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試して、話して。自分にとっての”ここちよさ”を見つけるお寺

天王山安楽寺オリジナル企画「さむ活」プロデューサーの山田です。

さむ活とはお坊さんの修行のひとつ「作務」から生まれた非日常体験企画。仏器みがきやお地蔵様そうじ、落ち葉かきや護摩堂そうじなど、お寺ならではの体験を通してリフレッシュしていただき、ゆっくりとした自分時間を過ごしてもらおうというものです。

▼次回は9月24日(日)開催!詳しくはこちら
https://samu-katsu0924.peatix.com/

さむ活は毎月末頃に、1日中お寺を開放するような形で開催中。今のところ朝9時から夕方5時までオープンで、ご予約なしにいつでもお越しいただけます。いろんなさむを選んで体験いただいたり、瞑想や精進スイーツがセットになったよくばりプランでちょっと贅沢な時間を過ごしていただいたり。

このレポートではさむ活の様子をお届けしながら、わたくし山田の頭の中に浮かんだ問いや実感を書き記していきます。


時間と空間のつくり方

さむ活の軸となるのはもちろんさむ。お坊さんの修行「作務」を元にしたリフレッシュ体験です。最近さむ活メンバーが考えているのは、そんなさむを楽しんでもらう時間と空間の作り方

去年のさむ活は「9時集合/11時までさむをして/その後プチ瞑想体験と精進スイーツの試食」…と、タイムスケジュールをきっちり定めて開催していました。これはもちろんイベントとしてはよくある形。参加さえしてしまえばあとは順番にプログラムが進行していって(内容と参加者の希望がマッチしていれば)充分楽しい時間を過ごすことができます。

でもこの形。「さむ」という体験の効果をフルパワーで発揮するには少しもったいないんです。どういうことかと言いますと…

さむのほとんどは、掃除や草むしりなどの単純作業。難しい段取りを考える必要がないので頭を使わなくてよく、目の前の汚れや雑草にただ向き合う時間です。つまり今ここを全身で味わえるのが大きな魅力。「昨日のあれがなあ」「明日どうしようかなあ」と過去や未来を考えてしまうことが多い(というか、考えざるを得ない…)日々の暮らしの中で、今この瞬間・地に足を付けて「居る」ことができる時間がさむ活なんです。

ということは、軸になるのは今の自分。だからこそさむの取り組み具合は人それぞれ、ばらばらです。目の前がすっきり綺麗になるまで1時間でも2時間でも草をむしり続けたい!という人もいれば、時間をかけると逆に集中が切れて疲れてしまう人もいます。1つの仏器の細かい溝の汚れまできっちり落としたい人もいれば、より多くの仏器をどんどん磨き進めていきたい人もいます。

そんな人それぞれ・ばらばらのここちよさをできるだけ尊重するために、今年は何時に来ても/何時間いても/どのさむをしてもOKというスタイルに転換。「さあ、みなさんの好きな居方を選んでくださいね~」とオープンしたのですが…

本当に選べる形になっているのかしら?

お好きなさむを/過ごし方をどうぞ~と自由度を高めたつもりが、自由過ぎて何を選んでいいものやら…とお客様を迷わせてしまうシーンが続出。他のお客様に合わせていただく形になったり、さむ>瞑想>精進スイーツと全員一斉&一律のスケジュールになってしまったり。「本当にその方にとってここちよいペースや居方で過ごせているのだろうか?」「本当は違うことがしたかったかもしれないのに、むしろ選択肢を狭めているのかも」と新たな課題が見えてきたのです。

そこで今回は、あえて自由さを少し制限。活動内容とスペースを紐づけして3つのスペースを設けてみることにしました。

1つ目は「さむ活スペース」
この日はとても暑い日だったので、しっかりクーラーの効いた室内でできるさむの道具をセッティング。さむ活をしたい方はここに来ていただくと、好きなだけさむを楽しんでいただけます。とはいえ、室内なので選べるさむは多くないので、次回以降の形は要検討……

2つ目は「飲食スペース」
よくばりプランで楽しんでいただける精進スイーツはこちらでご提供。お昼をまたいで一日過ごしたい方は、ご持参いただいたお弁当などをお召し上がりいただいても大歓迎!なスペースです。

ケトルとお茶、コーヒーなど自由に飲んでいただけるフリードリンクも設置。

そして3つ目は……

新たな取り組み「ソロ活スペース」
安楽寺には1日1組限定で宿泊することができる宿坊スペースがあるのですが、なんとその空間を独り占めできちゃう素敵な空間。一定時間に一人、もしくは一組限定でお入りいただけて、読書やお仕事、ご持参のお食事を食べてもOK。もちろん何をするでもなくぼーっとしてたっていいんです。

今までのさむ活は参加された方同士の会話が自然と広がって、他の参加者の方と一緒にみんなでさむを楽しんでいただく……というシーンが多かったのですが、中には一人/自分のペースで過ごしたい方もいるのでは?という思いから生まれたスペースです。

これら3つのスペースを設定してお客様にご案内。したいことに応じてその場所に居ていただいて、他のことがしたくなったらご自身のタイミングで自由に移動していただける。そんな空間を目指してみました。

さて、一体どんな空間になったのでしょうか?

