滞在日誌 2023/3/1-3(12-14日目)
11月から始まった世田谷美術館での滞在も、残すところわずかとなった12-14日目の日誌です。3月5日のパフォーマンスに向けて、最終調整を進めていきました。
3/1 (12日目)
鑑賞リーダーを体験
前回の滞在 ( https://note.com/sam_anj_air/n/ne0906680b37c ) で見学した美術鑑賞教室がこの日も実施され、朝から多くの小学生が訪れていました。せっかくの機会ということで、美術館のボランティアである「鑑賞リーダー」の活動を、額田大志さんも体験させてもらうことに。小学生5人のグループを担当し、美術館を案内しました。現在開催中の展覧会や屋外の彫刻作品など、ひとつずつ丁寧に一緒に鑑賞していきます。ある映像作品に差し掛かった時、普段から音楽や演劇を創作しているためか額田さんによる説明がとても的確で、鑑賞のコツを掴むのが難しい映像作品だったにも関わらず小学生たちが集中して見入っていたのが印象的でした。
前回の鑑賞教室見学後にこれをパフォーマンスの一部に組み込みたいというアイディアが出ていたこともあり、自分でも鑑賞リーダーをやってみたことでさらに具体的なイメージにも繋がっていたのかもしれません。
セリフ執筆や細かい調整を続けます
前回の本藤さんとの滞在で組み上がったパフォーマンス全体の構成を元に、額田さんは場面ごとの細かい部分を確認・修正をしていました。地下カフェテラス付近にある壁泉の前で本藤さんが発するセリフも執筆し、前回の滞在で大まかに見えた各シーンのイメージをより具体的なものにしていきます。
額田さん1人でできるところまで進められた後は、砧公園の毎日流れる園内放送で使われている音楽をパフォーマンスの中でも演奏するため、講堂のピアノを使って練習していました。
本番前に本藤さんと過ごせる最後の日となる明日に向けて、2人で確認して決めなくてはいけないことをスタッフと共に洗い出し、明日は盛りだくさんの1日となることを覚悟してこの日は終了しました。
3/2 (13日目)
美術館の音を集める
本藤さんが合流する最後の滞在日でした。まずは最後の講堂でのシーンでカセットレコーダーを使うという、前回の滞在時に出たアイディアを実行するため、2人で美術館内外の音を録音しました。壁泉、砧公園を走るランナーたちの足音、鑑賞教室を終えた小学生たちが遊び回る声、エントランスで聞こえる音、ロッカーを開け閉めする音など、これまでの滞在で印象的だった音を集めていきます。録音方法と講堂での再生方法など、何通りかの組み合わせを試し一番良い方法を決めながら、最終的にどの音を使うのかも同時に選んでいきました。
講堂でのシーンを構成、セリフの確認
音が出揃ったところで、講堂でのシーンの流れを組み立てていきました。お客さんに音を出してもらい、カセットに録音した音をそこにミックスさせていくという大まかな流れを元にして、その場で構成を組み立てていきます。スタッフがお客様の代わりに参加し、タイミングや時間の長さについてフィードバックを聞きながら、音が入るタイミングや照明が変わるタイミングを調整していました。その中で、世田谷美術館の東谷学芸員が「これまで見たことが無かった講堂の姿を見た様に感じられた」と言っていたのが印象的でした。全部で10分ほどの、音への感覚が研ぎ澄まされる不思議な体験ができる時間になったのではないでしょうか。
美術館の閉館時間も迫って辺りが暗くなる中、壁泉前のシーンでのセリフを2人で確認してこの日は終了しました。
3/3 (14日目)
最後の仕上げ!
額田さん1人での滞在となるこの日は、遅めのスタートでした。スタッフも含めた当日の動き、パフォーマンス中の段取りについて全員で確認をしました。世田谷美術館全体を使ったパフォーマンスとなるため、人や物の移動が間に合わないということが無いように、流れを詳細にイメージしながら打ち合わせを進めました。
滞在報告会についても、流れやスライドについて全員で確認して準備万端です。
次回は、パフォーマンスと滞在報告会をレポートします。
お楽しみに!
テキスト:武田侑子(NPO法人アートネットワーク・ジャパン)