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Eden Life

サムライインキュベートのアフリカ起業家へのインタビューシリーズ、第3回は、家庭における様々な家事代行(調理・掃除・洗濯など)を可能にするスーパーアプリを運営するEden Lifeの創業者、Nadayar ENEFESIへのインタビューです!
Nadayarは2014年にAndelaというエンジニアの育成プログラムを提供するスタートアップを起業後、同社で働いていたメンバー2名と共に、2019年にEden Lifeを創業しています。
(Andelaは2021年9月ソフトバンクから$200M調達し、ユニコーン企業の仲間入りをしている)
(第2回インタビュー:食材配達サービス「Pricepally」のバックナンバーはこちらから


1.人々のおうち時間を豊かにする「Eden Life」

ナイジェリアの大都市ラゴスは、ストレスの多い都市生活ランキング2021で2位に入るほど、住生活環境が過酷と言われています。本ランキングは行政環境(安全性・男女平等など)・人口密度・天候・経済(金融・雇用環境)・健康などの様々な観点から各都市をランキング付けし、スコアリングしたものになります。ラゴスが世界2位にランキングされた理由は、高い失業率(41%)など様々な理由があるものの、その1つに、都市部の人口過密による渋滞が挙げられます。
ラゴスの渋滞は、ひどい時には50km進むのに3-8時間かかることがあるほど深刻で、都市部に住む人々は通勤に片道2-3時間かかることも珍しくありません。週で換算すると、なんと20-30時間も通勤に費やしているのです。その為、皆朝早く出勤する必要があり、帰宅も遅い為、家事に費やす時間を確保するのが難しいのが現状です。
Eden Lifeは、そんな都市部で生活する忙しい人々の生活に貢献する、家事代行スーパーアプリです。Eden Lifeを通して人々は食事のデリバリーや、掃除・洗濯などの家事を依頼することで、限られた家での時間を家事に追われるのではなく、家族と過ごす時間に置き換えることで、人々の生活を豊かにしています。
Nadayarに、何故Eden Lifeの起業に至ったのか?そして2社目の起業をして、学んだEden Lifeカルチャーの創造の大切さ、投資家との付き合い方などについて、インタビューしました。

2.ナイジェリアに今、必要なもの

私は、2014年にAndelaを起業した時からラゴスに住んでいます。ここに住み始めてから、ラゴスで生きていく、ということがいかに大変か、身を以て実感しました。Eden Lifeの共同創業者とともに2014-2018年の間はAndelaで働いてきましたが、皆私と同じような意見でした。それでも、私たちがナイジェリアに留まることを決めたのは、”ここでは面白いことが起こっている”という実感を得られたからです。アフリカの未来は、次の10年はここで作られると感じています。

ナイジェリアでの生活を少しでも快適にする為に、持続可能かつ、そこに住む人々が楽しみながら利用出来るシステムを備えた新しい都市を作りたいと思っていましたが、もちろん私たちにそのような都市を作るための資金はなく、また不動産や都市計画の知識やコネクションもありませんでした。しかし、私たちにはソフトウェアやテクノロジーに関する経験・知識がありました。最終的に、自分たちの経験・知識を活かして、ナイジェリアの整備されていないインフラに困っている人たちに対して、彼ら家に戻ったときにリラックスできるようなサービスを提供するというアイデアに落ち着きました。

現在、ラゴスの多くの家庭ではホームヘルパーを雇っているものの、様々な問題に悩まされています。時間通りに来てもらい、仕事を頼み、完了するまで見届けるのは負担が多く、また品質も問題でした。また、評価システムが存在しないため、ヘルパーがより良い仕事をするためのインセンティブがなく、質が向上していませんでした。

そこで私たちは、家事を外注できるようなサービスを作れないかと考えました。評価システムを導入することで、ユーザーはホームヘルパーのレビューを見ることができ、適切な仕事をしたホームヘルパーは良いレビューを得ることができます。また、何か問題が発生した場合は、ユーザーが満足できるサービスを提供するために必要な対応を、当社が間に入り保証することで、ユーザーにとって満足度の高いサービスを提供することが出来るのではないか?と考え、Eden Lifeを起業しました。

3.Eden Lifeからアフリカのサービス業界へ革新を

この仕事はやりがいに満ちています。私たちの仕事は、今まで”テクノロジー”の恩恵を受けていなかった業界に対して、初めてテクノロジーを活かしたサービスを提供することにより、人々の生活に桁違いのインパクトを与えることが出来るという、斬新かつ貴重な機会に満ちています。
また、Eden Lifeはアフリカのサービス文化全般に対しても大きな影響を与えています。私たちのサービスを通して消費者の期待水準とサービス提供者の能力が上がっていくことで、サービス業界全体の品質向上に繋がり、第三次産業の盛り上がりに貢献することが出来ます。
日々の業務の中で、お客様からの好意的な評価を目にすると、本当に嬉しくなります。私たちは常にサービス品質の改善に努めていますが、お客様がその改善を確認・実感してくださるのを見ると、とてもうれしく、充実した気持ちになります。
Eden Lifeが業界・社会全体にもたらすインパクトや、日々の業務でのお客様からのフィードバック、これらが私をやる気にさせ、愛をもって仕事に取り組めている理由です。

