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テリヤキバーガーと少女の夢

2017年02月、マクドナルドから「トリプルチーズバーガー」と「※ダブルテリヤキバーガー」が期間限定商品として発売されていた。
マクドナルドが誇る人気メニュー12種類の中から、一般投票でNo.1を決めるという”マクドナルド総選挙”が実施され、投票で選ばれた上位2商品がパワーアップして登場、”チーズバーガーファン”と”テリヤキバーガーファン”にはたまらない期間限定サービスが実現していたのである。
※正しくは「ダブルてりやきマックバーガー」「てりやきマックバーガー」

それより時を遡ること2年。2015年秋の紅葉の季節を過ぎ、風が冷たく吹きはじめ冬に差し掛かった頃、小学生の高学年くらいと見られる1人の少女が、ある町のマクドナルドへ向かっていた。

今回は、テリヤキバーガーを愛した少女の、小さな夢の物語を話そう。

少女のおこづかい

木枯らしの吹く季節、閑静な住宅街を少し抜けたところにある繁華街の交差点にその少女の姿はあった。ベージュ色の薄手のコートを身に纏い、ピンクのラインの入った白のスニーカー姿の少女の右手には、出かける前に母親から貰った1枚の500円玉が握り締められていた。

交差点で信号待ちをしていた少女は、信号が青に変わると、肩より少し長い髪を風になびかせて駆け足で横断歩道を渡り出した。少女が向かったのは、交差点の少し先にあるマクドナルドだった。

お昼時を過ぎた時間だったこともあってか、マクドナルドの店内に他の客は数名であった。少女は店内に入ると、近くに掲示されていた自分よりも大きなポスターの前に立ち、店内を見渡した。すぐに女性店員の声で、
「お待ちのお客様、どうぞー」
と促され、少女は受付レジへと駆け寄った。

受付台がちょうど少女の肩の下あたりの高さであった。少女は台に置かれたメニュー表を覗き込み、お目当ての物を探した。少女が「てりやきマックバーガー」の価格を具体的に知ったのは、このときであったのかもしれない。そしてそれを見つけると、すぐに値段を確認して嬉しそうに顔を上げ、まだ幼さが残る声で注文を店員に伝えた。
「てりやきマックバーガー!」
店員は応える。
「単品お1つでよろしいですか?」
少女は目を丸くして”きょとん”なった。1つじゃなくてもいいのか?と思ったのであろう。少女は再度メニュー表を覗き込んだ。

当時の「てりやきマックバーガー」の価格は310円(税込み)であった。
少女がそのとき右手に握り締めていたのは500円玉1枚、テリヤキ単品1つを買うと残りは190円である。テリヤキしか頭に無かった少女は、残りの190円の使い道を考えてはいなかったのだ。2つは買えない、と、テリヤキ以外の商品を一通り見渡すが、少女の目にはテリヤキ以外は見劣りして見えてしまったようだ。

そこでふと、少女は期間限定商品に目が止まった。
「たまごダブルマック」と「チーズたまごダブルマック」である。

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少女は目を一瞬輝かせ、店員に問う。
「てりやきダブルってないですか?」
店員は、自分の胸くらいまでの背丈の少女に申し訳なさそうに応える。
「申し訳ありません。今はそういった商品は扱っておりませんので・・・」
少女は薄い唇を少し尖らせ、残念そうな表情で俯いた。そして仕方なく、小さな左手の人差し指を少しあげ、消え入りそうな声で注文を確定させた。
「1つで・・・」
少女の気持ちを察したかのように、店員が優しい口調で問いかける。
「店内でお召し上がりですか?」
少女は顔を上げ、店員に目を向け唇を少し尖らせたまま首を横に振った。
「かしこまりました。少々おまちください」
店員から少女に向けられた優しい笑みが、少女の残念さを少し洗い流した。

少女がマクドナルドへ出かける少し前、少女は母親にこう言われていた。
「無駄遣いしちゃいけませんよ」
母親の言いつけを忘れない感心な少女であった。
この日までの少女にとって、マクドナルドのハンバーガーは”両親がたまに買ってくる物”でしかなかった。その中に含まれるテリヤキバーガーは、いつ食べられるかわからない大好物だったのだ。それを自分で得られる喜びは、ダブルを拒否されたことなどすぐに忘れてしまえる程であったようだ。

注文の後に会計となり、少女は右手で握り締めて少し温かくなっていた500円玉を店員に渡し、お釣りを受け取ってコートのポケットへしまった。
程なく、店員が「てりやきマックバーガー」1つを小さな紙袋へ入れ、柔らかい笑みとともに少女へ手渡した。
「ありがとうございました。またご利用くださいませ」
少女も笑みで応え、両手で紙袋を受け取った。

