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「体がよろこぶ」を味わえるお弁当 #GrinoBento

この記事は、100%植物性の食品ブランドGrinoさんの依頼を受けて執筆した、商品PRを兼ねたエッセイです。


「美味しい」って、ほんとうに多種多様だ。
高級食材と高度な調理技術の掛け合わせで実現する、ハイクラスな美味しさもあれば、お母さんの手料理にホっとする美味しさもある。疲れた体に沁みわたるジャンクな味だって、きっと美味しさのひとつだ。

いろんな美味しさがあるなかでも、「素材そのものの味にしみじみ感動する」美味しさって、出会うのがけっこう難しいと感じている。

私が「素材そのものの味にしみじみ感動した」美味しい記憶は、8年も前に遡る。私は当時29歳だった。

七転八倒した腸閉塞

29歳のとき、私は腸を切った。
2月の底冷えする朝。急に壮絶な腹の痛みに見舞われたのが、ことのはじまりだった。

単身者用の狭い自宅のなかで、私は激しくのたうちまわった。寝室のまんなかに転がったり、キッチンの前に倒れ込んだり、トイレの中でうずくまったり。どんな格好をしても、どんなに大声で叫んでみても、痛みは一向に和らがない。脂汗は滝のように流れる。指先が冷たくなり痺れ始めた頃、私は静かに思った。
「私、死ぬのかも……」。
突然の嵐のように訪れた、まぎれもない命の危機だった。

激痛のパニックのさなかにいたとき、たまたま家を訪ねてきたのが、現在の夫。彼に発見されてすぐさま病院に運び込まれた私は「腸閉塞」と診断され、即手術とあいなった。

「腸閉塞」とは、腸のなかで内容物や消化液の流れが止まってしまう症状だ。私の場合、大腸の一部がねじれて、うっ血していたらしい。その結果、大腸の15㎝ほどが壊死したのだという。

空腹とおいしさの記憶

「腸の一部が死ぬ」という壮絶な痛みを味わい、手術で腸を切断した私は「生涯、この痛みを忘れることはないだろう」と思っていた。しかし、人間というのはよくできていて「痛みの記憶」は、実にあっけなく忘却の彼方に霧散してしまう。
腸を切断した日から8年が経った今、心に深く刻まれているのは「空腹の記憶」、そして「美味しさの記憶」だ。

腸を切る大手術をしたあとの3日間、私は完全に食を絶たねばならなかった。術後4日目でようやく口にできたのは、重湯だけ。
当然だけど、お粥の上澄みだけでは4日分の空腹は満たされない。何より気分が全然満たされないのだ!

数日にわたって空腹に悩まされ続けた私は、四六時中美味しいものに思いを馳せるようになった。あるときは、カリっと揚がったフライドポテトを。またあるときは、長崎カステラのザラメのついた部分を想った。寝ても覚めても、ハイカロリーなグルメが頭をちらついて離れず、粥をすすっているときですら、カレー味のインスタントラーメンに思いをめぐらせた。

ひたすら粥だけを食べ続けて5日が経った頃。わたしの目の前に、ようやく「通常食」が配膳された。白身魚の煮付け、じゃがいもとにんじんの煮物、豆腐のみそ汁。そしてごはん。正直、フライドポテトやカレー味のラーメンに比べたらインパクトに欠けるメニューだ。
けれど、そのときに食べた、豆腐のみそ汁の美味しさときたら!! 心が震えるような感動を今でも忘れることができない。

みそ汁のお椀を鼻もとに持っていくと、出汁と味噌のいい香りが鼻孔いっぱいに広がる。香りだけで、思わず武者ぶるいしてしまうほど嬉しかった。そろりと一口汁を含むと、味噌のコクと塩味が体にじんわり沁みわたる。体の細胞の隅々にまで、みそ汁の栄養と旨味がゆきわたり、全身がよろこんでいる感じがするのだ。舌先で押すだけで崩れてしまうほど柔らかい豆腐からも、きちんと大豆の味がする。

旨い日本酒を小さなお猪口でたしなむように、私は目を閉じて、ちびりちびりとみそ汁を味わった。

いつもだったら、味気なくて追加で醤油を垂らしてしまうような薄味のみそ汁。だけど、一週間以上お粥しか口にしていなかった私には、その味付けで十分。むしろ、出汁の味、素材の味が良く分かって、しみじみと「旨いなあ」と感じ入ることができた。

ああ、本当のおいしいってこういうことなんだ。素材の味そのものを味わうって、こんなに気持ちいいことなんだ!

