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滞在日誌 2022/12/20-21(2-3日目)

12月20-21日の2日間、額田大志さんが世田谷美術館に滞在しました。
今月から来年3月にかけては、今回のように数日間連続で滞在する予定となっています。滞在初日(11月29日)には、砧公園の音をよく観察しながら、見ているものと聞こえてくる音の関係性についてのリサーチを進めていました。前回の滞在から1ヶ月が経ち、ここからどのようにリサーチが展開していくのでしょうか。

12/20 (2日目)

美術館への道のりを録音

まず額田さんは、公園にいくつかある入り口から美術館までのそれぞれの道のりを歩きながら、音を録音していきました。iPhoneのボイスメモの録音をスタートさせてから、どの入り口からスタートするかを額田さん自身の声で吹き込み、そのまま片手にiPhoneを持って黙々と美術館を目指して歩きます。すれ違うランナーのリズミカルな足音、風を切って過ぎ去っていく自転車の音、すれ違う瞬間だけ聞こえてくる親子の会話など、音に意識を向けながら歩くだけでも、ただ歩いている状態とはまた違うものを感じていることが分かります。そしてどのルートも、最後は世田谷美術館の正面入口に近づくにつれて聞こえる壁泉(関根伸夫《水彫れの滝》)の音、つまり水が流れる音へとたどり着きます。

世田谷美術館の正面口前

お昼を挟んで、全部で7つの公園の入り口から世田谷美術館までのそれぞれの道のりの音を採取しました。その場で自分の耳を澄ませるだけでなく、同時に録音を行なう理由として、機械はその時自分に聞こえていなかった音も拾っているからだそうです。ある対象に意識を向け、その音を観察してみる、というリサーチにおいて、聞こえていなかった音に出合うという体験は非常に意味があることだなと納得。

この日は他にも、館内2階にあるライブラリーにて世田谷美術館開館当時の資料などを読み込んでいたとのこと。額田さんが日増しに世田谷美術館について詳しくなっていきます。

12/21(3日目)

オープンデーのルート設定

額田さんはまず、1月のオープンデーに向けて参加者の皆さんと一緒に歩くルートを決めるため、公園の地図を片手に出掛けていきました。昨日から大体の当たりをつけていたようで、改めてその道のりを歩いて一連の体験を確認をしていたようでした。
1月のオープンデーでは、額田さんが滞在序盤にひとりで取り組んできたリサーチや実験を、参加者の方と一緒に行います。額田さんと一緒に様々な音に耳を澄ませながら、美術館の内外や展示室を巡り、後半は撮影した写真や動画を見ながら、空間や音に対して感じたことを語り合う予定です。このリサーチの向かう先を実際に体験して、一緒に見守っていただけると嬉しいです。

オープンデーの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

鑑賞リーダー・インターンとの交流

午後は世田谷美術館のボランティアである「鑑賞リーダー」の方々へ、このプログラムの概要と額田さんの滞在中の活動についてシェアをする勉強会がありました。

額田さんは、主にバンドと演劇の活動について、ステージで演奏している様子やスコアのような脚本を見せたり、ピアノで音を出したりしながら、丁寧にお話していました。人はなぜ音に感動するのか、という問いを中心に、どうして音に興味があるのか、また何をどの様に表現したいと思っているのか、ということについてお話があり、額田さんの頭の中を覗き見ることができた貴重な機会でした。鑑賞リーダーの皆さんからもたくさん質問が挙がり、良い交流の時間となりました。

勉強会の後、皆さんの懇親会にも参加。世田谷出身、且つ小学校時代に世田谷美術館で美術鑑賞教室を体験したこともあるという額田さんの元には、鑑賞リーダーの方が何人も訪れ、先ほどの勉強会とはまた違った、カジュアルなコミュニケーションの時間となりました。

続いて、世田谷美術館インターンの方々にも、このプログラムについての説明と額田さんの活動についてシェア。

この日は、レジデンスプログラムについてや、額田さんのリサーチについての具体的な部分を少し外に開き、幅広い年代の方と共有できた日でした。なんだか仲間がたくさん増えたような気がして、心強く感じています。今後も引き続き、さまざまの方々からの率直な応答や対話を糧にして、この滞在は少しずつ進んでいくのだろうと思います。

次回の滞在は2023年1月7, 8, 9, 11日の4日間。うち1月8-9日はいよいよオープンデーとなります。
今回の滞在を経て、額田さんのリサーチをさらに外に開くことで、どんな新しいことが見えてくるのか、とても楽しみにしています。

テキスト:武田侑子(NPO法人アートネットワーク・ジャパン)

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