた天野さん。過疎化を食い止めるために、このヒデっ坂の凝灰岩を大きくくり抜いて空洞にし、ディスコやクラブのような音を爆音で鳴らす施設にしたらどうか?なんて提案を自治体にしたことがあるとか?!それ聞いて、え?マジで?この人天才じゃん!てかそれマジでやりたい!と思ったのでした(笑)超ファンキーな85歳でした。

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帰り道に歩いた田園の道が綺麗すぎた!!時の流れがとてもゆっくりでした。こんな風景の中、毎日ランできたらどんだけ気持ちいいか~~~

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五感でノックアウト♡発酵イタリアンの宿ふらっと

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最後の宿は、情熱大陸をはじめテレビや雑誌で紹介される能登の有名宿「ふらっと」に泊まりました。私は有名という所より、能登の地元食材を使った発酵イタリアンというWordに引っかかりました。

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結論、最高の宿でした。今まで泊まった宿で最高かもしれない。高級とか見栄えがいいとか、温泉が豪華とかそーゆーんじゃなく。空気や雰囲気、身体と心の感覚がすごくベストな状態に持ってかれる感じ。ってすごくフワッとしてますが、んーつまり写真の10倍いいってこと。

お部屋の大きな窓から、桜と海が見渡せるお庭がパノラマでみえます。こたつがあって、お茶は自家製の杜仲茶。身も心もホッとしました。

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夕食のメニュは、もっぱら能登食材のみを使った発酵イタリアン。料理の一つ一つが丁寧に作られており、今まで食べたことのない味のものもたくさん。

目に留まったのは、絶対一点ものだ!てすぐわかるような作品のような器たち。料理を抜群に引き立ててくれるだけではなく、器だけも見惚れてしまいました。

しかも食事が終わった後に、オーナーシェフのベンさんが一組ずつ席をまわって挨拶とおしゃべりをしに来ます。都会のプライベートな超高級店ならこういうのもあるかもしれないけど、ココは能登(笑)大の音楽好きらしく、サマソニやフジロックは最前列で飛び跳ねるとのことw。楽しいひと時でした

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希少価値が高いどんこ椎茸のステーキon パルメジャーノレッジャーノが一番絶品だったかな。

あと、イワシにフリットに付けるジェノベーゼソースならぬ青じそのソースが爽やかで揚げ物の脂っこさを中和してくれました。

全て近くで採れた野菜やお魚を使っていると思うと、本当に安心だし、まさにその土地に旅しに来てるって感じ♪気持ちがいいです。

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リビングに置いてあるインテリアも全部センス良すぎ!!!個性的なアーティストの作品揃いで美術館のように楽しませてもらいました。

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チェックアウトが終わってからも、海の見えるお庭やリビングでゆった~りとくつろげます。「ただ、何もしない」が成立するってこのことか!と思いました。私の頭の中では、EVISBEATSの「いい時間♪」が流れてました~~

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朝ごはんは、専ら発酵王国の名に懸けて発酵食三昧!どれも丁寧に作ってあり、ごはんが進むのでおかわり必須。その中でも、4年熟成発酵させたゆうなんば(石川の方言で一味のことをなんば)が気に入って買いました。

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いしりの炊き込みご飯を囲炉裏で焼いたものは、本当に香ばしくて美味しかった。

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この「いしり」という石川特有の発酵調味料。なんと日本最古の魚醤油だそう。いわゆるタイ料理でいうナンプラーですね。石川出身の私も知らなかったけど、能登の発酵食品を代表する宝ですね。もちろん、買って帰りました。さっそく、いしりを使った料理を試してみてます。

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いしりと共に買ったこの本ですが、能登の生活のことが書かれていてとてもほっこりとした気持ちになれました。

石川に住んでても金沢とは違い過ぎて全然知らなかったけど、能登はまだ伝統的な食生活やお祭りの文化がけっこう残っているということ。これには驚きました。

そして、そういう生活をしてみたいと思いました。合う合わないは別にして、まずはこの地に生まれた身として、せっかく残っているんだから味わわないのはもったいない!!てことで、NOTOを掘る旅Vol.2も決定です。

長いですが、旅の記録は最終日Day4へつづきます~~~


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