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人間には”言葉”がある。

 大学生の僕は、普段バスを利用して大学に行きます。最近では、移動中は基本年齢層関係なく、皆イヤホンをしていますよね。自分の好きな音楽を聴きながら、通勤なり通学なりを行う。私も普段はそうしています。しかしこの日は、たまたま普段しない寝坊をし、たまたまイヤホンを忘れた、偶然にもそんな”たまたま”が重なりに重なった日の出来事です。

 半年以上前の日のことです。朝講義が一限であり、気だるさを隠しつつも学校に向かっていました。バス停でバスを待ち、バスに乗ります。私は、バスの入り口から近場が空席でも関係なく一番後ろの席に座ります。(狭い空間が好ましいからで)ですが、その日は3〜4歳くらいの子供と母親らしき方が座っていたので、仕方なく後部座席から一つ前の席に座りました。

その日、イアホンを忘れた私は大学の最寄りの駅まで、見慣れた街並みを見て到着を待ちました。そんな時、後ろに座っている親子からの会話が耳に入ってきました。

その会話の内容は・・・。

『昔は好きだったアンパンマンを最近では見なくなった。』

というような感じの会話でした。その会話事態には何の変哲も無い極普通の会話でした。僕が驚いたのは、その子が最近アンパンマンに興味がなくなった理由についてです。

アンパンマンに興味がなくなった理由を鮮明には覚えていませんが、このように言ってました。

『アンパンマンはバイキンマンを殴るから仲直りできない。アンパンマンもバイキンマンも話せるのだから、話して解決すればいいんだ。』と。

頷くことしかできませんでした。まさにその通りだと。アニメの設定上、悪いことをしたら罰がある。正義のヒーローになりなさい。などと、ある程度年を重ねれば、子供向けのアニメの意図に気づけます。そもそもたかがアニメだ。で多くの人が完結してしまいます。

しかしこの子は、まだ子供なのにも関わらず、利口な考えも持っていました。そういった複雑な感情を知らないが故の考えです。

鳥肌ものですよ。正確な年はわかりませんが、いっても3〜4歳の子供が、『暴力ではなく、言葉で解決しろ。』と考えているのですから。

 地球上に存在する多数の生き物には、それぞれ”翼”や”エラ”、”牙”などが与えられた生き物がいます。そんな中、”人間”という生き物には、”言葉”が与えられました。地球上で唯一言葉を話せるのが”人間”という生き物です。なのに人間は、欲張りで、領地や権力の拡大・取得のために争いを始めます。争いが起きるということは勝者と敗者が生まれる。どちらにせよ争いが起きた時点で犠牲はでます。

しかし、現代には早くも暴力の無意味さに気づき始めている子供がいる。私はこの子に、長い年月をかけて、忘れてかけていた”何か大事なこと”を思い出させられました。

私はこの数分乗っていたバスの中で、青い空に覆われ見慣れた街を見ながら、『日本の未来は明るいな』と思った。



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