【読書記録】母にはなれないかもしれない
『母にはなれないかもしれない』若林理央 著
少し前に
『母親になって後悔してる』オルナ・ドーナト著 新潮社
を読んだ。話題になっていることを知ってから読んだと思う。しかし、読んでいることを誰にも言えなかった。
私には子どもがいない。
既婚であることに加え、間もなく高齢出産と言われる年齢にもなるため、周囲の人から「子どもはまだなのか」と思われているように思う。気のせいかもしれないが。
数少ない友人たちはほとんどが親になった。親になっていないのは未婚の友人たちで、「仕事に集中したい」「(今のところは)結婚するつもりなし」と公言している。
私はとても恵まれた環境にいる。
実家・義実家共にまぁまぁ近くにあり、ありがたいことにみんな元気だ。
私の職場環境も良いほうで、性別問わず産休育休をしっかり取る人たちが多い。子育てしている人たちをフォローしようという意識もある。(たぶん)
夫婦共に安定した収入もあり、今のところは大きな不安もない。
夫の仕事が忙しいことを除けば子どもを作らない理由が何一つ見当たらないのだ。
しかし、私には子どもがいない。周囲の人から見れば不思議だろうなぁ。
子どもがいない理由を、私はうまく説明することができない。もやもやとしたものはあるのだけれど、言語化することができないのだ。
このもやもやを掬い上げてくれたのが、本書である。
著者の若林さんはご自身の意志で「産まない人生」を生きている。
本書には若林さんが「産まない選択」について書いたパートに加え、様々な背景を持つ女性たちへ行ったインタビューがまとめられている。
サブタイトルに「産まない女」というワードがあるため人によってはぎょっとするかもしれないが、なんてことはない、本書は生き方によって分断された女性たちをまるっと受け止める作品なのである。
私自身が子なしであるため、どうしても同じ立場の人たちの意見が刺さってしまう。すべてが分かりすぎる…。
私はいつも探していた。産むか産まないかギリギリのところで悩んでいる人を。子どもがいなくても、いわゆるバリキャリじゃなくても、幸せにシンプルに生きている人を。
自分にとってのロールモデルを見つけて、安心したいと思っている。
だから、たぶん、この本を手に取った。
読後、自分の周囲にはいない人たちの考えを知ることができ、なんだか心が軽くなったように感じた。大袈裟だけど、私自身が一人の人間として肯定されているような。
それと同時にこう思った。
たぶん、現代において、私たちは分断されているからこんなに幸せなのに不安になるんだなぁ、と。
この本を読んでいるとき、本当に偶然だが、友達から「子ども産まれた!」とのLINEが来た。その子は2人目の出産。先月も会って大きなお腹を見ていたところだったから本当に嬉しかった。
「おめでとう! お疲れさま!! 美味しいもの食べて、ゆっくり体を休めてね。(難しいのかもしれないけど…)」
無事に産まれて本当に良かった。落ち着いたらお祝いしよう。
この本で初めて知ったチャイルドフリーというワードがある。「子どもをつくらない人生のほうが豊かだと考え、子どもを産まない人生を選ぶ人」のことだそうだ。
私はチャイルドフリーを自称できるほど自分と向き合って物事を考えられていない。だからこそ『母にはなれないかもしれない』というタイトルに心を惹かれたのだと思う。
私の人生ってどうなるんだろう。
これからは先の見えない未来にワクワクしながら、毎日を大切にしていきたいな。
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