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ーキリスト教の秘密が今、ここに明かされる・・・!ー映画『シークレット・ゴスペル』

SAMANSAオリジナル映画第3弾!!
作品名は『シークレット・ゴスペル』。

オリジナル作品第3弾となった今回のテーマは『宗教』です。イタリアの修道院を舞台に描かれた、ダークホラー映画となっています。

キリスト教で信じられた『神様』の存在。その神が生まれたのは紀元前4年と推定されています。そこから長年信じられてきた、神の存在と啓示の数々。

「果たしてその教えは真実なのか?」

長い歴史のあるキリスト教の信仰。今作品は、あなたがその信仰をきっと疑心してしまう物語。

実はこの物語、そこまで常軌を逸したお話ではありません。

鑑賞後に、一体あなたはどんな感情を抱くのでしょうか…。
魅力解説とともにお楽しみください。

*ここから先はネタバレを含みます。ぜひ作品をご覧になってからお読みいただけると嬉しいです!

<作品> シークレット・ゴスペル
<作品時間> 22分42秒
<監督> ブランドン・オーマン
<あらすじ>
選ばれたキリスト教信者のみに与えられる聖痕を受けたユーセビアは、修道女として生きることを決意。
やがて特殊な修道院で生活を始めるユーセビアだったが、彼女の周りでは奇妙な出来事が起こり始める。

眠りについた夜。突然、ユーセビアは男の叫び声が聞こえたことに恐怖を感じ、この修道院で何が起こっているのかを探る。
周りに気づかれることなくたどり着いた場所は、キリスト教の歴史を揺るがすまさかの秘密だった・・・。



◎結局修道院では何が起こっていたのか?

保管室で禁書を見つけたユーセビア。

そこにはイエス・キリストはアラム語の魔術師であり、死者を甦らせる能力をヨハネから授かったことで、自身も不死身の呪文で蘇っていることが記されていました。

ユーセビアはこの著者、エンゾ司祭が地下室に幽閉されているのだと考えて助けに向かいましたが、そこにいたのはまさかの神の子、イエス・キリスト。

しかしその姿は、聖書に登場する慈悲深く崇高な姿とは程遠く、正気を失った恐ろしい怪物でした。

実はキリスト教的世界において、神に背くことは「罪」とされており、神以外の力を源とする「魔術」は一切禁止されています。

そのため、魔術師であったイエス・キリストは、不死身の呪文で朽ちることもできない、禁忌を犯した罪人であったのです。

ただ、こんな事実が知れ渡ってしまえば、これまでキリスト教を信じてきた人々は自身の信仰や信条が否定されることとなり、大混乱に陥ってしまいます。

つまりこの修道院では世界のキリスト教徒の混乱を防ぎ、これまで通りの信仰が続けられるように、その事実を隠していたのでした。

イエス・キリストは神の子として天に近い存在とされていますが、そんなキリストが地下室に幽閉されていた、というのは彼が、天と対照的な「地獄」にいるという暗示なのかもしれません。


◎ キリスト教で信じられる「死者蘇生」

聖書は約40人の人々、そして1500年もの長い時間をかけて書かれています。

それゆえに多くの見方があり、不可解な点も多く存在します。

今作品のポイントとなっている『死んだ者を復活させた』という話題。実は、キリスト教の聖書に「イエス​は​死ん​だ​友人​を​生き返ら​せ​た」と​いう​こと​が​はっきり​記さ​れ​て​い​ます。


また、聖書の中では以下のことも伝えられているとのこと。

死んだイエスの肉体は,十字架から降ろされ,亜麻布にくるまれ,やがて墓に横たえられました。3日目に,女性たちはその肉体を埋葬する準備を終えようと墓に向かっていました。ところが,肉体は消えていました。
この出来事がきっかけで、様々なことが起こり・・・
やがてはイエス・キリストが復活され,その結果すべての人はやがて復活すると教えられた。



