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ユニクロ vs ザラ ①

ファストファッションは完全にひとつの文化となった。

ファストファッションを代表する「UNIQLO(ユニクロ)」と「ZARA(ザラ)」は、それぞれ全く違うアプローチを取る企業です。

UNIQLOは日本のベーシックカジュアルを変え、ZARAは世界のトレンドファッションの常識を変えたと言われます。

それぞれの革新的な取り組みは顧客に支持され、我々の生活になくてはならない存在となりましたが、両社は真逆とも言えるぐらい対照的なアプローチを取っています。

例えば、

・対象顧客
UNIQLO:広く浅く
ZARA:狭く深く

・低価格の実現方法
UNIQLO:時間をかけてコストを抑えることで実現
ZARA:スピードを重視して値下げを抑えることで実現

・集客方法
UNIQLO:広告宣伝費に投資
ZARA:広告宣伝費をかけず店舗に磨きをかける

・品質とデザイン
UNIQLO:ベーシックなデザインで品質を極める
ZARA:最新トレンドの提供スピードに磨きをかける

全く違う哲学をもとに、それぞれのアプローチを取っています。

今回お伝えしたい結論としては、「両社の哲学を理解した上で、それぞれの商品を実際に手に取り、その奥深さを楽しんで頂きたい」ということです。

さて、とは言え両社には大きな共通点が1つあります。

それは「SPA」という手法を取っていることです。

「SPA」とは、自ら商品を企画製造し、自ら運営する店舗で直接消費者に販売を行うビジネスモデルのことです。他に、無印良品やGAP等がそれに当たります。

「自ら作って自ら売る」というビジネスモデルですね。

またSPA以外だと、「OEM」(ブランドが企画やデザインをして、製造を別企業に発注する形態 プライベートブランド等)や「ODM」(企画・デザインも別企業に任せる形態 しまむらや今は無きフォーエバー21等)と言った形態があります。

SPAには在庫コスト等のリスクがありますが、両社の哲学を実現するために最も適した形態となります。

【対象顧客とブランドポジショニング】

両ブランドの対象顧客とアプローチの違いを簡単に表すと、「年齢を問わず多くの人が着ることができるベーシックウェアをパーツとして提案するUNIQLO」「働く女性とその家族やパートナーのためのトレンドファッションをスタイルで提案するZARA」と言った形になります。

ユニクロはトレンドを追いかけず、誰でも着られるベーシック商品に特化し、またヒートテック等のインナーウェア需要などを取り込むことでブランディングを図りました。

それに対してザラは、世の中で最もファッションに気を使いお金もかける働く女性を顧客の中心に定め、百貨店クオリティのトレンドファションを高速回転、低価格で提供することでブランディングを図っています。

【店頭での販売サイクル】

洋服には賞味期限が存在します。季節(気温)やトレンドに大きく影響されるため、おおよそ8週間前後が店頭での正価販売期間として設定されます。食材と違い腐ったりするものではありませんが、売れる時期を逃すと在庫リスクを伴います。在庫が残ると保管のための費用や在庫に対する税金等がかかってくるため、売れ残った商品はセール等で値引き販売を行い、それでも残った在庫は破棄されることがほとんどです。(実は作られた商品の半分程が破棄されており、大きな環境問題となっています)

ともにSPAを採用している両社ですが、店頭での販売サイクルは大きく違います。

ユニクロは流行に左右されにくいベーシックアイテムを、毎シーズンの需要期に店頭在庫を欠品させないことに注力します。ベーシックウェアを大量に販売することで、低価格で高品質のアイテムを実現するユニクロは、機会損失を嫌います。在庫切れを起こしてはいけないという使命があり、在庫切れを起こさない様徹底的に管理を行います。寒くなってきたからヒートテックを買いに行こうと思い、店舗に足を運んだけれども売り切れだったという体験をされた方は少ないのではないかと思います。

一方ザラは常に最新のファッション商品を店頭に並べることに注力します。顧客を常に刺激し飽きさせない様に毎週新しいアイテムを店頭に並べます。しかしながらトレンド商品は、何が売れるか予測が非常に難しくなります。そこでザラは企画から店頭に並べるまでの時間を極限まで短縮する仕組みを作り、最新トレンドを反映したアイテムを少量だけ作り、それをできるだけ早く店頭に並べるという形を取っています。ザラは行くたびに新しいアイテムに切り替わっており、来客頻度も高くなっています。

②に続きます

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