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魅惑のシャングリラに始まる読書記録

少し前ですが、中国、チベット関連の書籍を読み漁った時の記録です。

きっかけは、年末年始に、中国雲南省の香格里拉(シャングリラ)に行ったこと。
※ノートの写真は、香格里拉のソンツェリン寺です。

まず、地元政府がその地名の根拠とする小説『失われた地平線』(ジェームズ・ヒルトン著)を読み、香格里拉では、名峰・梅里雪山(最高峰6740m)に思いを馳せたので、ルポ『梅里雪山』(小林尚礼著)を続けて。

『梅里雪山』でチベット族の習俗に関心を持ったので、村上大輔著『チベット 聖地の路地裏』を読んだ後、河口慧海著『チベット旅行記』を読破しました。

それぞれに読み応えがありましたが、文章の格調、小説としての完成度の高さという点で、『失われた地平線』は群を抜いていました。

理想郷という架空の地を舞台にしながら、その描写はまるで見てきたかのような臨場感。最後に急展開があるのですが、その直前までは私も主人公と同様、すっかり理想郷「シャングリラ」に魅了され、その世界にどっぷり入りこんでおりました。

ルポ『梅里雪山』は、1991年に梅里雪山で、日中登山隊17人が遭難、死亡したという登山史に刻まれる大事故を背景に、友を失ったカメラマンが現地で遺体捜索を行いながら、チベット族と交流を深めていくという内容。割と長めでしたが、梅里雪山の全体像を知るには有効です。

そして『チベット 聖地の路地裏』ですが、これが本当に面白かった。先の『梅里雪山』で、著者の理解に若干違和感を覚えていたのですが、この『チベット…』の視点は私の考え方と重なる部分が多く、自信を取り戻しました。

人類学者らしい、寄り添いの視点から描かれるチベットの風景はなんとも心地よく、加えて、研究の蓄積から得られる知見がそれを下支えすることで、確固たる世界観を創り上げていました。

10年以上前のラサで、高山病に苦しんだ記憶はいまだ鮮明ですが(その時はもう行くまいと決意したものの)、近いうちにまた一度行こうと思いました。

#中国 #チベット #シャングリラ #本棚