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寄り添ってくれる人

日経「こころの健康学」を毎週欠かさず読んでいる。執筆者は認知行動療法がご専門の大野裕先生。先日のタイトルは「『ガチャ』から自由になれ」であった。いわゆる「親ガチャ」「時代ガチャ」などにとらわれてしまうと、生きるのが辛くなってしまう。だから、そこから自由になることが大事、という内容であった。

人は外から見て恵まれているように見えたとしても、本人なりの悩みや苦しみがある。様々な要因から生じるものだが、つい「ガチャ」と定義づけて他責にしたくなる。大野先生自身も様々な苦労を経験されているが、目を転じてみると自分を支えてくれる人に大いに助けられてきたそうだ。

次の文章が心に響いた:

「その一方で、私に寄り添ってくれる人間的な環境に恵まれた。その温かみのおかげで、精神科医として人に寄り添う力が育った。人生は生き物だ。環境もまた変化する。」

そう、人は生きている以上、周りも自分も変化していくのだ。だから過去に起きたことをガチャと決めつけるのではなく、そこから自由になるべきなのだろう。そして、自分に寄り添ってくれる人たちを大切にすること。それが自分を前に進ませてくれる。他者や環境のせいにしていてもその場足踏み状態。だから、「寄り添ってくれる人」「寄り添ってくれる環境」を大事にしたいと私自身、改めて自らに言い聞かせている。

(日本経済新聞2022年12月6日火曜日朝刊)

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