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アフリカの物流を効率化する「Oneport365」

サムライインキュベートは、2018年からアフリカのスタートアップへ投資活動を行っており、現在まで計26社に投資を実行しています。今後、アフリカで活動する弊社の投資先起業家へのインタビューをシリーズ化してお届けしていきます!起業家のどのような課題意識から起業に至ったのか、事業を行う上での葛藤や喜びなどを率直にお伺いしました。
第1回は、ナイジェリアで物流事業を行うOneport365の創設者、アヒオメ ソラ ウシダメさん(通称:ヒオさん)(Mr. Akhiome(Hio) Sola-Usidame)のインタビューをお届けします。

【目次】
1.アフリカの物流を効率化する「Oneport365」
2.起業のきっかけ
3.起業家としての道のり
4.事業のやりがい
5.サムライインキュベートとの取り組み
6. ベンチャーキャピタルへの期待
7.2021年の目標

1.アフリカの物流を効率化する「Oneport365」

Oneport365は、世界レベルの貨物輸送のアクセスを端から端までデジタルで繋ぐことで、複雑な貿易手続きをわかりやすく見える化するプラットフォームを提供しています。Oneport365のプラットフォームを活用することで、アフリカの企業はサプライチェーンの収益性、説明責任、信頼性を向上することができます。彼らのビジネスは、革新的な総合監視ソリューションによって新しい収入源を生み出す「レバレッジング テクノロジー(leveraging technology)」を実現しています。ヒオさんに、起業家としての今までの旅路と、彼自身とOneport365の将来について伺いました。

2.起業のきっかけ

ーOneport365のの起業に至った経緯をご自身のご経験と併せておしえてください。

Oneport365創業者のヒオです。私はナイジェリア生まれですが、中学生からイギリスに移住し、大学卒業後は、数年エネルギー業界で、製油に関わるプロジェクトや物流を担当し、イギリスとアメリカを往復する日々でした。2016年にナイジェリアに戻り、その後Oneport365を起業しました。
当時のナイジェリアでの大きな課題の一つは、ナイジェリア国内の貨物の移動でした。ナイジェリア北部の商品価格は南部に比べて60-70%も安いんですが、ある日「なぜ、北部から届く物は、こんなに高いのか」と疑問に思い、友人に訪ねました。友人は「鉄道を含めた物流がうまく機能していないから、物流費用が大幅にのっているからだよ。」と答えました。それからというもの、なぜナイジェリアでは物流が上手く機能していないのか、謎を解くことに熱中し始めました。
私たちは、まずはバラ積み貨物を移動させてみることから始めました。NestleやAgroallied, Procter & Gambleのような大手の卸売業者のコンテナ貨物を港から鉄道にトランスロードし、その後トラックへ積み替え、トラックから複数の倉庫へ格納しました。サービスを運営する中で、顧客から「他の物流業者とやり取りしたくない」という要望を頂き、その後私たちはラゴスの港でコンテナの仕分けにも関わり始めました。

最終的に物流のボトルネックは、輸出入業者が貿易の過程で官僚的な行政機関と多くの仲介業者を介さなければならず、それがとても非効率的なシステムになっている点であることが分かりました。そこで、もし私たちがバリューチェーン全てに関わるプラットフォームのようなものを立ち上げれば解決策になり得るのでは、と思いついたのがOneport365のアイディアです。
Oneport365のコンセプトは、輸出入業者ができるだけ簡単に、例えば私たちがラゴスからロンドンまでの航空券を買うように、貨物輸送ができるようにすること。そのプラットフォームを使えば、事前に輸送コストが分かり、貨物の追跡を100%行うことができ、「AからZまでの区間、コンテナ貨物を効率的に運びたい」というナイジェリア貿易業者の願いを実現させるというものです。私たちは、お金を払っても仕事をしないような多くの中間業者を、1人の担当者や会社で代替することができます。Oneport365を通して、アフリカへ輸出入したい業者の為の貿易プロセスの合理化を目指しています。

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3.起業家としての道のり

ースタートアップの創業者としての道のりは苦難の連続だと思いますが、これまでどのような課題に直面して、どう解決しましたか?

