見出し画像

5.橙色に染まる街

1st アルバム 『サミュエルゴールデンベルグ』

について3人で制作の背景を振り返りました!!

今回はアルバム5曲目の『橙色に染まる街』について語ります。




-青い電車


K(Ba)      : デモのタイトルは『青い電車』だったね。

A(Vo,Gt) : これもM(Gt)くんがオケを作ってきてくれたね。最初のリフとドラムの規則的なリズムから、電車に乗ってるときの線路の音とか、車窓がどんどん移り変わる雰囲気を感じて、その仮タイトルにさせてもらった。Aメロの歌詞は青い電車の世界観で作ってるね。

M(Gt)     : アルバムの最後から2番目の曲の『カーバンクル』みたいな雰囲気の曲が欲しいねって話が出てて、春に取り掛かったんだけど、ちょうどその年の桜の開花が早いってサウナのおばちゃんから聞いて、散るのも早いから急いで見に行かなきゃなって、下ろしたてのコンバースの靴紐を結んで足早に見にいってるときのイメージで作ったんだ。
なんかわくわくしてスキップしながら目的地に向かってる感じというか。

K(Ba)      : そうだ!最初のタイトルは『コンバース』だったね。

A(Vo,Gt) : そうだコンバースだ!笑 ごめん、スキップして徒歩で向かう背景知らずに電車で向かってしまった。

M(Gt)     : この曲は『醒めない』みたいに曲の背景を固定するパターンじゃなくて、みんなが感じたものを入れてく作り方にしたかったから全然OK。笑 逆にどんな曲になるのか楽しみにしてた。
もらった歌詞を見て、同じように目的地には向かってたんだけど、A(Vo,Gt)くんは電車でいくんだなーとは思った笑
けど、ラスサビで『季節外れに咲く花が次第に揺れる街を彩ったなら』ってところはまさに桜の開花のくだりとも一致してるから、結果的に元々の背景も描けてるんだよね。

A(Vo,Gt) : タイトルの変遷を経て、最後に『橙色に染まる街』なったね。俺が最初に作った歌詞は目的地に向かってて、改札を抜けるところまではいってるんだけど、それがどこなのかあんまりはっきり描けてなかったんだよね。その辺を最後にみんなで話し合いながら詰めて、タイトルもその目的地にしたっていう流れだったね。

M(Gt)     : 曲を作りこんでいくうちに、フジファブリックの『陽炎』とかキンモクセイの『二人のアカボシ』みたいな雰囲気にしたいって話も出てたね。

A(Vo,Gt) : 明るくて聞きやすいだけじゃなくて、少しだけエモい?懐かしい?要素は入れたいなって思ってた。
場面としては、電車に乗って目的地に向かってるだけなんだけど、その間に現実の描写と回想と妄想(願望?)が混在してるような歌詞になってると思う。


-スタジオで一気に完成


A(Vo,Gt) : この曲はデモができてから完成までかなり時間かかったよね。

K(Ba)      : 最初、曲の厚みがなかなか出なくて、ミックスも色々試したね。
特にAメロのベースは淡々としたリズムに合うフレーズを探すのに苦戦した。なかなかうまくいかなくて、アルバムに入れられるかも検討したぐらいだったんだけど、アルバム完成直前のスタジオでそれぞれの楽器でできる色々なパターンを試せて、その日に一気に完成までいったよね。

M(Gt)     : サビも最初はAメロからのリズムを残して淡々としてたんだけど、ラスサビ前にK(Ba)くんがギターの1フレーズを入れてくれたり、サビにオクターブのリフを入れてディストーションをかけてみたり。色々試したら緩急ができて一気に世界が広がる感じを表現できて完成したよね。

A(Vo,Gt) : 実は歌も結構難しくて、特にAメロは今までのレコーディングの中でも一番苦戦したかも。

M(Gt)     : ほかの曲と比べると歌詞も多めだもんね。ライブのとき大変だね笑

A(Vo,Gt) : 練習しときます笑



まとめ


アルバムの中で、気づいたら再生したくなるような曲を目指しました。

最初は桜の開花を新しい靴を履いて見に行くことがテーマになっていた曲でしたが、それぞれのイメージを足していき、世界観が出来上がっていきました。

昔よく使っていた路線の電車に乗り、当時よく聞いていた音楽を再生し、車窓を眺めながらあれこれ回想しながら目的地に向かっている。そんな場面を描いた曲に最終的には仕上がりました。


有難いことに "AMAKUSA DIARY" の挿入歌にも使っていただきました。
歌以外の音源もM(Gt)くんのギターです。
映像の雰囲気も、声優の方の声もとても素敵ですので、ぜひ一度ご覧ください。





Lyric

ゆらりゆら季節は溶けて滲む
変わり映えないこの列車の
座席シート角にもたれる僕は
どこへ向かってる プレイリストに身を委ねて
行けるところまで行こうか まだ夢を見ていたい

駅前のあのレコードショップは
去年の夏に潰れたらしい
また君を作る一つがぼやけて消えた
過ぎる駅も目で追えば
全て見えてたつもりでいた
降りる背中が記憶の隅で疼いた

改札を抜けて行き着く街には
君の好きな海が見えた
変わらないことを数えて僕は
溶け出す街に響く鐘を待ってた

乾いたシャッター通りを吹き抜けていく夜風が
冷めた現実に怯えた二人を連れていく

季節外れに咲く花が次第に
揺れる街を彩ったなら
足りない言葉を数えて二人は
夕暮れの街へ飛び出した

改札を抜けて行き着く街には
君の好きな海が見えた
変わらないことを数えて僕は
溶け出す街に響く鐘を待ってた

Written by Samuel Goldenberg