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憧れの青い本屋さん

兵庫県の須磨海浜公園駅から徒歩5分のところにある、自由港書店(じゆうこうしょてん)さん。どなたの記事だったか忘れてしまったけれど、FFさんがnoteに書いていたことで知った書店。たぶん1年以上前のこと。
店主の方の記事を拝見して、ずっと行ってみたかった。

普段は大阪で一人暮らしをしていて、実家が兵庫県の私。FFさんの記事を読んだとき、須磨!?と驚いた。あまりにも親近感のある地名だった。アルバイトが終わってから帰省して、日曜日の夜中に大阪に帰る生活で、須磨に行ける日はなかなか来なかった。

その日は、妹の高校の文化祭だった。珍しくオシャレして、妹に髪を編んでもらって、三ノ宮にある高校に行った。三ノ宮に向かう電車の中で(そういえば今日なら須磨行けるじゃん)と思った。文化祭の模擬店を回って、妹の焼いたたこ焼きを食べて、母を誘って須磨海浜公園駅に向かった。

須磨海浜公園駅といえば、スマスイ。もうスマスイじゃないのかな。もういつ誰と訪れたかさえ分からない、スマスイぶりに須磨海浜公園駅に降り立った。

駅からほんまに5分ぐらいの場所。Googleで何度も目にしたお店がそこにあった。いつか行きたいが現実になったことに感動した。

青くて、小さくて、かわいい空間に、これまたかわいい本たちが並んでいた。大事にされてきたのがわかる、愛を感じる空間だった。本屋さんに来たというよりも、本が好きな人のお家にお邪魔している感覚。

僕のマリさんの『いかれた慕情』が平然とそこにいて、びっくりしてしまった。あなた一般的な本屋さんにいないじゃない。うちに来る??
ほかにも、バーコードがないような個人で作られたんだろうなと思われる本や、見覚えのある絵本、詩集が、静かに佇んでいた(ように見えた)

話したい母を差しおいて、一人の世界に没入して、誰を連れて帰ろうかと真剣に悩んだ。誘っておいてそれもどうかと思うけど、まあ娘なんてそんなもん。実は長らく本屋さんに行ってなくて、忙しさのあまり本に触れるのも久しぶりだった。買っても読めないしなぁなんて思うこともなく、ただただ本と向き合うしあわせをかみしめていた。悩みに悩んで3冊をレジに持っていった。

店主の方は丁寧に丁寧に本たちを包みながら、話しかけてくださった。私は(ずっと前から来たかったんです!しあわせです!しあわせ空間を作ってくださってありがとうございます!)と心の中で思いつつ、緊張して声が出なかった。母が「この子がどうしても来たいって言うんで~」と伝えてくれた。

本を受け取るとき
「ありがとうございます、また来ます。」
と言えた。
とんでもなく緊張したけれど、どうしても伝えたかった。また来たいです、また来ます、絶対に。

紙袋を抱えながら、しあわせだった~と呟いた。


実はこのとき、第二志望の企業の最終面接の結果待ちだった。
第三志望は最終で落ちた。
受けたのが月曜日、この日が土曜日、期日は次の金曜日までだった。
2週間猶予があったけれど、落ちたんだろうなと思っていた。連絡が来るなら、受けた週の金曜日までだろうと思ったから。

第一志望から第三志望まで全滅して、残すは2社。どちらも全国転勤のある企業。
残り2社、もし落ちたらどうしよう、受かっても全国転勤か…と不安でおかしくなりそうだった。

でも自由港書店さんに行って、やっぱり私は本が好きだったなと思い出した。
店主の方のnoteも思い出した、確か元会社員だったけれど鬱になってしまって退職されたのだった。

私も4年間うつと一緒に生きている。もし就職活動が上手くいって、大学を卒業できても、治らないかもしれない。休職するかもしれないし、辞めてしまうかもしれない。
その先には絶望しかないように思ってたけど、本屋さんを開くなんてあまりにも素敵すぎる。そこまではできなくても、アルバイトで書店員さんになりたい。本と関わって生きていけるなら希望だと思った。




そして昨日、水曜日。
代数の授業中に友だちからのLINEを返していたら、第二志望の企業からメールが来た。
「採用と内定した」らしい。

就職決まりました。

嬉しい報告ができて嬉しいです。
これにて終戦。

そういえばこの企業さんは私の文章力を高く評価してくださった。
本が好きで良かった。


読んでくださってありがとうございます🌱

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