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『普段のキャラの雰囲気とテストの成績が合ってない』の回

憧れていた同級生っていた。自分の場合は、そんなに賢くなさそうな見た目なのに勉強のできる友人に憧れていた。すみません、お察しの通り、クラスのマドンナ的な憧れの異性の話ではないです。

その友人は見た目が結構ズボラな感じで、性格も大雑把。付き合うようになってから繊細だなあと思う瞬間が一度もないようなやつであった。その子と仲良くなってから初めての学校のテスト。「何点やった?」と聞いたところ、驚くほど点数が高かった。正直、舐めていた。まさに青天の霹靂。雷ビッシィィ。別に自分よりアホだとかは思っていなかったが、賢いとも思っていなかった。それが蓋を開けてみれば、まあなんと賢いこと。そしてその瞬間、『なんかコイツカッコいいな』という憧れの感情が芽生えた。

それからというもの、その子の取る行動すべてに『でもコイツ、ホンマはめっちゃ頭良いからな』という補正をかけるようになってしまった。一緒にゲームをしていて屁をこかれても、『でもコイツ、ホンマはめっちゃ頭良いからな』、一緒に商店街を歩いていて目に入る試食すべてにがっついていても、『でもコイツ、ホンマはめっちゃ頭良いからな』、一緒にファミレスに行ってナイフとフォークの使い方が下手でも『でもコイツ、ホンマはめっちゃ頭良いからな』。その子の取る行動すべてが、自分の目には魅力的に映る。ああ、なんてイカしたヤツなんだ、君は。キラキラしてやがるぜ。

やっぱりね、若いころは努力していないのに凄いってやつに憧れていました。いや、今でも憧れるけど。ただ、努力をしていないっていうのは語弊があるかもしれない。努力を見せない、こちら側に努力の形跡を感じさせないが正しい表現だろう。普段は目がただの横線で書かれているのに、やる気のときは開眼するみたいな、テニスの王子様の不二先輩みたいな感じに憧れておりました。おそらくその友人も、当たり前のように自分なんかよりもはるかに勉強をしていたのだろうが、その事実をこちらに微塵も感じさせない佇まい、なのに賢いっていうのに憧れる。カッコいい、この天才感。

「勉強した?」と聞かれて、本当はめちゃくちゃ勉強しているにも関わらず「全然してへん」って言うやつなんて論外だ。君たちが陰でゴリゴリに勉強してることなんてバレバレなんだわ。人に天才に思われたいという有り余る自尊心が透けて見えるんだわ。そんな愚か者たちとは違って、実際に聞いたことはないが、おそらくその友人は「勉強した?」と聞いても、普通に「勉強した」と答えていたことだろう。そういうところもポイント高し。この、別に天才と思われようと思っていない、そういうことに無頓着な感じもポイント高し。憧れる。しかし、天才に憧れている時点で、そういうタイプの天才にはなれないというジレンマ。

逆に『その感じやったら頭良いと思ってたわ』っていう場合もある。その他にも、『その感じやったらご飯三杯はいくと思ってたわ』とか、『その感じやったら犬より猫の方が好きやと思ってたわ』とか、『その感じやったら祭り行こうって誘ったら来ると思ってたわ』とか色々ある。反対に、自分はご飯を何杯ぐらい食べそうで、犬派と猫派のどっちで、祭りが好きそうか嫌いそうかのどっちだと思われているのだろうか。う〜ん、結構見た目通りの感じで当てられそうだなあ。もっとミステリアスな雰囲気を纏いたい・・・。


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