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トラブル対応

企業でマネージメントをしていると、どんなに気を付けていても、トラブルが起こることはあります。

そんな時、
現場が適切に処理したので終わったことだとか、
あの時点では問題は無かったとか、
担当は適材適所だったとか、
そんな眠たいことをいうビジネスマンはいません。

おそらく、どんなレベルの低い会社(失礼な言い方ですが)でも、マネージャーは再発防止のために原因を追究して、新しいルールを作るなどの対策を行います。

ただ、正直なところ、この原因究明が甘い会社は多々あり、対策が不十分な会社も多くあります。
これは、マネージメントのスキルにかかわってくるのですが、こうしたトラブルを業務改善につなげて成長できるか、とりあえず問題処理だけして穏便に納めるかでは大きな差が出ます。
場合によっては、トラブルはマンネリ化した状況を変えるチャンスにもなりえるのです。

部下のやってしまったことであっても、責任は上司にあります。
それは前提として、トラブルやミスは、起こす人は何度も起こす傾向があり、制度や仕組みだけでなく、人にまで切り込んだ原因究明をするべきです。
責任は私にある。批判は真摯に受け止める」では、そこで終わってしまうので、話しになりません。

ひとりのミスで起こったトラブルでも、影響は部門全体に及びますから、
当事者の評価は厳正になされるべきです。
そうでなければ、真面目にやっているメンバーが納得できないでしょう。
チームで仕事をするときに、最も危険なのは、単発の大きなトラブルではなく、全体に蔓延するモラルの低下なのです。

いつのまにか、そういう企業文化が形成されると、つまらない不正を働くのが頭の良い生き方だと言うような、こズルい奴らがのさばる会社ができあがります。

トラブルの性質にもよりますが、これが違法なこと社会通念上許されないことであったり、企業のブランド価値を棄損するようなことであった場合、厳正な処置が求められます。
私としては、企業のブランド価値を棄損する行為は、その後のチーム運営にかかわるので、最も大きな問題だと捉えて対処します。

一方で、対象が仲の良かった部下であっても、あえて厳正に処罰することがモラル復活のきっかけになるということも考えられます。
身内の起こした不祥事に乗じて組織を改善するというのは、気持ちの良いものでは無いかもしれませんが、自分の近くで起こったことだからこそ、あえて通常よりも重い処罰をすることで、「この組織は不正を許さない組織である」「私は不正を許さないマネージャーである」と宣言できるのです。

また、問題に対して「あの時点では正しい判断だった」としたら、そこで思考停止してしまうので、今後の改善はできません。
仮にそうだったとしても、そう言い切ってしまうのではなく、「本当ならどうしていれば良かったのか」「どうであればトラブルは防げたのか」「もっと良い成果を得るにはどうしておけばよかったのか」と考えるのが普通です。
「あの時点では正しい判断だった」という言葉が、気落ちしたメンバーを奮い立たせるために言われるなら分からなくはありません。
しかし、責任を追及されるシーンで外部に対してこう発言するようなマネージャーがいたら、広報に発言を止められるでしょう。

もちろん、チャンレンジしている仕事において、トラブルは起こってしまいます。
マネージャーとはそんな時にこそ能力を発揮して欲しいのです。
トラブルへの具体的な対応だけでなく、やることは沢山あります。
しかし、筋が通っていれば、全てはシンプルに対応できるのです。それは企業理念であったり、お客様へのポリシーであったりします。
国家公務員の場合は何でしょうね。

現場が適切に処理したので終わったことだとか、
その時点では問題は無かったとか、
適材適所だったとか、
士気を高めて信頼回復に全力を尽くしてもらいたいだとか、
そんな馬鹿げたことをいうレベルの低いマネージャーは、民間の中小企業にはいません。

トラブルが起こっても、仕事は続きます。
今後も、期待していたのにやらかしてしまう社員や取引先も出てしまうでしょう。
でも、仕事が続く限り改善活動も続きます。
今よりも状況を良くしようと思っている中小企業のマネージャーの皆さんは、あんなことを言って、せっかくの改善のチャンスを無駄にしたりなさいませぬように。


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Photo by Sebastian Herrmann on Unsplash