少女は小さな両手に小さく少し温かな紙袋を抱え、足早に帰路についた。
これが、少女自身が1人でマクドナルドへ行き、自分でテリヤキを購入した初めての経験であった。

さて、1つ気になる点がある。
店員が言ったこの言葉、
「今はそういった商品は扱っておりませんので」

”今は”、と言ったのだ。
もうお気付きの方もいらっしゃるだろうが、そう、すでに以前、「ダブルてりやきマックバーガー」は期間限定で発売された経緯がある。
2015年01月に、「てりやきチキンフィレオ」とともに「ダブルてりやきマックバーガー」は販売されていたのだ。それは、少女が初めて1人でテリヤキを買いにマクドナルドを訪れた半年以上前のサービスであった。

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少し冷たい風を受けつつ家路を急ぐ少女は、まだこのとき、その事実を知らずにいた。

そして、少女との一連のやり取りの中で女性店員が見せた優しい笑みは、2012年までマクドナルドが”0円”で販売していた「スマイル」と同じものであったかどうかは、定かではない。

少女の想いと、てりたまバーガー

少女が初めてテリヤキを1人で購入してから数ヶ月が過ぎた頃、マクドナルドからは「てりたま」シリーズが期間限定で販売された。2016年春の出来事である。

2016年03月、「カマンベールてりたま」「てりたま」「チキンてりたま」という三種類の商品がマクドナルドの店頭に並んだ。

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もちろんこの話しは、それから数度マクドナルド店頭へ足を運んでいた少女の耳にも入っていた。

数日後に小学校の卒業式を控えていた少女の姿が、あの日と同じマクドナルドの店舗にあった。白い薄い上着にジーンズを履き、以前と同じピンクのラインの入った白のスニーカー姿の春の装いの少女に変わっていた。背は少し伸びていたようだ。

時間はちょうどお昼時、店内には昼食を求める大人たちで溢れていた。大きな大人たちに混じり、少女は注文待ちの列に並びつつ店内の壁に貼られていた商品ポスターに目が釘付けになっていた。この日の少女のお目当てはもちろん「てりたま」であった。もとよりテリヤキの甘い味が大好きな上、目玉焼きまで挟まっているのである。白身の部分はプルンとした歯触りが心地よく、黄身の濃厚まろかやな味がテリヤキソースで甘みを増す。甘いもの好きの子供にはたまらない商品であるが、それまでの少女にとって「てりたま」は、両親が買ってきてくれる中でも滅多にお目にかかれない幻のテリヤキだったのだ。

しかし、このとき販売されていた「てりたま」シリーズは3種類。特に、カマンベールとは何のことなのか、このときの少女にはよくわかってはいなかったようだ。

カマンベールのことは注文時に尋ねることにした少女が次に考えたことは、ポークにするかチキンにするかであった。少女の右手には、以前と同じく母親から貰った500円玉が1枚。壁に貼られた商品ポスターには、
てりたま:単品360円 / セット660円
チキンてりたま:単品390円 / セット690円
と記されている。1つは買える。が、チキンだと30円高いのだ。無駄遣いはダメと日頃から教えられていた少女にとって、この30円の違いは大問題である。だが、ポークとチキンの違いは、小学校6年生の少女には大した問題ではなかった。少女は、普通の「てりたま」を買うことを列に並んでいた間に決めるまでに至った。

しばらくして、少女の注文の順番になった。
自分の胸ほどの高さの受付台越しから、店員の目を見て少女は尋ねる。
「カマンベールってなんですか!?」
担当した店員は、少女が初めてテリヤキを自分で購入したときの女性店員であった。あのときから数度少女はこの店舗を訪れており、このときすでに少女とその女性店員は、ちょっとした顔見知りのようになっていた。
「チーズの名前ですね。カマンベールという名前のチーズです」
以前と変わらず店員の返答は、優しい笑顔とともに少女へ返された。

その刹那、少女の目が輝き出した。
ただでなくとも”テリヤキ”と”目玉焼き”なのである。そこにチーズまで参加してきたのだ。レタスの爽やかさも相まって、食べ始めたら止まらないことは疑いようが無い。すかさず少女は、受付台のメニュー表を覗き込んだ。
カマンベールてりたま:単品390円 / セット690円
と記されている。

少女の中で葛藤が始まった。値段的には30円高い。しかし、チーズまで入っている。美味しくないわけがない。だが、30円高い。普通の「てりたま」は2度食べたことがあるが、「チーズてりたま」は食べたことがない。それでも、30円高い。母親にお釣りを返すとき、30円少なくなる。いや、それは特に怒られはしない。時間にしてほんの数秒であったが、少女にとっては長い熟考の時間であった。結果、少女はチーズの誘惑に勝てず意を決した。
「カマンベールてりたま1つ!」

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少女は、満面の笑みを浮かべた小さな顔の横で、人差し指を立てた小さな左手を示しつつ、子供らしい少し高い声を元気に張り上げた。

