(旧)N国党 (現)NHK党 公職選挙法違反の疑い とは
現在2022年04月14日、(旧)N国党 (現)NHK党関連では2つの選挙が行われている。04月07日告示 04月24日投開票の参議員石川選挙区補欠選挙、04月10日告示 04月17日投開票の春日部市議会議員選挙である。本記事執筆中の現時点では双方ともに投票前ではあるが、この2つの選挙に関して”公職選挙法違反”の疑いが持ち上がっている。それは、これまでモンキーポッドでも扱ってきた「立候補者への成りすまし」(vs モラリスト ⑤ 参照)のような、当選していなければ立件されないような軽微なものではなく、党そのものの存続すら揺るがしかねない重大な疑惑である。
本件に関しては、すでに”選挙ウォッチャー ちだい”氏が指摘、レポートで公開をされているのでご存じの方も多いだろう。本記事は、”ちだい氏”の指摘とは少し違った目線で話を展開する。また、これまでの詳細な成り行き(動画や街宣などでの発言等含め)”ちだい氏”のレポートで指摘済みのものは割愛させていただく。そのため、まだお読みで無い方は本記事をお読みになられる前に”ちだい氏”のレポートに目を通しておいてほしい。
有権者買収の疑い
先ずは、何がどう疑われているのかを簡単にだが説明しておこう。
常日頃から立花孝志氏が公言している「NHK受信料の不払いをしてNHKから裁判をされ、負けた人には裁判費用や支払い命令の出た受信料は全てNHK党が肩代わりします。」という”サービス”について、これを選挙期間中に宣伝文句として党および立候補者の票集めに利用していることが、公職選挙法199条の2〜199条の5(寄附の禁止)関係、同221条(買収および利害誘導)などに抵触するのではないかという疑いである。
※公職選挙法を以下”公選法”とします。
法律条文の各所では、「被選挙人(立候補者)が」となっており、現状しばらくは選挙に出ないとしている立花孝志氏個人がこの”サービス”を行っていくことについては、公選法に抵触するものではないと立花孝志氏は解釈してきた。この件がこれまで問題視されてこなかったのは、それまで立花孝志氏と(旧)N国党の謳い文句が「弁護士法72条違反」であったことに加え、立花孝志氏が頻繁に街宣を行う選挙が無かったためだ。
しかし、党の看板だったとも言える「弁護士法72条違反」の裁判に負け、その看板と入れ替えに掲げることになったのが、この「NHKとの裁判に負けた人の費用全肩代わり」サービスというわけだ。
この看板入れ替えが完全に行われたのが2022年01月、党名が「NHKと裁判している党弁護士法72条違反で」から「NHK受信料を支払わない国民を守る党」に変更された時期であり、「弁護士法72条違反」での敗訴が公表される約1ヶ月前の話である。
そして迎えた2022年04月、2つの選挙がほぼ同時に行われ、そのどちらにも立花孝志氏は応援演説に入り、大々的に「NHKとの裁判に負けた人の費用全肩代わり」を謳ってしまったために問題が表面化する運びとなった。
今回の(旧)N国党と立花孝志氏と立候補者のように、「特定の有権者への寄付・贈与(の約束)」をする者と、選挙に立候補をした当人が別人であり、また厳密にはそれらの人物の所属する党・団体が別であることなどから、この”サービス”の公言は公選法には抵触しないという意見もあった。
しかし、事はそんなに単純な話では無かったのである。
党ぐるみの行為である疑い
今回のこの「有権者買収の疑い」、「NHKとの裁判に負けた人の費用全肩代わり」を公言している者が立花孝志氏ただ1人であったなら、この記事は前章で終わりだったのだが。
例え肩代わりの金銭の振込・受渡に携わっている者が立花孝志氏1人であったとしても、「党が肩代わりします」と言っていた(旧)N国党関係者(主に在籍現職議員・発表済みの立候補予定者等)がいれば話は別だ。
先に言ってしまうが、立花孝志氏以外の者が「党が支払う」「党が肩代わりする」などの発言を行っていた動画・SNS等はすでにいくつか私の手元に集まっている。しかしながら、今後の状況次第では捜査当局へ提供する可能性があるため現時点で公開は差し控える。
さて、では党関係者も言っていたとして、立候補者本人が言っていなければ問題は無いのでは?という方もいるだろう。
