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【小説】守護霊のりおちゃん

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「まさかわたしが乳がんに?!」 大分県別府市に住む主婦の小百合には、普通の人間にはない能力が備わっていた。特定健診で右乳房に乳がんが見つかった小百合は、摘出手術を受けることに。…
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#小説

お前も麻酔なしで乳輪に注射してやろうか

令和5年11月6日。入院当日である。わたしは自宅の近くから一人でタクシーに乗り込んだ。入…

同じ星の人

JR日豊本線の普通列車にわたしは揺られていた。かかりつけの内科に行くためだ。内科は浜脇と呼…

手術説明ムズすぎワロタ

令和5年10月6日。乳がん手術について、夫と一緒に説明を受ける日である。のりおちゃんはこ…

輪投げ大会ってなんやねん

「今日の検査、どうやった?」 風呂からあがった夫がたずねた。わたしは台所で夕飯の支度をし…

おっぱい喪失まであと1か月

国立別府病院は、「地域医療支援病院」である。かかりつけ医からの紹介患者に対し、医療提供・…

のりおちゃんのこと

のりおちゃんは、わたしの守護霊的な何かである。わたしにもその姿は見えない。声も聞こえない…

鬼が築いた石段の先に

国立別府病院は、別府市の北のはずれにある。病院の西側を小高い山が取り囲み、東側には別府湾が広がる。風光明媚な立地である。 “田舎”ともいう。別府病院から鉄輪に通じる道路には、動物飛び出し注意の看板にイノシシが描かれている。そういう場所だ。 国立別府病院は、大正14年に亀川海軍病院として創設された。豊富な温泉資源を利用し、温泉療法が行われていたという。しかし現在の国立別府病院には、温泉の設備はない。今は九州大学病院別府病院で、温泉治療が研究されている。 八幡竈門神社の境内か

のん気な女

その日わたしは、夫の修二と昼食を食べていた。「民芸茶屋・味蔵」という食事処である。別府市…

拝啓 山本先生

拝啓 新緑の候、山本先生におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。この度、5…