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孤独を正々堂々と

「孤独」という漢字。孤独の「孤」から連想するほかの語には「孤立」「孤児」などがあり、「独」も「独り身」「独断」など、何となく寂しい雰囲気がある。

私が学生のころは、一人で喫茶店(そもそも「カフェ」などというおしゃれな概念はなかった)に入るのも気が引けた。せいぜいマックのようなファーストフード店なら入りやすかったが、それでも「人が一人で行動する」ということに対して、社会自体がマイナスイメージを持っていたように思う。

ようやく最近になり、「おひとり様」「ソロ活」「ソロキャンプ」などの語が使われるようになり、一人で行動することへの後ろめたさがなくなってきた。私自身、一人旅や一人コンサート、一人美術館巡りなどは自分と向き合える時間なのでよく出かける。

先日読んだフリーペーパーに出ていた女優の中江有里さんのことばが印象的だった。中江さんは年間300冊もの本を読むことで知られる読書家だ。

「読書はひとりでないとできません。つまり、ひとりの時間を持つことができ、孤独であることを肯定できます。これが読書のメリットですね」

海外にはブッククラブという愛好会が存在し、皆で本を読んで分かち合うというスタイルがある。でも、読書は基本的におひとり様作業。本の世界に入れば孤独を忘れてその活字ワールドにどっぷり浸れるのだ。

「どこにいても、ひとりの時間を上手に過ごせるようになります」と語る中江さん。電子書籍でも紙書籍でも構わない。読書を通じて正々堂々と一人の時間を楽しみたい。

(「ARIFT」2022年7月8日号より)

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