確かに法律条文では「被選挙人(立候補者)が」となっている。さらに、(簡単に言うと)立候補者の後援団体などの利害関係者でもダメだ。今回の春日部市議選での立候補者 酒谷和秀氏と立花孝志氏との関係は、酒谷和秀氏は「NHKから国民を守る党(政治団体)」であり、立花孝志氏は「NHK受信料を支払わない国民を守る党(公党)」の党首なので、表面上はただの部外者の応援であるかのように見せている。だが、そもそも「NHKから国民を守る党」の党名は(旧)N国党の名前そのままで、(旧)N国党が改名する際に設立された派生団体であり、酒谷和秀氏は元からの(旧)N国党所属の地方議員だ。(旧)N国党の政治資金収支報告書に寄付として本人名の記載もあることから、無関係を通すには無理がある。
つまり、利害関係者にあたると見なされる可能性は少なくない。
ここからは仮の話になるが、立花孝志氏が春日部市議選での立候補者 酒谷和秀氏の関係者であると判断された場合、立花孝志氏が党首を務める「NHK受信料を支払わない国民を守る党」の関係者(在籍現職議員・発表済みの立候補予定者等)も必然的に関係者扱いになる可能性は高く、その影響は春日部市議選の酒谷和秀氏だけにとどまらない。
Youtubeでの(旧)N国党 春日部市議選の広告動画もあり、今回の疑いの目の多くは春日部市議選に集まっているが、「NHK受信料を支払わない国民を守る党」が党ぐるみで行っていると判断された場合、参議員石川選挙区補欠選挙の齊藤健一郎氏にも飛び火しかねないのである。
今回、春日部市議選の酒谷和秀氏、参議員石川選挙区補欠選挙の齊藤健一郎氏ともに使用されている選挙ポスター(本記事ヘッダー画像)には立花孝志氏の人物写真が同時掲載されている。これが今後どのような結末に結び付くのだろうか。齊藤健一郎氏は、確か06月の参院選比例代表の立候補予定者であったはずだが。
参院選比例票も買収の対象と成り得るか
例えば、自民党ですでに政界を引退して今は自民党顧問をしている人物が、「生活困窮者のために、自民党から政党助成金で直接寄付させます。」と、自民党から選挙に立候補をした人物の応援演説をしたら有権者はどう思うだろうか。批難轟々浴びることになるのは言うまでもないだろう。
今、(旧)N国党と立花孝志氏が継続的に行っている「NHKとの裁判に負けた人の費用全肩代わり」サービスは、本質的にこの例え話と大差は無い。
こんなことを国政政党の多くがやり始めたら、それはもう日本中が買収合戦だらけになることが予想される。
これは、今は(旧)N国党だけだから問題ないだろう、で済む話ではなく、現在の法律条文の解釈では取り締まりは容易ではなく、”近年の世論と状況に応じた解釈に改めていかなければならない”という検討を司直や行政に促すことに繋がっていく。それはつまり、これまで検挙もされず見過ごされてきたことでも、今後はそうはいかなくなる。ということだ。
(実際、風営法などでは条文解釈が変更されたケースはある。)
ポイントとなるのは上記でも述べてきた通り、被選挙人(立候補者)と寄付・贈与を行う者が別人(直接の利害関係者ではない)であることだが、今回の場合では(旧)N国党関係者(主に在籍現職議員・発表済みの立候補予定者等)数人が同様の発言を行っている点を見ても、立花孝志氏個人のみが行っていることとは考え難く、党全体で行っていると判断される可能性がある。
仮にそう判断された場合、国政選挙では比例票という”個人ではなく党”へ投票する仕組みがあるため、党の比例代表立候補者を「投票を受ける者」とみなされると、法律条文上の被選挙人(立候補者)=比例代表立候補者=党。という解釈が妥当とされる可能性まで浮上する。
念のために申し上げておくが、これはあくまで可能性の話である。
可能性の話ではあるものの、では、現状の(旧)N国党と立花孝志氏の行為を放置できるのかと考えると、最悪の場合日本中が買収合戦になってしまう怖れがあるため放置はできない。となるのか、今は(旧)N国党だけだから見過ごしておくか。となるのか、司直や行政の検討結果次第で事は大きく動いていくことになるかもしれないのだ。
選挙管理委員会 および 警視庁捜査二課の返答
本記事では、私の見解と可能性の話が中心となったが、私がそう考えるに至ったのには理由がある。
今回、この「有権者買収疑惑」に早期に気付いた方が選挙管理委員会と警視庁捜査二課(金銭 経済 企業犯罪 選挙違反の担当課)に問い合わせを行い、その内容を情報提供として私にお送りいただいた。
それを受けて構成したものが本記事である。
情報提供をくださった方より、そのやり取りは公開しても良いと許可をいただいているため、ほぼそのまま以下に記す。
選挙管理委員会への問い合わせ
警視庁捜査二課への問い合わせ
以上である。
警察を動かすために必要なものは、私たち市民の声、つまり世論もその手段の1つということだろう。
2022年 参議院議員選挙
