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コペンハーゲンを選んだ理由

なぜデンマーク・コペンハーゲンを選んだのかとよく聞かれる。答えはシンプルで、人生で一度住んでみたい街だったからだ。

初めてコペンハーゲンを訪れたのは、8年前。大学時代に短期留学していたアメリカから帰国する際、北欧に住む家族を訪ねるために日本へ東回りで帰った。

当時の自分は就活を控え、とにかく様々な新しい経験をしたいと思っていた。特にものを書く仕事やエディトリアルデザインに関心があった。北欧デザインにはあまり興味はなかった(笑)

初めてコペンハーゲンの街を訪れたとき、まちが綺麗だと感じた。建築や内装のデザイン、人々のファッション、シンプルだけど温かみのある、そんな印象をもった場所だった。人生のうち、一度は住んでみたいなぁとも思っていた。

一方でデザインには興味があったが、どの分野のデザインに自分が身を置きたいかは定まっていなかったので、コペンハーゲン市内にDesign Museum Denmarkがあることを知り、Googlemapに導かれるまま辿り着いた。

この時の展示のテーマが偶然にも(今思えば必然的)
Learing from Japan」だった。デンマークと日本のデザインの歴史がどのように交差し影響を与え合ってきたか、そのような内容だった。

展示を進んでいくと、日本の自然万物の中に美を見出す意識や浮世絵などの大衆文化だけでなく、ものづくりにおける意匠性、制作工程なども今日のデンマークデザインに大きく影響を与えていることがわかった。両国が今もなお、ものづくりにおいて交流が盛んであることも頷けた。

その時私は「この国の人々は私たちと同じような美意識を持っているかもしれない。何か分かり合えることがあるのかもしれない」と心のどこかで思っていた。

時は巡って8年後、私は海外移住先をどこにするか悩んでいた。海外に住むには兎にも角にもビザが必要だ。そのためにEU圏のデザイン関係の大学院を受験したがご縁がなく不合格となってしまった。今後のライフイベントを考えると、渡航のタイミングはずらしたくなかったため、次の手段としてワーキングホリデーを選んだ。申請可能国一覧をみていると、デンマークが目に入った。

その時、8年前のデザインミュージアムを訪れたときの記憶が蘇った。

私は当時よりも北欧デザインへの興味が増していた。なぜなら、彼らのデザインは生活の身近にあるものであり、消費したりモノをかっこよく見せるためのツールではなく、社会全体でうまく活用しているイメージがあったからだ。自分の今後のキャリア展開として、ブランディングデザインに関わり、自らの表現力や思考力、知見を広めたいと思っていたので、自分の好みと目的が合致した移住先だった。

新しい経験は過去の学びに支えられる、そう感じた瞬間だった。

先日、8年ぶりにデザインミュージアムを訪れた。思い出の美術館だと話していたら、パートナーが一緒に行こうと誘ってくれたのだ。
中に入ると、とても古いクラシックな建物にうまく融合したモダンで先進的な展示デザインは本当に見事で、そこにいるだけで沢山のインスピレーションを受け取った。
最後に一息つこうとミュージアムカフェに立ち寄った際、一番目立つ特等席のような壁面に、「Learning from Japan」の当時の展示ポスターが掲げられていた。それを見て、美術館スタッフを初め、デンマークの人々の日本文化へのリスペクトを感じ、胸が熱くなってしまった。

ご縁があって住むことになった街、せっかくだから、その表情を色々な視点から楽しんでみたいと思う。





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