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『高校生から見る大学生はそんなに若くない』の回

大学二回生のころ、歳下の大学一回生も高校三年生も見た目は自分と大して変わらないなと思っていた。みんな一緒ぐらいやんって。友人たちとも「おれらまだ高校生でも通用するんちゃう?」なんてことを言ったりしていた。今思えば、だいぶ頭お花畑な会話だ。冷静に考えれば通用するわけがない。一旦落ち着いて考えてみよう。自分が高校生のころ、例えば通っていた塾でバイトをしていた大学生を見て「この人おれと同じぐらいの若さやな」などと思ったことはあるだろうか。わたしはない。彼らのことを完全に歳上として見ていた。なんなら大学二回生のころも、四回生のことは完全に歳上と捉えていた。自分より下の年齢を見るときは同じくらいと思っているにもかかわらず、上の年齢を見るときはしっかりと歳上だなと認識していた。ということは、当時の高校生から見た大学二回生のわたしは、完全に高校生ではない年齢に見えていたのだろう。

このことから考えると、同年代や自分より歳上の人に言われる「え〜、見た目わか〜い。全然そんな年齢に見えへ〜ん」なんて、何のあてにもならない。多分、自分より歳下の人に年齢を聞いたほうが、信憑性のある年齢を言ってくれることだろう。と思ったけれど、自分よりも歳下と言うよりは、高校生以下が正確に年齢を見極められるひとつの境界線のように思えてきた。高校生のときには、ドラマで小栗旬が高校生役を演じている姿を見て「いや、この年齢で高校生役はキツいキツい。無理あるわ」なんて思っていた。しかし大学生になると、成人した俳優が高校生役を演じていてもなにも思わなくなった。さらには、自分が高校生のころには全然好きでもなかった歳上の女優のことが、大学生、社会人となっていくにつれて次第にめちゃくちゃ可愛いと思うようになっていった。これに関しては年齢に対するストライクゾーンが広くなって、可愛いと思う人が多くなったから、なんだか得した気分。年齢を重ねるごとに、年齢の違いに対する分解能がどんどん鈍くなっている気がする。だからもう、大学生以上の人に自分の年齢が〇〇歳ぐらいに見えると言われても、それを信じてはならない。もう分からないようになってるから。感覚が麻痺っちゃってるから。髪の毛が薄いとか、シワがあるとか、見て分かりやすい身体的な特徴でしか判断できなくなっているから。わたしはもう最近、よっぽど歳上じゃない限りみんな実年齢よりも若く見える。もう分かりまへん。



話はめちゃくちゃ変わるけれど、ティッシュの正式名称がティシューであると気づいたのはいつからだろう。ティッシュ、ティッシュと呼ぶけれど、英語でティッシュを意味するtissueは発音がティシューであるため、本当はティシューと呼ぶのが正しいのである。日本製紙クレシア株式会社のホームページにもそう書かれている。

だから皆さんも正しく発音していこう。「ティッシュ一枚取って」ではなく「ティシュー一枚取って」とちゃんと発音していこう。英語が上達するための第一歩は、照れを無くすことだ。「これ、高くて柔らかいから鼻の下が荒れへん良いティシューやん」とか「あっこで配られてるポケットティシュー、おれも欲しいからついでにもらってな」とか「ティシューって最大八回までしか折ることができんの?」とかちゃんと言っていこう。言っていこうぞ。それにしてもこの日本製紙クレシアのホームページのよくいただくご質問コーナーに

Q. ティシューに蟻が寄ってくるのですが、なぜですか?

なる質問が寄せられているが、そんなことあるんだ、よくある質問なんだという感じだ。気になって「ティシュー 蟻」で検索したところ、「次の検索結果を表示しています: ティッシュ 蟻」とGoogleに訂正された。いやいや、ノンノンGoogle。おれが正しいねん。ティッシュじゃなくてティシューが正しいねん。意地になって「元の検索キーワード: ティシュー 蟻」を押してそのまま検索すると「もしかして: ティッシュ 蟻」と出てくるではないか。いやいや、ちゃうねんってGoogleよ。ホンマはティシューやねんって。「もしかして」じゃないねん。え、そっちこそもしかして知らんの? 頼むわGoogle。なんて言いつつ、明日にはティッシュと呼んでいる自分の姿が目に浮かぶ。


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