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『授業中、一回でいいから教室に布団を敷いて寝てみたい』の回

これは本当に一回やってみたい、いや、今やもうやってみたかったことになってしまったが、授業中に教室に布団を敷いて寝てみたかった。中学生のころまでは授業中に眠たくなることなんて全く無かったのだが、高校生になると段々と授業中に眠たくなる頻度が増えてきた。そしてたまに『これはもう限界やわ』っていうくらいに眠たくなることがあった。

そんなときによく『ああ、このまま席の隣に布団を敷いてその上で寝ることが出来たらめっちゃ気持ちいいのにな。のび太ぐらいのスピードで夢の中に入れる自信あるわ』などと考えていた。3秒であっという間に夢の中よ。「先生」「ん、どうした? トイレか?」「いえ、ちょっと眠たいんでもう寝ます」「あ、そうか。どうしよ? 今日、日付が8日やから小坂のこと当てようと思っててんけど。当たるまで我慢できん?」「もう限界なんですよ」「そっかそっか。じゃあ6月8日やし、足して14番の長野を当てることにするわ」「助かります。おやすみなさい」「はい、おやすみー」みたいな感じで寝てみたかった。いや、絶対に気持ち良いと今でも思う。すごく疲れも取れると思う。スーパーウルトラノンレム睡眠に入れると思う。瞼の裏で眼球がビタァァァって完全に止まってるぐらいに。

そりゃあ当たり前ではあるが、高校3年間の間に授業中に布団の中で寝るという夢を叶えることは出来なかった。そしてそのまま大学生になると、もう授業中なんて高校生のころとは比にならないくらいずっと眠たくなった。授業中でなくても眠たかったから、授業中なんてもっと眠たかった。これはもはや眠るために生きてるんじゃないかと思うくらいに眠たかった。よく死ぬことは眠りに着くことと例えられるが、生きていないと眠たくもならないであろう、死んだら眠りなんて必要ないだろうと思うほどに。そしてやはり、そんなことを思いながらも、大学生活の間もまた教室に布団を敷いて眠ることは叶わなかった。

社会人になるとこんなことはもっと出来るはずがない。そこでわたしは、探偵ナイトスクープに「松本局長、探偵さん、こんばんは。わたしは人生でやってみたいことのひとつに、授業中に布団の中で寝るといったものがあります。ぜひわたしの夢を叶えるべく夢の中へと入らせてくれませんか?」なんていう、まあまあうまいことを書いて依頼をすれば環境は整えてくれるんじゃないか?ということを思い付いた。どこかの廃校舎を貸し切ってエキストラを集めて模擬授業をしてもらい、眠たくなったらわたしが勝手に布団に入るという風な感じで。ついでにそのときに懐かしい高校のころの夢なんて見れたら最高ではないか。おお、いいやん。個人的には探偵として寛平ちゃんか澤部に来てほしい。

でもこちらはゴリゴリの素人。いざ環境を整えてもらったところで、カメラを意識してしまって絶対に眠れないと思う。ていうか、緊張してそもそも眠たくもならないと思う。さらには、寝ても良いよという環境が整うと逆に寝られなくなることもある。授業中はあんなに眠いのに、授業が終わった休み時間に机に突っ伏して寝ようとすると中々眠れない。そして、次の授業が始まった途端にめちゃくちゃ眠たくなってくる。なぜ本当に眠たいときに寝ることが出来なくて、寝る時間があるときに限って眠たくはならないのか。神様、あなたはどうしてこんな意地悪な仕組みにするのか。寝たいときに寝る、そんな単純なことが出来る人生を送ってみたいものである。


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