この際、インフラ企業は全員野球で少子化対策に取り組んだらいかがでしょう
どーも、文福茶釜と申します。
インフラ系企業(特に通信業)さんはこの際だから、個社の新規事業はほどほどにして、3社で力を合わせて少子化対策に注力したらいかがですか?
せっかく競争相手が少ないのに、そんなにガンガンレッドオーシャンばかりに行かなくてもいいんじゃないですかね。
狸の目から見える景色は、もっとゆったりとしています。
皆様一つ化かされたと思ってお付き合いいただければと思います。
インフラ系企業の弱点
インフラ系企業と言えば、国策企業ゆえに倒産とは限りなく無縁、ほぼ寡占市場だからパワーゲームをし放題、投資の観点でも安定してインカムゲインを生み出してくれる企業というイメージがありますよね。
多分コレ、イメージと言うよりは事実なんですけど、ただまーどんな巨人であっても弱点はあると思うんです。
もったいぶって言う程のことじゃありませんが、ズバリ「固定費の高さ」と「その固定費を調整できないことに伴うコスト効率の悪さ」だと思います。
例えば、鉄道会社の場合、「社長、赤字路線があります。」、「よし、じゃあ、即刻その路線は廃止だ!」っとはならないですよね。
通信会社の場合でも「社長、今年は売上が作れず赤字になりそうです。」、「じゃあ、通信基地局減らしてコストを下げるぞ!」ってことにもならないと思います。
しかも、路線や通信基地局を維持していくためには莫大な費用がかかっちゃいます。
そんな状況の中で、インフラ企業にとって一番の天敵って、「自然災害」と「人口減少」なんですよね。
その上、「鉄道」と「通信」の業界には定額化(Ex.定期券、データ定額、通話定額)という料金体系がついて回ります。
そのため、売上は人口と比例して増減する一方で、固定費がかさむためにコストは一定という状況になっちゃうわけです。
そこに自然災害で、路線や基地局等のメンテナンス費用が上乗せされた日にゃって話なんですね。
インフラ企業が新規事業を行う理由
そんな状況の中で、インフラ企業は「コスト効率化に限界がある以上、売上を上げるしかない!」っという決断が、昨今増えつつある付加価値を獲得するための新規事業創出につながっているわけですね。
コスト効率よりも売上効率に重点を置いた経営になっているわけです。
JRがやっているホテル業や駅ナカ事業や、通信事業がやっているdビデオやビデオパスなんかがまさにそれに該当する感じです。
通信会社の3社を見ている限りですと、旅行やら電力やら物販やら金融やらと最早どこを目指しているのか判断できない状況になりつつあります。
また、通信業界においては更に同質化というキーワードもあるかと思います。
データ定額&料金定額の上、iPhoneはどのキャリアでも手に入り、どのキャリアもポイントプログラムを外部に開放しているような今日です。
差別化することが難しい状況だからこそ、少しでも差別化するために付加価値事業に新たに手を広げているみたいですね。
でも一消費者の立場から言わせてもらうと、「ド素人がそんな余計ことに金と力を注ぐくらいなら、定額料金下げてや!」って感じですね。
化け狸が携帯なんて持ってんのかって!?
バカにしないで下さいよ、物の怪界隈でも今は情報社会ですからね。
鬼太郎の妖怪アンテナなんて、その先駆けですよ!
そんなわけで、(政府の企業介入は本来は好ましくありませんが、)感情的には安倍ちゃんもっと言うたれ!と思う、今日この頃なのです。
付加価値事業で人口減少をカバーできるのか!?
