携帯電話もなかった頃のデートは遅刻出来なかったよ
最近、加熱式タバコに変えた。すると山登る時に息切れしない。火をつけるタバコは一酸化炭素を吸うことになるから、それで酸欠になる事がないからだろう。
そのかわり、ライターを持ち歩かないから、お湯を沸かす時に火を付けようと思って「あっ!」となる時がある。
タバコ嗜好の変化でライターの需要は減るだろうが、多分ライターはなくならないだろうな。
キャッシユレス化の波で硬貨や紙幣も流通量は減るだろう。しかし初詣のお賽銭は、やっぱり現金じゃないと味気ない。これも絶滅には至らないとは思いたい。
こういう事を書くのは今日こんな記事を読んだからだ。
202X年のデートとは(超短編小説)
スマホの目覚ましで私は起きた。
今日は彼氏とのデートの日で、ワクワクドキドキしている。
スマホのデートアプリで、今日の服をどれにしようかと決める。
私の身体の基礎データは入れているので、AIが自動的に、
最適な服を選別してくれる。
出典元:令和時代の新常識〜第二章〜「レジ店員が消える社会」北里明日香
スマート社会のデートがこうなるのであれば、僕はアナログ時代のデートがどんなものであったか、書き留めておこう。そうそうBGMでも付けてみるか。音出せる方は是非こちらを聞きながら。
平成初期のデートスタイル
「ヤバい寝坊した!」
布団を跳ね除けて僕は飛び起きた。今日は美由紀との初デートの日だ。あまりにも興奮して昨晩寝付けず、もうこのまま徹夜で行くか!と思っていたが、朝方にちょっとウトッとしてしまい、このザマだ。
11時を回っていた。待ち合わせの時間まで、あと1時間もない。だか彼女の家は三軒茶屋だから、待ち合わせ場所の渋谷モヤイ前なら、まだ家を出ていないかもしれない。僕は汗ばんだ手で受話器を握り締め、手帳にメモっておいた彼女の実家の番号に電話をかけた。2コール、3コール...。おっ!出た!
「はい、どちら様」
残念。お母さんの声だった。
「美由紀ならさっき渋谷に行くって」
出ちゃったかぁ。僕はお母さんに悪印象与えないよう、爽やかに挨拶して電話を切る。
さあここから時間との戦いだ、着るものは、そうだなぁ。美由紀はお嬢様タイプだし、Tシャツより襟付きのポロシャツ。ジーンズも止めとこう。
とにかく急いで着替えることだ。彼女は真面目だから30分くらいは待ってくれるだろう。それまでには行ける。
でもモヤイ前ってナンパヤローもいるから、あ~。こんなことなら東急プラザのモロゾフで待ち合わせとかにすれば良かった。頼む待っててくれ。
モヤイ前には15分遅刻で着いた。案の定、美由紀に話しかける男がいた。僕は右手を軽く振り、男の耳にも届くように声をあげる
「ごめん。待ったせたわぁ」
「もう。待ったわよ」
彼女は少しだけ膨れっ面を作った後、ニッコリと微笑んだ。話しかけていた男は僕を値踏みするように一瞥すると、スっと消えるようにその場を離れる。
この日はまず映画からだった。東急文化会館のパンテオンで「ボディーガード」を見た。
映画の後は1階のユーハイムでお茶だ。予想よりも混んでいてちょっと待つことになったが、ここのクーヘンとミルフィーユは少々並ぶ価値はある。彼女と話していれば時間なんてあっという間だ。
それから三省堂で本を一緒に物色。ここは僕の知性の見せどころだが、あんまりウンチクに傾かないよう、抑えて抑えて慎重に話した。
いつの間にか夕方になって、晩御飯を誘うか迷ったが、彼女の方から
「今日はお父さんがいるから、みんなで食べないといけないの」
と言うものだから、僕が残念そうな顔をすると、彼女は、
「家の近くまで送ってよ」
と少し甘えるように笑顔で応えた。
そして南口バス亭に並ぼうとした時、彼女が
「じゃあ歩いて行こうっか」
と、イタズラっ子のような口調で言う。
僕は、彼女と一緒にいれる時間が長くなる喜びを隠しきれなかった。
「もう。子どもみたいね」
そう言って彼女は僕の手を引いて歩道橋へ。
今でも、時折、国道246を一緒に歩いた、あの時の手の温もりを思い出し、甘酸っぱい気分になる。
ザックリこんなんかなぁ。まあオジサンの感傷フィクションでありますよ。
という事にしとかないとカミさんにしばかれます。
追伸:歌が良すぎて文章入って来ない(笑)
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