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涙のROCK断捨離 65.SCRITTI_POLITTI「ANOMIE & BONHOMIE」

スクリッティ・ポリッティ「アノーミー・アンド・ボノーミ」/SCRITTI POLITTI「ANOMIE & BONHOMIE」
1999年

あの、スクリッティ・ポリッティです。
1985年の「キューピッド&サイケ85」は永遠の名盤でした。
あの時代に強烈な影響を受けてしまった私は、もうその後の作品を正しく聴くことができなくなっていますので、かなり水増しされた感想になることでしょう。

グリーン・ガートサイドという天才クリエイターの音楽集団であるスクリッティ・ポリッティは、1982年のデビューから現在までで、わずか5枚しかスタジオ・アルバムを出していません。
なので、バンドとしての音楽性がどうなのかは語りにくいのですが、シンプルに表現すれば、常にその時代の最先端の音を鳴らしているということです。

この「アノミー&ボノーミ」は1999年に発表された4枚目のアルバムで、
ヒップホップ的なアプローチを交えて、センスの固まりを聴かせてくれます。
以前のような音響的なこだわりよりも、楽曲としての心地よさを優先させたような、超カッコイイ曲が並びます。
ダンス・ミュージックであったり、ポップ・ロックであったり、アンビエントなハウスやラップだったり、アルバムには多彩な楽曲が詰め込まれていますが、それらの全てにグリーン・ガートサイドの魔法がかけられているのです。演奏もボーカルも完璧で、非の打ちどころがありません。
フェスで盛り上がりそうな1曲目から、クラブで大音量で聴きたい曲など、どれも比較的おしゃれな気分に浸れるのが特徴ですが、最後の曲はクールなだけでなく切なさに胸が痛みます。

スクリッティ・ポリッティの不幸は、セカンド・アルバムの「キューピッド&サイケ85」が素晴らしすぎたがために、これを超えるアルバムは生涯作れないかもしれないことです。
今回の「アノミー&ボノーミ」も、その出来の素晴らしさに対して、一般の評価は高くないかもしれません。正直言えば、コレと言った心に深く刺さる曲があるわけでもありません。
でも、なんかカッコいいのです。否定できません。
(これはひょっとしたら、地方出身者が都会のオシャレさんに感じる気後れ感に似てる? だとすると、私がいちばんカッコ悪いぞ。)
何にしても、褒めておいて間違いはないでしょう。
おそらく新譜が出れば、迷わず買います。


Spotifyで聴けます。
https://open.spotify.com/album/7esUw6Hb8fGs3nRCEsVmoC?si=CqXYgaCeQfG85f3yfjnI9w

写真の使用許諾に感謝します。
Photo by Deleece Cook on Unsplash