祖母の面会

 帰京して、昨日、今日と父方の祖母のお見舞い。
祖母は大正生まれの99歳。ここ数年、施設に入って暮らしていたが、今年転んで大腿骨を骨折した。病気暮らしはつらかったみたいで、施設に戻ったあと、一旦は元気を取り戻したが、調子がどんどん下がり、先月、終末医療への切り替えのお話しが施設からあった。
以来、両親や僕が行ける時に行って、話しかけたり、もうなかなか食べなくなっているおやつなどを食べさせにお見舞いしているのだ。
祖母は高齢だからここ数年覚悟はしていたが、いざそれが現実的になると受け入れるのにひとつアクセルを踏まなきゃならないし、今月は僕も、そして父も出張で地方に行くというイレギュラーな時期ということもあり、母の負担が多くなってしまうし、もしものことがあったときに母一人で対応しぬくてはならない…。
母は心細いだろうし、不安がっている。だから地方の合間に帰京しているときはなるべ暮らしできることをするようにしている。
だから昨日は祖母のお見舞いをしたあと、母と夕飯を食べ、実家に泊まった。
祖母は喋らなくなった。お見舞いのときも一言しゃべったらずっと目をつむっている。食べることを億劫みたい。もうなにもかも嫌になったという感じ。今日、「99歳すごいね。たくさん生きたね」というと大きく頷いていた。声は聞こえている。
面会の30分間、なるべく話しかける。昨日は母さんと二人で。今日は僕一人だったので、大好きだよ、おばあちゃんと出会えてよかったよ、おばあちゃんの孫でよかったよ、たくさん大事にしたくれてありがとう、と伝えた。
頷いてくれた。
おばあちゃんは生きるのに飽きたのかもしれない。色んなものを日々閉じていってるよう。
老衰していっている。
それでも僕の手をとって頬に当ててスリスリしてある。だから僕も抱きしめる。
何かが、何かが伝わっていると嬉しい。
少しでも生きててよかったと思ってほしい。
毎回面会のあとは家族のラインに様子を報告する。
父は無口な昭和の人だけど、お見舞いに言ったときにはちゃんと言葉で伝えるように僕ははっぱをかけている。
ちゃんと、なるべく、伝えていてほしい。
幼少期に離れて育ったりした少し複雑な生い立ちだから、祖母との関係も難しい時期もあったみたいだけど、でも、根っこにあるものを伝えてほしい。
面会のあとは母と少し高めの回転寿司を食べて、韓国ドラマの話し。
母の趣味は韓国ドラマだ。
母も高齢という領域になってきた。祖母の状態がいつまで続くかわからないし、自分の体も大事だから無理せずにねと伝えた。
自分自身の生活を維持することがまず大事。 
人のために無理しそうだから息子としてはそれが心配。
母と一緒にいるときはなるたけ感じよく、楽しい時間を過ごせるよう努力している。
息子として感じよく居ること。そういう親孝行しかできないから、それをがんばる。


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