私たちは2020年初めにOneport365をローンチしましたが、ここまでとても面白い旅路でした。自分たちの事業が社会にどのようなインパクトを与える可能性があるのかは理解していても、実際に市場に受け入れられるのかは全く予想がついていませんでした。
新型コロナウイルス真っ最中の7-8ヶ月間、私たちはナイジェリアで2番目に主要な港であるPort Harcourtで6名のチームでビジネスをしたんですが、その時の一番の課題は、多くの貿易業者が通常の非効率な貿易システムに慣れきっており、国際貿易全体のサプライチェーンの効率化というコンセプトを理解し、プラットフォームにオンボーディングするのに時間が掛かったことです。結果、導入に反対する業者にプラットフォームのメリットを伝えるために、多くのマンパワーを割く必要がありました。今日では、Dangote Groupのような上場企業や、北部からの中小貿易業者に、プラットフォームに参加いただいています。効率的なエコシステムを構築しマーケットを一元化するのは途方もない挑戦ではありますが、素晴らしい仕事です。

4.事業を行う上でのやりがい

ー事業を行う中で、一番やりがいを感じる時は?

私が一番楽しいと思える瞬間は、難しい課題に取り組んでいるときです。日々、新しい課題に直面することが好きで、同じことをし続ける仕事はあまり楽しめないタイプです。もしイギリスのような先進国で働いているのなら、従うべきガイドラインが整っており、ほとんどのことは上手くいくものの、逆に日々は単調です。ナイジェリアでは、毎日解決すべき新しい挑戦に出会うことができます。予め準備したり調整したりすることはできない課題に向き合う必要があります。
物流システム全体に関わるボトルネックにより、アフリカ域内の貿易は全ての大陸の中でも最下層レベルです。どうすればこれらの課題を取り除くことができるのか。この大きな課題に立ち向かうという意識が私を興奮させ、日々奮闘させ続けてくれています。物流手続きの最後に、お客様から書類と共にもらう笑顔と感謝の言葉は、私の原動力であり、やりがいを感じる瞬間です。

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5.サムライインキュベートとの取り組み

ーサムライインキュベートとの関係について教えてください。

投資ラウンドのアドバイザーを経由して、Rena(サムライインキュベート/米山)と出会いました。私が彼女からの支援で感謝していることの1つは、私が彼女にいつでも連絡を取ることができることです。彼女はどんな時も、私の連絡に対して迅速に反応し、事業の相談や他投資家とのコミュニケーションなどについて頼ることができました。投資家から投資を受けることは、いわば結婚のようなものです。投資家からのネットワークも重要ですが、頼れる存在があるというこの感情的な想いは定量化することはできません。サムライインキュベートのサポート体制のおかげで、私は正しい決断を下し、より迅速に問題を解決することができて、とても助かっています。

6.ベンチャーキャピタルへの期待

ーアフリカのスタートアップは、投資家にどんなサポートを求めていますか?

投資家からの支援はもちろん投資という金銭的支援が最大です。しかしながら、投資家にとって大事なのは、それ以外の何をテーブルに並べられるか、だと思います。財政的支援は、多くのアフリカのスタートアップにとってもちろん助かるものですが、同時に財政的支援以外のものも提供できる投資家はとても価値があります。それは定量的に測定できるものではないですが、アフリカのスタートアップにとっては重要な鍵となるものです。

ーベンチャーキャピタルへ伝えたいことはありますか?

重要なのは、起業家を支援し続けること、そしてアフリカのスタートアップについての換気を促し続けることです。世界の片隅には、世間が気がついていないような素晴らしいことをしている多くの素晴らしい企業があります。FlutterwaveやPaystack等のスタートアップについてのニュースを耳にすることはありますが、まだロシアやイギリス、アメリカなどのVCが、アフリカのスタートアップに注目するほどのレベルではありません。
アフリカは、テクノロジー的には他国に比べ遅れている大陸として取り上げられられていますが、実際は急速にキャッチアップをしています。アフリカのスタートアップの成功ストーリーをもっと広めることでアフリカのスタートアップに関心を持つVCが増え、繋がりが生まれて、市場全体が盛り上がっていくことを期待します。

7.2021年の目標

ー2021年の目標を教えてください。
1つ目の目標は、2021年末までに私たちのネットワークから来ている10件の注文に対して、少なくとも6件はプラットフォームを通じて予約して頂くことです。2つ目の目標は、1年間で1,500以上のコンテナの取引を達成することです。これが私たちにとって重要な指標です。また、ナイジェリアでのOneport365の知名度を高め、2021年内にガーナにも進出したいと考えています。

ーお忙しい中ありがとうございました!


いかがでしたか?アフリカの物流課題に果敢にチャレンジするHioを、サムライインキュベートは引き続き全力で支援していきます!

次回は、ナイジェリアで共同購入型E-commerceサイト「Pricepally」を運営するLuther Lawoyoinへのインタビューをお届けします。お楽しみに!