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東京都知事選挙 同姓同名への投票とは

2020年06月18日に告示日を迎える東京都知事選挙へ向けて、様々な候補者が顔を揃えつつある。そんな中、NHKから国民を守る党 及び ホリエモン新党の代表 立花孝志氏は、自身の立候補とともに”現職 小池百合子東京都知事”と同姓同名の候補者を擁立する考えを示した。

同姓同名の立候補者がいる選挙と言えば、2020年04月に行われた”衆院静岡4区補選”がまだ記憶に新しい。当時の仕掛け人もまた、NHKから国民を守る党の立花孝志氏であった。今回の東京都知事選挙への同姓同名の擁立は、告示日当日まではあくまで予定としているが、本記事では、同姓同名の擁立が実行された際の注意事項などに重点を置き、考察を述べていきたい。

(2020年06月18日 追記)
告示日当日、立花孝志氏が「今回、同姓同名作戦はしません。」と発言し、実現しなかったことを明らかにした。

同姓同名の候補者がいる場合の投票方法

まず、同姓同名の候補者がいた場合の選挙での投票方法を、過去の例で紹介しよう。2020年04月の衆院静岡4区補選では、「無所属 田中健 42才」氏と「N国党 田中健 54才」氏が立候補していたが、所属政党や年齢で区別できる情報を投票時に同時記入するよう、事前に投票所での掲示サンプルの形式が公開され、記入方法の注意喚起がなされた。

▽投票所での掲示サンプル

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「田中健」氏が2名いたので「田中健」氏へ投票する場合、どちらの「田中健」氏への投票かを区別するために「党名」「年齢」のどちらか(両方でも可)を氏名とともに記入する方法となった。

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党名のが空白の人物は無所属という意味である。氏名の下の年齢と、どちらかを氏名とともに記入する必要がある。特に注意すべき点は、党名が空白だからといって”無所属”を記入せずに投票してしまうと、年齢を記入しなかった場合は、どちらかわからない扱いになる。ということであった。

▽投票用紙記入例

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2020年04月の衆院静岡4区補選の場合、投開票日までの間に行政と市民の呼びかけの甲斐もあってか、大きな混乱とはならなかった。

「田中健」のみで投票されてしまった票は、区別不能の票として双方の得票(区別可能票)の割合に応じて振り分けられた。(案分)
2020年04月の衆院静岡4区補選の結果は、下記の別記事で紹介しているので詳しくはそちらをご覧いただきたい。

現職 東京都知事 小池百合子氏との同姓同名

さて、今回の2020年06月18日告示の東京都知事選挙だが、またしてもNHKから国民を守る党 立花孝志氏は同姓同名を擁立する可能性を示唆している。

06月12日に開かれた立花孝志氏の会見では、
確定:NHKから国民を守る党 公認 立花孝志氏(ホリエモン新党推薦)
予定:無所属 小池百合子氏(N国党推薦 ホリエモン新党推薦)
未定:無所属 堀江貴文氏(N国党推薦 ホリエモン新党推薦)
未定:ホリエモン新党 公認 1名(N国党推薦)
以上のようになる予定だと語られた。
※( )内の推薦については詳しくは発表されていないため未確定。

仮に上記の通り立候補がなされたとして、衆院静岡4区補選の同姓同名対策の例を当てはめてみると、下記のようになる。

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13日現在、立花孝志氏が擁立を目指す”小池百合子”氏の情報が無いため年齢が不明であるが、どちらも無所属の予定のため、同い年でない限り(衆院静岡4区補選と同様に)年齢の同時記入が求められるだろう。
また、公職選挙法では、投票用紙に候補者の氏名以外を記入した場合は無効とされているが、”職業・身分・住所・敬称”は例外として認められている。従って「現職都知事 小池百合子」と記入しても有効とされる可能性がある。この件で実際に選挙管理委員会へ問合せ、以下のように回答を得た。

「現在まだ立候補者が全員確定していないので、現時点では何が有効なのか断言はできませんが、仮に同姓同名が立候補したということになったとするならば、年齢・住所・所属団体・政党・職業などの区別できる情報をともに記入していただく必要が出てきますので、”現職都知事 小池百合子”の記入は場合によっては有効になります。しかし、”現職 小池百合子”という記入であった場合は、何の職業の現職なのかまで考慮しなければならず、”現職”だけでは直ちに判別はできないと思われます。」

とのことだ。もし、現職東京都知事の小池百合子氏へ投票したい場合は、「小池百合子 67才」もしくは「現職都知事 小池百合子」と記入することになりそうだ。

念のために申し上げておくが、小池百合子氏以外の候補者へ投票するつもりである場合、同姓同名の判別方法は気にする必要はない。

ホリエモン新党と、NHKから国民を守る党

衆院静岡4区補選に続き、東京都知事選挙でも有権者を混乱させる手段で売名をしようとするN国党 立花孝志氏だが、当の本人や擁立される者たちは「当選する気は無い」とされている。

立花孝志氏は東京都知事選挙への出馬表明をした2020年05月07日、当初はホリエモン新党から出るとしていた。自身の動画で公約を9つも挙げ、意気揚々と東京都知事選挙へ望む構えであった。(詳しくは下記の記事を参照)

その後、何度も会見が開かれ、その度に発言内容が変わり、堀江貴文氏の著書「東京改造計画」が出るやいなや”ホリエモン新党”を設立し、その著書の37の提言を公約として掲げた。さらに、その37の提言を公約にホリエモン新党から東京都知事選挙へ出馬すると語っていたが、06月12日にはN国党から出馬すると発表し、「NHK問題1本にする」と原点回帰を主張した。
そして、当初掲げた9つの公約は、当然のように語られることも無くなってしまったのである。

さらに、堀江貴文氏が「東京改造計画」を東京都への提言として発表した当時、立花孝志氏は「堀江貴文氏が東京都知事選挙にほぼ確実に出馬する」と断言に近いかたちで発言し、その後の堀江貴文氏の発言や動向が公表されるにつれ、「出ないかもしれない」「わからない」と態度が変化していった。

ホリエモン新党は、東京都知事選挙へ出馬するであろう(と思われる)堀江貴文氏と、先の港区長選挙へ立候補した柏井シゲタツ氏(落選)のために設立したとされていた。しかしそれは、N国党と立花孝志氏自身の人気低迷・信用失墜のための苦肉の策であるとの見方が強く、ホリエモン新党は実質N国党だとの指摘も散見され、港区長選挙も振るわずに終えた。

ホリエモン新党からの出馬を取り止めてN国党へ切り替えたのも、他党の動向を見てテレビ出演の機会が増えるためであるとしている。つまり、昨年の2019年07月の参院選から約1年を経過してもなお、まだ売名行為のみを目的とした手法を取り続けているようだ。

現職東京都知事 小池百合子氏の同姓同名作戦も、堀江貴文氏の出馬も、まだ確定されたわけではないため何とも言えない部分が多いのだが、NHKから国民を守る党・ホリエモン新党・立花孝志氏・その関係者たちにとっての東京都知事選挙は、東京都民のための選挙ではないということは断言しても良さそうである。


東京都知事選挙 同姓同名への投票とは(終)
→ ホリエモン新党と東京都知事選挙 ①
→ N国党・立花孝志と東京都知事選挙 ①