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『神様の数え方(単位)は人じゃなくて柱』の回

お米一粒に神様はどれだけいらっしゃるか、みなさんはご存知でしょうか? 七人? 不正解です。数字はあっています。単位が異なるのです。神様は我々人間と同じ存在ではないため、単位も異なるのです。正解は七柱でございます。そう、神様の単位は柱。その由来は、昔から神様は樹木に宿っているものと考えられてきたからでございます・・・。

いや、待て待てい。木に神様が宿ってるから柱? いやいや、米粒のほうが小さいのに七柱も神様が宿ってるよ? 木の七本分も。誰かこの設定ややこしいなって言い出さなかったんだろうか。お米一粒に神様が七柱も入ってたら、木なんかもっと入るやろってならなかったんだろうか。

「木ってめっちゃ神様宿ってそうな気ぃせん?」

「え、めっちゃ分かるー。なんか木ってめっちゃ神聖よなー」

「やんな? じゃあさ、木ぃ一本につき神様が一人宿ってるってことにせん?」

「え、ちょっと待って。めっちゃいいやん!」

「いいやんな? 妙案よな?」

「妙案、妙案」

「じゃあさ、神様はやっぱり人間よりは高位の存在やから、人間とは違う単位にせえへん? 例えばぁ、木の柱一本に神様が一人宿ってるってことでぇ、柱とか!」

「え、ちょっと待って。めっちゃいい! え、センスヤバ! めっちゃセンスいいやん!」

「やろ? これ結構いいやろ?」

「じゃあもうこれウチらのオフィシャルにしていこ! 神様の単位は柱に決定!」

みたいなことがあったとしよう。その後、

「ちょっと、ちょっと」

「ん? なに?」

「ちょ、意味分からんこと起きてんねんけど」

「え、どうしたん?」

「なんか西の村の子らがさ、お米一粒に神様が七柱もおるって言い出してんけど」

「ハァ? え、何なん急に? 意味分からんやん」

「やんな?」

「そんなことされたらめっちゃブレるやん。木一本に神様一人ってウチらで決めたのに、あんなちっちゃい米粒ひとつに神様七人もおったら設定ブレるやん」

「ちょっと。ウチらのあいだでは神様の単位柱がオフィシャルやから。そこはちゃんと守ってよ」

「あ、ごめんごめん。間違えて人にしてもうた」

「てかお米一粒に神様七柱ってめっちゃ狭いやん。神様可哀想やん」

「ホンマそれ。めっちゃ神様可哀想」

「なあ? 売れてない芸人のシェアハウスかよ」

「てか、お米食べたら神様七柱も食べることなるやん。こわ〜」

「いやそれがさ、お米って貴重な食糧やん? だからお米一粒に神様が七柱もおったら粗末にできひんやろってことで言い出したらしいで」

「それはいいやん。それは妙案やん」

「え、そこすんなり賛成するやん」

「だってそう聞いたらいい案じゃない? ウチ、良いもんは良いって言うタチやから」

「でも、そう言われればそうやな。いい案に思えてきたわ」

「それはいいよな。お米残すのはあかんしな」

「うんうん」

ってことで、お米に神様を七柱ぶち込むことに収まりました。うん、ちゃんと考えたらお米一粒に神様が七柱いるのにも納得できました。まあぶっちゃけここまでしないでも、ご飯を粗末にしないようになんて意味があったことは分かっていたけども。ただ、お米にも神様がいると言うだけでは済まず、七柱もぶち込まなければ教訓にならずに粗末にするやつが出ると考えられていた昔の食糧の貴重さたるや、ものすごかったのだとお察しする。そんなことを想像しながらお米を噛み締めると、いつもよりも甘い気がする。お米に神様がいると思うと、いつもより甘い味がする。神様は多分、食べたら甘い。


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