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天気の話

私は天気の話をするのが苦手だ。
「今日は暑いですね〜」
であるとか、
「昨日暑かったと思ったら今日は寒いですね〜」
であるとか、
「寒暖差すごすぎて耳キーンなるわ」
であるとか、
「寒暖差すごすぎて耳キーンなって最終的に耳取れるわ、わしゃゴッホかい」
であるとか、
「寒暖差すごすぎて耳キーンなって最終的に耳取れるわ、わしゃゴッホかい、けどゴッホは自分で耳取ってるからちょっとちゃうやろ」
であるとか、
そういった会話ができないのだ。

これだけの年数生きてきたら、天気の話が大事だということは理解ができる。
絶対にやった方がいいのだ。

コミュニケーションを円滑にするため、やった方が絶対に良い、ということは頭の中で理解ができている。

最近新しく始めた喫茶店のバイトで私は「熊井さん」と呼ばれている。
他のバイトの女の子たちは下の名前で「〇〇ちゃん」と呼ばれている。
「〇〇ちゃん」と呼ばれている子たちは皆、天気の会話ができるのだ。
さして面白くも興味もない話に「え、そうなんですか?!!」とリアクションができるのだ。
それは才能だ。キャバ嬢だ。(うちからしてみれば)
私にはやっぱりできない。

芸人は天気の話が苦手な人が多い気がする。
芸人とはあまり天気の会話をしたことがない気がする。
ライブで「おはようございます」と言って出会った芸人とその後「今日は寒いっすねえ」とならないのだ。

どうして芸人は天気の話が苦手なのか。
それは恐らく、天気の会話をして「コイツつまんねえな」と思われるのが怖いからだ。
日頃からどうやったら面白くなれるのか?劇場にいるパンパンのお客さんから笑いが取れるのか?を思考している芸人にとって、天気の話題は小っ恥ずかしい話なのである。

私の中にもその小っ恥ずかしさが存在していて、頭の中で理解している天気の話はした方が良い、という思考とぶつかる。
ぶつかった結果、小っ恥ずかしさが圧倒的に勝ってしまっている。

喫茶店のバイト先で「沖縄って方言あるのかなあ?」
という話題になった。私は「めんそーれーとか、にーへーでーびるボディービル、とかあるんじゃないすか」と思ったけど、会話に参加できなかった。
以前会った芸人が沖縄の話になり「米軍に会いてえなあ」と言っていた。
なんだかこちらの方が断然会話に参加したくなる。
そのバイト先の人が「米軍に会いてえなあ」と言い出したら、もしかしたら私は会話に参加していたかもしれない。

子どもの頃からやっぱり変わっていない。
27歳にもなっていまだに日常会話の一つもできやしない。情けない。

私も本当は天気の話とか、沖縄の方言の話とかしたい!!

いや、したくない!!

いや、したい!!!



うーん、したくない!!!
今のところはしたくないが勝ってる!
いつかしたいが追い上げてきて、したくないに勝つ日がくるんだろうか。
いや、本当はしたいというより、しなくちゃいけない、なんだけど。
30過ぎたらさすがに天気の話できるようになってたいなあ…。

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