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死なない事が前提で生きている

三連休は、津久見の海辺で満開の河津桜を観て、イルカ島でボーッとして、傾山に登る予定で、ルートなどを調べながら「あ〜楽しみ」と思いを馳せている。だけども、明日、事故かなんかで死ぬかもしれない、そして運良く明日死ななくても、いつか必ず死は訪れる。

じゃあ、明日死ぬかもしれないから、大好きなモンブランを2個食べるかというと、それはやらない。太るからだ。今ダイエットをしている。
なんで痩せたいのかというと、現在大分に単身赴任中で、来月東京に帰る見込みである。その時、やつれた感じで「一人は辛いよ」とカミさんに言いたい。そうすれば優しくしてくれるかもしれない。少なくとも「満喫しました!」とやるよりは反応は良いと思われる。

「東京帰るまでまだ1ヶ月くらいあるよ、その間に死ぬかもしれないし、まだ時間もあるからそのうち痩せればいいじゃん」
モンブランの悪魔は僕に囁く。だが僕は誘惑に打ち勝つた。そしてケーキ屋でモンブランを一つだけ買うという難事を成し遂げた。

デスクにモンブランを置いて、とりあえず半分食べる。中からマロングラッセが出てきて、それはまるで「石油が出たぞ!」のような感慨無量。

ふと「モンブラン食ってる段階でもはやダイエットじゃなくね」と大いなる疑念が心の奥底から湧いてくる。スプーンを口に運ぶ手が止まった。僕は断腸の思いで、半分になったモンブランをケーキ屋の紙袋にそっとしまい、会社の冷蔵庫に入れた。

そしてそれを会社にわすれて帰ってきた

明日会社に行くのが怖い。もしなくなっていたら、捨てられたのか、ひょっとしたら誰か食べるかもしれん。半分のモンブラン食べるヤツなんてサイコパスかもしれん。誰がサイコパスか疑いながら働けるのか。
そしてまた、なくなっていても「半分のモンブランしりませんか?」なんて聞くのも恥ずかしい。

まあ、でもそのままの可能性が一番高い。明日会社に行くのは怖いが、明日回収すれば「謎の半分モンブラン」という、社内の怪談ような話は生まれない。必ず回収しなくては。そのためには

今晩は絶対に死ねない

とはいえ、その保証はどこにもない。不安だ。
だから「死んだら思考できないから恥ずかしいと感じないよ」と自分を慰める他ない。
「落ちこんだ時には甘いモノでも食べてさぁ」
おっと。また引っかかるところだった。とりあえずヨーグルトにしておく。

オレ一日何をやってるんだろうな

明日死ぬかもしれないのに。

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