さっそく!ソロ活スペースにお客様が

8月26日(土)9時にさむ活がオープン。10時半頃だったでしょうか、常連のAさんがお越しくださいました。SNSでソロ活スペースのことをご覧になり「ぜひ体験してみたいです」とご希望くださいました♪

受付でもこんな感じでスペースをご案内~

読みかけのマガジンシ(安楽寺より最近発行された、死をテーマにした生活マガジンです。詳しくはこちら)など、ソロ活グッズを持ってお越しくださったAさん。さっそくソロ活スペースにご案内して、「ゆっくり過ごしてくださいね」「本堂にいますので、いつでもお声かけくださいね」とお伝え。スタッフは席を外しました。

その後プチ瞑想の時間になり、本堂にお越しくださったAさん。ソロ活のご感想をお聞きすると「本を読もうとしてみたけれど、一人だとちょっと寂しくて」「逆にそわそわしちゃった」とお話してくださいました。

そしてプチ瞑想。私もお誘いいただき、参加しちゃいました。
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なるほどたしかに!一人ぼっちの空間だと逆に集中しづらいという方もいらっしゃいますよね。「勉強するときは自分の部屋にこもるより、家族がいるリビングとか他のお客さんがいるカフェの方が捗る」みたいな。一方で、自分以外の人間がいると(相手が他人でも家族でも)どうも集中できない、という人もいらっしゃいます。そんな方にソロ活スペースはぴったりなのかも。

これってすごいことだ!

実はAさんが教えてくださったこのご感想。私にとってはとても嬉しいものだったのです。何が嬉しかったかというと、ソロ活スペースを試してみたら、(少なくとも安楽寺で過ごすには)一人じゃ寂しいことが分かったという発見を教えていただけたからなんです。

ソロ活スペースは一人でゆっくり過ごしたい方がいるかも?と思ってつくった空間ですが、Aさんが体験してご感想をくださったことで「その人が自分にとってのここちよさを試し、探すきっかけの空間」になれたように思います。

その後お越しくださったSさんも一緒に、護摩灰のお守りづくり
ひととき外に出て
大きな仏器に入った灰をこして
わいわいお話をしながら、楽しく仏器みがき~
細かい溝の汚れが気になる!ということで徹底的にみがいていただきました

さむ活を訪れてくださった方に、ソロ活スペースや様々なさむ、瞑想や精進スイーツに他のお客さんとの会話などなど、いろんな過ごし方を試していただく。そして「ああ私はこのさむが好きだな」とか「ソロ活スペースは寂しいな」とか、何かしらの発見をお持ち帰りいただく。

この発見はその方にとっての「ここちよさの種」で、安楽寺を去った後にも一人ひとりの生活の中でじわりじわりと芽吹き続けるものだと思います。

ということはさむ活って、安楽寺の中で完結するものではなく、参加してくださった方が自分自身で、その日々をここちよく彩っていくきっかけになれるんじゃないでしょうか。これって……すごいことだ!

いろんな過ごし方を試すことができて、自分にとってのここちよさを見つけることができる。そんな場所にさむ活が、安楽寺が、なれるような気がしています。

試して、話して

そんな場所であるために、安楽寺のさむ活ならではの大切なポイントがあります。それは試して感じたり気付いたりしたことを「話す」「言葉にする」ことができる環境があること。できるというか、ついつい話しちゃう、話したくなるという方が近いかも。

偶然居合わせた参加者さん同士で
共通点がある二人で
気になっていたあの人と
いつものあの人と…

住職せいはんさんや坊守あきさんとお話したり、さむ活をしながら他の参加者さんとお話したり。誰かと共感したり違いを見つけたりする中だからこそ見つかる新しい発見もあるんじゃないかなあ。さむ活が提供できる空間の、大切な要素がここにもあるように思います。

3つのスペースをつくり、参加者さんに貴重なお声をいただいたことでさむ活の可能性がさらにくっきりしてきた今回。スペースの運用はまだまだ発展途上!これからも探究は続いていきます。気になった方はぜひさむ活に遊びに来てくださいね。お待ちしております♪

次回のさむ活インフォメーション▶https://samu-katsu0924.peatix.com/

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