(旧)N国党時代から約2年の月日を経て、(現)NHK党となってようやく当選者を出した春日部市議会議員選挙から2ヶ月が経過した。
本記事や、”選挙ウォッチャー ちだい”氏が指摘した公職選挙法違反についてその後進展は見られないが、司直や行政の動きが表から簡単に見えるはずもなく、この手の立件・摘発には時間を要するものであるため、あとは見守るのみである。
TwitterをはじめSNS等を見渡すと2ヶ月前のピーク時から随分減ってはいるものの、やはりこの「有権者買収の疑い」を問題視する人々はおり、これまで相当数の問合せや通報が選挙管理委員会や警察へ入っているようだ。
NHKとの裁判費用を肩代わり
さて、まずは2ヶ月前の春日部市議会議員選挙当時とその後のNHK党 立花孝志氏の言動を振り返っておこう。
最近になって立花孝志氏らNHK党関係者が使用するようになったキャッチコピー「NHKとの裁判に負けた人の費用全肩代わり」だが、「肩代わり」の語句を使い始めたのは2ヶ月前の春日部市議会議員選挙中に行われたNHK党定例会見からである。その定例会見の中で立花孝志氏は、「肩代わりという言い方があるのを見て、それいいなぁと思った。これからは肩代わりと言っていきたい。(要約)」と語った。
実は、立花孝志氏とNHK党の言っていた「NHKから裁判をされて負けた人の裁判費用と請求された受信料を全額お支払いするサービス」を省略して「NHKとの裁判に負けた人の費用全肩代わり」という「肩代わり」の語句を最初に使ったのは、(私の知る限りでは)本記事である。
そんな話はさておき、立花孝志氏はこんなセリフも同時に残している。「肩代わりが公選法違反にあたるかどうかは司直・行政の判断に任せるしかない。それを続けてここまでやってきている以上、やめるわけにはいかない。(要約)」だそうだ。
06月17日の定例会見では、NHK党コールセンターにかかってきた電話で「NHKは払わなくても大丈夫ですよ、でも2%いかないと守れませんよ?って言える。」などと発言。立花孝志氏の思考の根源には、有権者に政策を訴えて支持をカタチにするのが投票であるという認識はないのだろうか。何かの見返りとして投票をしてもらおうとする発言ばかりが目立つ。
参院選公示を前に
2022年06月17日 25時25分よりテレビ朝日で放送された「朝まで生テレビ」に、NHK党所属 浜田聡 参議院議員が出演し、参院選の党公約や政策についての主張を述べる場面があった。その中で以下のような発言を残している。
2ヶ月前に「肩代わり」という言いやすい語句を得て以降、立花孝志氏をはじめ所属の浜田聡参議員以下、地方議員や立候補予定者たちも同様の発言をするようになった。
今回追記する前(2ヶ月前)に上述した内容の通り、もし司直・行政がこの件を有権者買収として立件・摘発するようなことになれば、国政政党そのものを犯罪者集団と見做すことになる。
犯罪者と言えば、刑事裁判一審ですでに有罪判決を受けた立花孝志氏を筆頭に、詐欺の疑いで海外逃亡中と言われる”東谷義和”氏や、2021年10月の参院山口補選の”へずまりゅう”氏(窃盗罪で有罪 最高裁への上告棄却 確定済)、2020年04月の衆院静岡4区補選で一度は擁立に名前が上がった森友学園問題の当事者”籠池泰典”氏(補助金不正で二審有罪)など、その他でも、この参院選の立候補者たちの中に前科のある者もいるとされ、「犯罪を犯した者が集まる組織」だと実しやかに囁かれている。
国政政党そのものを犯罪者集団として摘発する。もしそのような事態になれば、日本憲政史上初の特大問題となることは想像に難くない。司直・行政が地方選挙などの小さな案件で立件に動かないことも、そう考えれば不思議ではない。つまりこれは、NHK党が党を挙げて「肩代わり」を大々的にやればやるほど司直・行政は慎重に成らざるを得ないということだ。
04月にも記述したことの繰り返しになるが、司直・行政が前例の無い摘発を行うには世論の後押しが必要不可欠である。
ちなみに最後に申し上げておくが、選挙管理委員会や警察の管轄部署(110番ではなく警察署直通代表電話番号や管轄部署直通番号等)への問合せや情報提供の際には、自身の名前や連絡先(使用する電話で184設定をしていなければ先方に電話番号の通知がされることはある)を伝える必要は無い。基本的に名乗る必要もないので、折り返しの連絡を貰う話にならない限り匿名のままで可能だ。
NHK党の手法のような、有権者買収まがいの行為や話題性優先で犯罪者を乱立させる行為を黙認するのか、それはダメだと世論として示すのか、有権者の皆様の倫理観と良識が試されている。
(旧)N国党 (現)NHK党 公職選挙法違反の疑い とは(終)