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三島由紀夫が憂いた空っぽな日本とは

三島由紀夫の一貫した考えとは何か。
それは「絶対者」(絶対的なもの)の追求こそが人間のあるべき姿だとということだ。
そしてこの絶対者とはここでは天皇のことである。
三島はこの欲求(絶対者に触ようとする欲求)を人間を人間たらしめるもの(エロティズム)だと信じる。
そしてそれが戦後日本では軽視されてきたとし、それを以て戦後日本は「偽善」だと言う。
天皇の神格性(=絶対性)が失われ相対性の時代となり人間主義、合理主義に傾いた。
今の天皇の人気はあくまでも個人的な人気によって保たれているものでいつ崩れてもおかしくはない。
天皇の個人的な人格というものは本来、二次的なものであるべきで、その絶対性、非個人的な性格を「天皇の人間化」で失わせたことが戦後日本の間違いだと指摘する。
そして三島は今後の日本を憂いた。
「このまま行ったら日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済大国が極東の一角に残るのであろう」と。
その後、割腹自殺という三島に言わせると極めて誇り高く、時に自己に勝利をもたらす肉体言語で後世にこの思想を強烈で独特な、匂いや色で遺し続けるのであろう。

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