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滞在日誌 2023/1/7-9(4-6日目)

前回(2022年12月20・21日)から約2週間が経った1月7日より、2023年の滞在がスタートしました。
1月は7 ・8 ・9日と11日の計4日間、額田大志さんが世田谷美術館に滞在しました。
今回の滞在日誌では、一般のお客様も参加した8日(日)と9日(月・祝)に実施したオープンデー「音を観察する」を中心にお伝えします。

1/7 (4日目)

オープンデーの準備

この日が初めての週末滞在だったこともあり、休日の美術館と周辺の様子を見ることができました。お天気も良く、多くの人が砧公園に訪れていました。
オープンデーを翌日に控え、段取りや歩くルートを改めて確認しました。「音を観察する」とはどういうことなのか、参加者の方に実感を持ってもらうためにはどこでどんな話をするのが良いのか、額田さんは美術館や砧公園を歩きながら丁寧に確認していました。

午後は、吉田学芸員やプログラムディレクターの米原と共に、3月の滞在報告会についてアイディアを練っていきました。夕方には日没以降の公園の様子を確認するため、オープンデーの予定ルートを再度歩いてみて、この日の滞在は終了しました。

1/8 (5日目)・1/9 (6日目)

1月オープンデー「音を観察する」の流れ

2日間で計4回、ワークショップ形式で開催しました。企画概要はこちら
当日の流れは、以下のようなものでした。

まずは世田谷美術館の講堂で、目を閉じ耳を澄ませ、どんな音が聞こえてきたかを参加者同士でシェア。例えば空調の音など、意識を向けるだけで、それまで聞こえていなかった音がたくさんあったことに気がつきます。「顕微鏡を通して物を観察してみると、普通の状態では見えないものを見ることができますが、音も同じように、耳を澄ませるとそれまで聞こえていなかった音に気づくことができます。そして、外で鳴く鳥の声やドアの向こうの人の話し声などが聞こえることで、自分が認識する空間がグッと広がるような感覚にもつながっていく。自分はそのことを、とても面白いと感じています。」という説明が額田さんからありました。

次に、美術館内の音を観察していきます。美術館の展示室の音や、1階のエントランスを見下ろすことができる場所から音を観察していきました。その後、それぞれどんな音が聞こえたかをシェアしました。

2階の展示室へ向かう参加者
2階踊り場から、天井に反映する音を聞く

その後、美術館周辺の音を観察します。事前に設定していた砧公園内のあるポイントまで歩きながら、周りにある音に意識を向けていきました。額田さんのガイドの元で、意識を向ける対象を次々と変えていく、という実験も参加者全員で行いました。橋の上では立ち止まり、下を流れる小川のせせらぎに耳を澄ませました。

意識を向ける対象を次々と変えていく
橋の下の音に耳を澄ませる

回によって場所は異なりましたが、その後公園内で一旦解散。各自で気になった音を動画で撮影しながらそれぞれのルートで美術館へ戻り、講堂で再集合しました。講堂に戻った後、それぞれが撮影してきた動画を見せながら、どんな音を見つけたかをシェアしました。

どんな音を見つけたかをシェア

美術館・公園にあった様々な音

1月のオープンデーは、2日間で4回のワークショップを開催し、合計で約20人の方にご参加頂きました。全体を通して印象的だったのは、それぞれの方が意識を向ける音がバラバラだったことで、その多様さに驚きました。講堂や、橋で立ち止まって小川の音に耳を澄ませた時など、自分には全く聞こえていなかった音についてシェアしてくれる方がいる度に、自分の周りにはいかに多くの音が溢れているかに気付きました。

各自で撮ってきた動画を見せ合った際には、自分以外の人がどんな音を聞いていて、何を感じているのかを丁寧に聞かせてもらう機会というのは、実は日常にはあまりないことかもしれないなと思い、自分の身近な人にも聞いてみたくなりました。どの回を通しても、美術館や公園の様々な音に出会うことができました。

滞在期間も半分が過ぎ、ここからは3月5日に予定している滞在報告会へ向けて、額田さんの中で、これまでの思考や体験が次のステップへと展開していく時期になるのではないかと思います。次回の滞在日誌は、額田さんへのミニインタビュー記事として更新する予定です。
滞在中の活動がまた少し角度を変えて動き出すこのタイミングで、これまでの滞在を振り返りながら、今後のアイディアなどについても聞き出すことができたらと思っています。
更新をお楽しみに!

テキスト:武田侑子(NPO法人アートネットワーク・ジャパン)


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