4.Eden Lifeでの挑戦

仕事をする中で最も苦労しているのは外部パートナーに依存して業務を行わなければならない場合です。私たちの事業は、外部パートナーと協力して行う必要がある為、自社に起因しない問題が頻発し、常に悩まされています。私たちが何もせずに状況が変わるのを待っていることは許されず、何かしらの対処をする必要がありますが、中には簡単な解決策が見つからないこともあり、常に頭を抱えています。この問題に対しては、自分たちが管理する全ての業務プロセスで素晴らしいパフォーマンスを提供することで、外部パートナーにも同じパフォーマンスを求め、インセンティブやペナルティを設けるなどの対応をしています。

私たちが抱えるもうひとつの課題は、Eden Lifeは物理的なインフラ、人、そしてテクノロジーの3つが交差した事業を行っている為、この3つの分野で常にイノベーションを起こす必要があるということです。テクノロジーと人のプロセスについては非常に迅速に処理・統合を進めていますが、時には物理的なインフラについても刷新する必要があります。 
例えば、Eden Lifeでは 社内で行われる食品加工を管理する技術を構築した後、その技術を全社で利用しながら、週次ベースでフィードバックに基づき改良を続けています。一方、物理的なキッチンスペースにおいては、短期間でかなりの変更・修正を加えています。今後数ヶ月のうちに第二キッチンのオープンまたはより広いキッチンスペースへの移動が必要になりますが、その際は、第一キッチンで学んだことを、新たなスペースでどう活かすか?という点も考えなければなりません。Eden Lifeはこの3つの次元での革新をし続けるという挑戦的な取り組みをし続けています。

5.Andelaで学んだこと

Andelaで学んだのは企業文化の大切さです。前職のAndelaでは、社員の誰もが毎日出社するのが楽しみになるような、とても素晴らしい文化がありました。これは、私たちが創業初日から意図的に作り上げたものです。私たちは、社員全員が自分の会社の良さを身をもって実感出来る会社を作り上げようとしました。良い会社とは、政治的なかけひきや、話し方や見た目の良し悪しでの昇進などではなく、自分の努力や結果に応じて、より多くの責任を任される会社です。

企業文化におけるもう一つの重要な点は、社員を大切にする、という文化です。社員対経営陣という構図ではなく、会社は社員の味方であり、会社のビジョン・ミッションが全社で共有できており、それを達成するために一丸となって働いているような環境を作ろうとしています。5年後、会社の成功と同時に、共に会社を創り上げた人たちも自分の人生で成功を収めているようにしたい。彼らは仕事を通して学び、キャリアを積み、素晴らしいネットワークを構築し、素晴らしいパフォーマンスを発揮し、充実感を得ているのです。あるいは、ストックオプションを持っていたことで、一夜にして億万長者になってしまった。このような会社を創りたいと思っています。企業文化を構築することの大切さは、私たちがAndelaから得た最大の学びです。

もうひとつは、データの活用です。前職では、データの重要性は理解していたものの、事業開始から2年後までデータ活用を本格的に開始しておらず、それが事業の進捗に後々影響を及ぼしました。そこでEden Lifeでは、初日からデータに注目しています。測定できるものはすべて測定し、例え測定システムが最初は理想的でなかったとしても、データをとり、時間をかけてシステムを連携させていくことで正確な測定ができるように繰り返し修正を行っています。

3つ目は、ブランドイメージの確立です。Andelaは、非常に優れたブランドイメージを確立し、誰もがAndelaに関りたがる、そんな世界観を作り上げました。Eden Lifeは、まだブランドイメージ確立に力を入れていないので、今後投資していきたい分野です。
この3つが、私が過去の経験から学んだことです。最初の2つ、企業文化の構築とデータの活用については、創業初日から注力して行っており、今後はブランドイメージの確立にも、もっと大きな投資をしていくつもりです。

6.起業家が求めている支援とは

起業家が求めているのは、次のレベルに到達するためのサポートだと思います。例えば、アイデアやプロトタイプが出来たばかりの起業家が本当に考えているのは、もしY Combinatorに参加したら、自分の会社のレベルは変わるだろうということです。もしも、プレシード投資家がいるとしたら、その投資家はどのようにしたら彼らがそのステージに入れるのかを考え、支援すべきです。例えば、応募書類の審査であったり、ビジネスモデルの再考を手助けすることであったり、何らかの形でブログラムへの採択を手助けすることになります。
また、全ての起業家は顧客を求めていますから、投資家が顧客やサービス提供者との戦略的関係を提供することで、起業家はより多くの顧客を獲得することが可能になります。
もうひとつは、私自身もまさに今欲しているのですが、Slack、Intercom、Mailchimp、GSuite、Notionなど、日々使用しているさまざまなツールのコストを下げる方法です。もし、投資家の支援により、これらの運営コストを削減し、安くする方法があれば、それはとても大きな助けになります。

米山 怜奈(サムライインキュベート)& Nadayar ENEGESI(Eden Life)


<編集後記>

ありがとうございました!前職で得た経験を糧にして、アフリカのサービス産業に革命を起こそうとしているEden Lifeをサムライではこれからも支援していきます!