日本の人口推移
(※1:「国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口」より作成)
上のグラフは日本の人口の推移と今後の推定値になります。
2015年(実績値): 126,958,000 人
2030年(推定値): 116,618,000 人
2040年(推定値): 107,276,000 人
これを見ると15~30年の15年間で10,340,000人、15~40年の25年間で19,682,000人程減少する見込みとなっていることがわかります。
では、インフラ企業の付加価値事業は、天敵の一つである「人口減少」を克服できるレベルにありそうなのかを(概算的ではありますが)見ていきたいと思います。
なお、鉄道会社や電力会社だと地域的な偏りがあるので、今回は地域的な偏りの少ない通信会社でそのカバー状況を見ていきます。
<1.人口減少で減少すると考えられる売上は!?>
人口に伴って各社がどの程度売上が減ってしまうのかは、大まかに以下の様に算出できると思います。
人口減少に伴う売上減 = ①人口減少 × ②携帯の人口普及率(※2) × ③携帯料金(※3)
②の携帯の人口普及率は、人口に対してどの程度携帯が存在しているか!?を示す数字です。
そのため、「①×②=人口の減少に伴って減ってしまう携帯数」となります。
これを実際にKDDIに当てはめてみます。
(なお、※2,3に関しては文末にその引用元を記載しています。)
■KDDIの場合
○2015~30年:
① 10,340,000 × ② 1.38 ÷ 3 × ③ 7,280 = 25,970百万円
○2015~40年:
① 19,682,000 × ② 1.38 ÷ 3 × ③ 7,280 = 49,433百万円
ちなみに、①×②をした後に3で割っているその心は、日本中の端末を通信キャリア3社で分割しているイメージです。
(ちょっと前からMVNOが隆盛していますが、ココではそれは除外してます。)
<2.実際に付加価値事業でどの程度利益を出しているのか!?>
通信事業会社が付加価値事業でどの程度稼いでいるのかを調べるために、2015年度決算短信(※4)の下記の項目を利用いたします。
■docomo
セグメント:スマートライフ事業
対象期間:2014年度(前期)、2015年度(当期)
利用項目:セグメント営業利益
■KDDI
セグメント:バリュー事業
対象期間:2014年度(前期)、2015年度(当期)
利用項目:セグメント利益(=営業利益)
なお、ソフトバンクに関しては付加価値セグメントがどれなのかよく分からなかったので、割愛させていただきました。
<3.結論>
付加価値セグメントの営業利益
先述した1,2の結果をまとめたのが、上のグラフになります。
紫色の棒が、現状の付加価値事業の稼ぎで、緑色の棒が人口減少によって減少すると考えられる稼ぎです。
KDDIさん、頑張ってますねー。これもう、十分なんじゃないですかね!?
一方で、docomoさんは当期は増収ではありましたが、減損を計上していたために減益(=赤字)の様でした。
なお、docomoが今後2桁(最低でも10%)成長し続けたとして、2030年までの人口減少分を補えるようになるのは、2021年頃という形になります。
社会・ビジネス環境の変化を踏まえて、毎年10%以上の成長を6年続けるというのはなかなか難しそうな気もしますねー。
この際、少子化対策に力注いじゃいません!?
先程、一消費者の意見として携帯料金値下げしてほしい!とは言ったんですが、これを実施すると時価総額を減らしてしまう可能性が高く、買収されてしまうリスクがありますね。
その辺りが、企業TOPの狸オヤ、・・・社長さんたちは懸念しているんでしょうね。
その意味で、新規事業は必要だとも思うんですが・・・
この際、開き直って根本原因の解決しちゃいません!?って話なんです。
現状、KDDIにおいては付加価値事業で人口減少分をカバーできそうだということが分かりました。
一方で、docomoにおいては6年間2桁成長し続ければカバーできそうだということも分かりました。
ですが、その方法って結局のところ、既存マーケット(Ex.金融、保険、電力、コンテンツビジネス・・・etc)でのパイの奪い合いだと思うんですよねー。
結局のところ、単に戦う相手が対KDDI、対docomoから、対日本生命、対東京ガスとかになってるだけなんですね。
せっかく寡占市場のインフラ企業をやってるなら、わざわざ他業種の大手企業と戦いにいくんじゃなくて、本来の敵である「人口減少」や「自然災害」に対して、勝負を挑んで欲しいな~。
しかも、グループ内の社員数も多いから、単純に社内の人事制度を変えるだけでも、それなりにインパクトあると思うんですよね。
【データソース】
※1:「国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口」
・実績値:http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/sH2401r.html
・推定値:http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/sh2401smm.html
シナリオに関しては、「中出産・中死亡」のシナリオの推定値を利用
※2:携帯の人口普及率
※3:携帯利用料金
※4:決算短信
・KDDI
最後に
狸的駄文に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
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ブログ名:G5+3:古来の組織 群馬支部
http://kaseinososhiki.blog.jp/
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