「単品1つ、お持ち帰りでよろしいですか?」
少女を知る店員の受け答えは、いつもの少女を想定して返された。店員が言葉を発し終えたとき、その口元にはいつもの柔らかい笑みがあった。

家路につく少女の足取りは、心なしか飛び跳ねているようにも見えた。
少女が「カマンベールてりたま」との出会いを無事に果たしたこの日からおよそ9ヶ月後、少女の”儚く抱いた希望”が叶うことに繋がる企画がマクドナルドから発表されることになる。

それが、第1回 マクドナルド総選挙である。

少女とマクドナルド総選挙

2017年01月、「日本一のバーガーを決める時が来た」と銘打ち、マクドナルドは全国規模でのイベントを行った。レギュラーメニューのバーガー12種類の内、客からの投票で1位に選ばれたバーガーを特別パワーアップメニューで期間限定販売するというものだ。

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投票の仕方については、当時すでに一般に広く普及していたスマートフォンを使用したインターネットでの投票方法が採用された。具体的には2通り。
(インターネット対応の旧携帯電話でも可能)

まず、総選挙にエントリーしている12種類のハンバーガーの内のいずれかを購入し、そのパッケージに記載された「投票用QRコード」をスマートフォンで読み取り、専用サイトにアクセス、選んだバーガーに投票する方法。この方法で投票を行った場合、1票 = 100ポイント。という点数が対象のバーガーに加点される。さらに、投票者の中から抽選で800名に「※マックカード4,000円分」が当たるという特典も付いていた。
※マックカードとは、全国のマクドナルド店舗で利用できる商品券。

もう1つの方法は、インターネット上のキャンペーンサイトに自身でアクセスし、12種類のバーガーの中から自分の好きな商品を選び、「ツイートで投票」ボタンからツイッターでツイートをする。という方法だった。この方法では、1票 = 1ポイントの点数が対象のハンバーガーに加点された。

投票方法としては上記の2通りであったが、全国のマクドナルド店舗における対象のバーガーの売り上げもポイントに反映された。
つまり、例をあげるとこのようになる。
[ 投票例 ]
店頭で「テリヤキバーガー」を単品で1つ買う = 320円 = 320ポイント
スマートフォンから「テリヤキバーガーに」投票 = 100ポイント
さらに、キャンペーンサイトにアクセスし直してツイート = 1ポイント
これで「テリヤキバーガー」に合計411ポイントが加算されることになる。
(1人で投票行動を何度もできたかの真偽は不明。購入は何度でも可)
(このときまでに価格の改定が行われ、テリヤキも10円上がっている)

この当時、中学生になっていた少女は、総選挙が実施された直後、店頭に告知ポスターが貼り出され始めた後に店舗を訪れた。また少し背が伸びていた少女は、白のコートに薄いピンクのマスラーを巻き、ほんの少し、お姉さんの雰囲気を纏うようになっていた。

来店した少女も、もう慣れたものであった。少女の目的は相変わらず「テリヤキバーガー」である。昼食時を過ぎた頃に来店した少女の受付順はすぐに回ってきた。少女はいつも通りの笑顔で注文をする。
「テリヤキ単品1つも・・・」
持ち帰りで、と言いかけたところで少女は言葉に詰まった。少女の目を奪ったのは、受付台に置かれたメニュー表の横にあった「マクドナルド総選挙」の広告だった。

「マクドナルド総選挙」というものが行われることは、少女も耳にしていたが、その内容は知らずにいた。少女が注文の言葉に詰まる程に興味を引かれたのは、総選挙にエントリーしていたバーガーたちの”公約”であった。
バーガーたちの”公約”とは、先に少し述べた「特別パワーアップメニュー」のことだ。少女の大好き「テリヤキバーガー」にも、”公約”が掲げられており、その内容は、少女がいつか一瞬だけ心に思い浮かべた”それ”そのものだったのである。

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総選挙の公約に釘付けになっていた少女に、注文の受付を担当した男性店員が問いかける。
「テリヤキバーガーお1つ単品で、お持ち帰りでよろしいですか?」
我に返った少女がすかさず問い返す。
「この総選挙ってどうやって決まるんですか!?」
店員は手際よく受付台の総選挙広告を裏返し、上記の投票方法の説明を丁寧に行ってくれた。少女は概ね理解できた様子でメニュー表に目を移し、注文を訂正した。
「テリヤキバーガー2個!単品で!持ち帰り!」

なんと、今まで単品1つが少女のお決まり注文だったが、このとき、初めて少女は2個と注文をしたのである。そして会計時に少女が差し出したお金は、それまでの500円玉1枚ではなく、千円札1枚であった。