入院生活10日目にして、最高の感動を得た私は、いつの間にかフライドポテトを夢見ることもなくなった。

あの時の、気持ちよい美味しさを求めて

退院した日から8年の歳月が流れ、私は命の恩人と結婚し、子どもを産み、生活環境はガラリと変わった。

残念なことに「目を閉じて、しみじみと素材の旨味を味わう食事」には、退院後一度もお目にかかれていない。改めて、あの気持ちのいい美味しさを味わってみたいと思うけれど、これがなかなか難しい。

仕事や子育てに追われる生活に身を置くと、ついつい食事に刺激と快楽を求めてしまう。より脂っこいもの、より味の濃いものを食べることで、気分を変えてストレスを発散しようとする。何より、素材の味を活かした料理って、手間がかかるし技術も必要なのだ! 「極限の空腹」を調味料とできない環境では、ハードルがより高いんである。

でもでも。忙しさを理由に刺激の強い食事ばかり重ねると、体は重くなり、気分にモヤがかかって気持ちよくない。それに、ハードな食生活が腸に負担をかけて、腸閉塞再発の原因にならないかも気がかりだ。

そんな悩みを抱えていたある日、私はひとつのお弁当に出会った。

ていねいで、やさしい GrinoBento 

レンズ豆と8種のスパイスを使った腸活ダルカレー

GrinoBentoは、100%植物性の食品ブランドGrinoさんの新商品。腸にも地球にもやさしい栄養満点の菜食冷凍弁当だ。

GrinoBentoの存在を知った私は「疲れた腸をやさしく癒してあげたい!」 と藁をつかむ思いで手に取った。正直なところ、「腸に良ければそれでよし。味は二の次、三の次」と考えていたのだけれど、これが、ほんっとうに美味しかった。

「目を閉じて、素材の美味しさをしみじみと味わえる料理」が満載のお弁当だったんである。

レンズ豆カレー / 塩茹でブロッコリー

たとえば、メインのレンズ豆カレー。お肉を一切使用していないのに、コクが深くて、食べごたえがある。その不思議な食べごたえの正体を知りたくて、ついつい何度も咀嚼してしまう。豆が旨い。
添えられている塩茹でブロッコリーは素材の味が濃い! 茹で加減と塩の加減が絶妙で、ブロッコリーの旨味を存分に味わえる。許されるなら、このブロッコリーをどんぶり一杯食べてみたい。

紫キャベツと玉ねぎのマリネ
キャロットラぺ

お弁当のなかから推しのおかずを一品選べと言われたら、紫キャベツと玉ねぎのマリネか、キャロットラぺか。どちらを選ぶべきか迷ってしまう。本来なら「影の立役者」的立ち位置である「副菜」の彼らが、ものすごい実力を持っているのがGrinoBentoの強みだと思う。

紫キャベツと玉ねぎのマリネは、酸味と甘みのバランスがとっても良い。特に「甘み」については、砂糖などの調味料より、紫キャベツそのものの自然な甘みをダイレクトに感じる。何度も咀嚼して味わいたくなる味なのだ。
キャロットラぺは、干しブドウと昆布の旨味がすごーくいい仕事をしている。

野菜出汁玄米ご飯 / 蒸しかぼちゃ / 腸活きんぴら

驚いたのは、玄米ご飯の美味しさ。玄米なのにモチモチとしていて食べやすい。うっすらと野菜出汁の旨味を感じられて、ご飯だけでもグングン箸が進んでしまう。ホックリ感のある栗カボチャや、歯ごたえがアクセントになるきんぴらの存在感も◎

私は気づくと、目を閉じて、いつもの何倍もして、料理をじっくり味わっていた。腸を切って入院し、はじめてみそ汁を飲んだあの日のように、ていねいにちびりちびりと箸を進める。
お弁当の量はそれほど多くはないけれど、食べ終わったときには、気持ちのいい充足感がお腹と心を満たしていた。

脳みそはどうしても刺激を求めてしまう。けれど、体はいつでも正直だ。本当に必要なものを食べれば、体は素直に反応するし、それがていねいに美味しく料理されたものなら、一層よろこんでしまう。GrinoBentoに詰め込まれている料理は、すべてがとってもていねいに作られていて、素材の一つひとつがしみじみ美味しい。まさに、体がよろこぶ弁当なのだ。「最近、体が疲れているな」「食事の味をじっくり味わえていないな」。そんなときに、リピートしたくなる一品だ。

忙しくてストレスの多い毎日。食事にたゆまず気を配り続けることは難しい。だからこそ、GrinoBentoをひとつ冷凍庫にしのばせて、心と体のお守りにしたいと思う。


現在、『GrinoBento』の開発に向けたクラウドファンディングを実施中です! ご支援いただいた際には、リターンとしてGrinoBento各種やGrinoの人気商品をご自宅にお届けします。ご興味のある方は是非ご覧ください。


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