上記の2つの記載によって、キリスト教信者の中では『死者の復活』や『キリストは人間の肉体で復活しているのではないか』という教えが信じられているということです。

『シークレット・ゴスペル』はこうした聖書に描かれる、さまざまな情報の点と点と繋ぎ合わせていくと、こうした事実があってもおかしくない!というフィクションです。


それだけ長い歴史と多くの信仰者を持つキリスト教ではこれまで、神父が修道女や子どもに性暴力を振るったり、嘘の導きによって信仰者からお金を巻き上げるなど、悪逆無道の行為を行なってきた過去があります。

本作の監督であるブランドン・オーマン監督は、こうした大きな宗教でさえ、暗い過去や明らかになっていない事実は多く存在しており、『シークレット・ゴスペル』は未だ止むことのない宗教戦争や、生命を脅かすほど過激な信仰に対しての批判の切り口であると語っています。


◎監督がインスパイアされた『グノーシス主義』とは?

『神』の存在を信じるか否かは、人それぞれでしょう。そんな中ブランドン氏は、この物語を制作する大きなきっかけとなった『教え』があったと語ります。その教えこそが『グノーシス主義』です。

「グノーシス主義を知っている人は少ないだろう」と語るブランドン氏。その理由の一つに、キリスト教徒が約2000年前に彼らをほぼ完全に抑圧した歴史があると彼は言います。

グノーシス主義の神に対する考えは、キリスト教とは真反対。キリスト教は『神を崇める』のに対し、グノーシス主義では『神は下位の無知な精神であり、宇宙の絶対的な神ではない』ということが教えられています。

まさに正反対に位置した2つの主義。
2000年前に対立をしたことも納得です。

このグノーシス主義こそが、『神の存在』へ真偽につながっていることがわかりますね。『シークレット・ゴスペル』を制作する大きな一手となりました。


◎作品へ刺激を与えてくれた2人の名監督

本作を含め、ブランドン氏は影響は2人の監督が自身の映画制作に影響を与えたと語っています。

まず最初にご紹介するのが、ギレルモ・デル・トロ監督です。

ギレルモ・デル・トロ監督(Wikipediaより)

ギレルモ氏は世界的にも有名な映画監督。2017年のアカデミー賞で『シェイプ・オブ・ウォーター』がアカデミー作品賞を受賞。さらには同作品でアカデミー監督賞を獲った功績があります。

Netflixで公開している『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』や2021年公開された『ナイト・メア・アリー』など、恐怖を感じさせるストーリーを美しいビジュアルで描くのが持ち味。

『シークレット・ゴスペル』でも描かれる映像美は、ギルモア氏を思わせる一面があるのではないでしょうか。さらに、見れば見るほど感じるじわっとする恐怖感は、まさにギルレモ氏からインスパイアされたものでしょう。


そしてもう1人、ブランドン氏が影響を受けたのはケン・ラッセル監督です。

ケン・ラッセル監督(Wikipediaより)

ケン・ラッセル氏も1969年の『恋する女たち』でアカデミー監督賞にノミネートされた巨匠。

2011年に他界されていますが、一世風靡した90年代ではその時代ならではの過激な作風やケン氏のエキセントリックな言葉の数々が話題に。

1971年公開の『肉体の悪魔』では性と宗教をテーマに、尼僧たちと美しい司祭が巻き起こした事件を実話をスキャンダラスに描いています。

そんな2人の巨匠を尊敬していると語るブランドン氏。今回の作風に、偉大な巨匠の映像美が映し出されている点も注目ポイントです。

◎監督こだわりの美術品

実は、作品の注目ポイントは物語の裏側だけではありません。鑑賞時に一目置きたいのが、今回使われた美術品の数々です。

なんと多くの美術品は、監督・ブランドン氏が自ら手がけたのだそう。監督という役割を超え、美術品まで極めるこだわりが伺えますね。

さらに、修道女に使われた小道具は、名作「天使にラブ・ソングを...」で使われた物もあるのだとか。

また、劇中の教会は1940年に実際に建てられたものだそうで、ストーリー以外にも製作陣のこだわりが満載です。


たくさんの『こだわり』に注目して鑑賞することも、楽しみの一つにしていただけるのではないでしょうか。

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<映画ライター/ shuya>

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