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第二期ゆかなか竜王戦 ダイジェスト

前期は3組で優勝することができ、今期は2組で戦うこととなった。
今回もダイジェスト形式で対局をまとめて振り返る。


予選トーナメント

1回戦 vs かず初段

2組は上位3名が昇級、下位5名が降級。予選トーナメントを勝ち抜いた優勝者と準優勝者が本戦トーナメント進出となる。

戦型は対抗型で居飛車穴熊四間飛車となった。

画像の局面では38飛に44角と受けられて、手がわからず戻してしまったが、44角と受けられてもなお35歩からの仕掛けがあった。

35歩同歩46歩同歩同銀から制圧する狙いだ。
以下32飛と戦場に回るのは24歩同歩45歩打で弱点の角頭を狙って攻めていく。

46歩のときに同歩ではなく、その瞬間に戦場に回る42飛には45歩同銀48飛36銀44飛同飛65歩49飛成64歩同金11角成が一例で居飛車が良い。

このような飛車を切ることを厭わないスタイルが玉形の差を活かした考え方で、本譜の進行でも何度か飛車を取らせる代わりに別のところで優位を築く手が最善手として提示されていた。

本譜は飛車を取られることを嫌って逃げ回ったところ受け身になってしまい、切り返せないまま負けてしまった。

居飛車穴熊からの仕掛け穴熊の暴力性が本局での収穫だ。

四間飛車を相手にすることは多いので、今回習得したことを活かして勝利に繋げたい。


順位決定トーナメント

3ブロック vs りょう13級

予選トーナメントは一回戦で敗れてしまったが、ここからは順位決定トーナメントが始まる。
今期は11位からのスタート。
勝って順位を上げることができるか。

本局は対局相手の途中棄権により不戦勝。

7ブロック vs Shingo0619 初段

第一期ゆかなか竜王戦3組決勝戦のカードが今期2組の順位決定トーナメントで再び相見える。

先後も戦型も前期と同じ、後手が一歩得する相掛かりのような力戦に。

46手目までは前期と同一局面、47手目でShingo0619初段が変化してきた。

前期は47手目から35歩同歩45桂の仕掛けを決行してきたが、本譜はじっと56銀と構え、54銀66歩の交換を入れた局面が上画像。

AI解析では今期王将戦第一局で話題になった86歩(今回は後手番なので24歩)を最善手に提示してきた。
王将戦と局面は異なるがまさに「相掛かりでは部分的に出る手」ということなのだろう。

24歩以下は79玉23金45銀55銀56銀同銀同歩63銀打67銀打32玉が変化の一例(難しすぎる)で互角の分かれ。
銀を交換してお互い自陣に打ち直すというのは指しにくいように思えるので、63銀打に代えて47銀打と激しくいく方がまだわかりやすいか。以下63銀打61金47金38角72銀同銀成31飛45桂29角成が一例で後手有利。
47金と銀を取らずに49金と引かれたら57角打68角打同角同銀41角打72角打同金同銀成83飛が一例で後手有利となる。

本譜は66歩を見て72金とした。

この手には二つの意味があり、序盤の一歩得による優位を拡大するための手待ちが一つ。局面が膠着状態になればなるほど一歩得のポイントが大きくなるし、先手の7筋の歩がないことで75歩同歩74歩打の筋が消えている。
そして66歩で6筋に争点ができたので61飛と回って戦いを起こすというのがもう一つの狙い。角換わり相腰掛け銀の後手番を持って経験のある形だ。

手待ちをしながら仕掛けの準備にもなる一挙両得の手とも言えるが、見方を変えればどっち付かずの手とも言える。
評価値的には僅かに後手に振れながらも互角の展開。

Shingo0619初段は72金を見てから35歩同歩45桂と前期のように仕掛けてきた。

確かに局面を膠着させず、61飛からの仕掛けも間に合っていない

しかし仕掛けられても大丈夫だからこその手待ちでもある。

45桂以下44銀33歩22金34角打41角打と進んだ。
この41角打は角換わり45桂馬速攻を受けるときの部分的な手筋で、打たされただけに見えて実は桂頭もカバーしている味の良い角。

経験が活きる展開となり、終盤は双方時間が切迫したものの最後は詰まして勝つことができた。


12ブロック vs ひのき初段

不戦勝を除けば一勝一敗。ここで勝ち越しとなるかどうか。

横歩取り調の出だしから58玉戦法もといやさい式相掛かりとなった。

序盤で飛車が捕まってしまう想定外はあったが、この戦法は大駒を切っても強い形。
飛車を切っても一瞬で負けになるわけではないと暴れていって上画像の局面。

本譜は自陣飛車が不安定で、そこを88金打などで攻められるのが嫌で歩を成り捨ててから87歩と打ってしまったが、代えて単純に44馬と桂馬を取る手が優った。

44馬に88金打は、以下64桂打41玉72桂成とするくらいでも実は大丈夫だった。
以下79金と飛車を取るのは同金で何の問題もない。以下88銀打とされても我関せず43金打で後手玉に必至がかかる。
79金ではなく78金と金を取り、同飛に89龍と迫るのも79金打でガードしておけば意外と攻めが続かず先手が優勢だ。

本譜は87歩打と局面を落ち着かせたために飛車を切ってからの暴走が止まってしまい、防戦一方になってしまった。

最後は時間差が味方してなんとか勝利したが、望んだ展開ではなかった。
最序盤で主導権を握って相手だけが考える展開に持ち込んだのが功を奏したようだ。
横歩取りは先手の歩得に対して後手から色々な手段があり、後手が主導権を握りやすいが この作戦は先手が主導権を握ることができ、その持ち味が発揮されたといえる。



5位決定戦 vs 丸・ビシエド三段

勝っても負けても最終戦。

戦型は対抗型でミレニアムvs四間飛車穴熊となった。

こちらは通常のミレニアムとは少し違ったゆーしゃん流ミレニアムという形を採用。
上画像のように右金を51→41と寄せていくことで右銀を動かしたときに飛車の可動域を広げており、四間飛車穴熊側のミレニアム対策38飛46金型に対して32飛と受ける手を用意している。

普段の駒組み通り(居飛車穴熊や急戦を視野に52金を決める)ではできないのが惜しいが、対局相手の丸・ビシエド三段が四間飛車穴熊使いだという情報を棋譜を見て得ていたので今回は採用してみた。(しかし本譜は56銀が早く、57金→46金のルートが潰れているのでゆーしゃん流にこだわる必要もなかった。)

結果はまさかのこちらの接続切れ負け……。
しっかりした対局でアプリが固まったのは初めてのことで、いつwi-fiがおかしくなっても負けることのないように4Gにして対局してるくらい気を遣っているのに……。

接続が切れた局面は評価値的には後手有利ながらまだまだこれからで、指し続けていたらどっちが勝っていたかわからない。
完全に劣勢ならまだ諦めもついたかもしれないがこれでは不完全燃焼だ。対局相手にも申し訳ない。



最終戦は不本意な結末だったが、勝局からも敗局からも様々な手筋や指し手を学ぶことができた。
今期は11位スタートから最終的には6位という結果になった。第一期からもう一段階強くなったといえる結果を残せたのは良かった。

振り返りだけでなく作戦を用意する段階から心踊る学びがあるのは本当に将棋の魅力だと思う。
「作戦を用意する」なんて対戦相手が決まっているからこそできることで、そういう機会を与えてくれる棋戦の存在はかなり大きい。

また来期も頑張ります。それじゃあ。

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