中学生になったことで、母親から貰えるおこづかいが増えたのだろう。
だが、このときの少女には、”食べ切れるのか”ということはおそらく頭にはなかった。ただ、テリヤキに勝ってほしい。その一心から出た渾身の注文だったのだ。

その日、ダブルテリヤキへの想いを再度湧き起こした少女は、テリヤキ2個を持ち帰り、母親に頼んで母親のスマートフォンを使い、テリヤキに投票を行ったことは言うまでもない。しかし、投票行動を2回行ったのか、また、2回目は有効だったのかなどは不明である。

ここで余談ではあるが、読者の皆様へお願いがある。
「テリヤキを2個買ったのだから、分解して合わせてダブルにすればいいじゃない」などと言うのはやめていただきたい。確かにそれで「ダブルテリヤキ」は形の上では誕生するが、完成した商品としての”それ”とは別物であり、何より、パンズ(パンの部分)がワンセット余るため、残念感を避けられないので満足感が半減してしまうのだ。(場合によってはレタスも余る)

そして翌02月、第1回 マクドナルド総選挙の結果、1位に輝いたのは「ダブルチーズバーガー」だと発表がなされ、「トリプルチーズバーガー」の期間限定販売が決定した。

少女のまにまに

総選挙の結果だけを母親から聞いていた少女の落胆は当然であった。
少女の抱いたダブルテリヤキの夢は、儚くも散ったかのように思われた。

しかし、それから間もなくマクドナルドは、マクドナルド総選挙の結果を受けた商品の販売発表と同時に、驚くべき発表を行ったのである。なんと、「投票にご参加くださった多くのお客様への感謝の気持ち」として、惜しくも2位に敗れた「てりやきマックバーガー」も対象にするとしたのだ。

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この発表はすぐに少女の耳にも届き、少女は歓喜した。
およそ2年前、慣れない買い物に出かけ、1人で1枚の500円玉を握り締めて思い浮かべたあのダブルテリヤキが、今現実になったのである。

限定販売期間中のある日、少女はいつもの店舗のそばの交差点にいた。白のコートに薄いピンクのマスラー、この日は緑のラインの入ったスニーカー、これまでと変わらぬ出で立ちで信号待ちをしていた。
信号が変わり、少し伸びて肩の下あたりまである髪を後ろになびかせ、少女は走った。店頭へ入ると、きょろきょろと辺りを見渡した。時間は食事どきでは無かったこともあってか、客は疎ら、すぐにでも少女が注文できる状況であった。

店内の受付台の向こうには、顔馴染みとなったあの女性店員が前の客の対応を終える姿が見られた。そして店員が少女に微笑み、声をかける。
「お決まりでしたらどうぞ」
店内の壁に貼られたポスターでダブルテリヤキの存在と値段を確認した少女は、今までで一番の笑顔で店員のところへ駆け寄った。

2017年02月某日、寒さも厳しく早々に陽も落ち始め、町に黄金色の日が差しはじめた夕暮れ時の出来事である。


それから約1年の月日が過ぎ、少女は中学2年生を終え、翌月から3年生になるという時期、この頃には密かに少女の胸には新たな夢が抱かれていた。

2018年03月、条件付きとは言え、少女の新たな夢は早々に現実となる。
マクドナルドは夜の限定メニューとして、17時から閉店までの時間帯にレギュラーメニューのバーガーを対象に、100円プラスでパティ(ハンバーグ)が倍になる”倍バーガー”を販売すると発表したのだ。俗に言う「夜マック」のメニューである。

もちろん、その「夜マック」メニューの中には「てりやきマックバーガー」の100円プラス商品も含まれている。つまり、「ダブルテリヤキバーガー」が「夜マック」メニューへレギュラー入りを果たしたのだ。
その名は、「倍てりやきマックバーガー」だ。

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このとき少女は中学2年~3年生。「夜マック」メニューとは言え、17時からの販売であれば、少女にも十分買いに行ける時間である。商品名こそ少女の思い描いた「ダブルテリヤキバーガー」では無かったものの、紛うことなきこれは「ダブルテリヤキバーガー」である。これでいつでも、少女は大好きなテリヤキバーガーのダブルを食べることができるようになったのだ。

いや、少女はもう中学3年生、その成長と夢の実現を祝う意味でも”彼女”と呼ぶとしよう。

今も時折、ある町のマクドナルドの受付レジでは、夕暮れどきに元気な彼女の透き通る声が木霊する。

「倍テリヤキ単品1つ持ち帰りで!」


テリヤキバーガーと少女の夢(完)
テリヤキ少女 外伝:夢の蕾 ※加筆版
テリヤキ少女 外伝:夢の蕾 ※原版 外部出稿(からあげ速報 様)

※使用画像はマクドナルド(公式ページ)の著作物です。
※画像は話中の時期にマクドナルドが広報した当時のものです。
※マクドナルド(企業・店舗)とは一切関係の無い無断記事です。