見出し画像

zoomgalsとギャルズによるりんご音楽祭 その1


 当日の天気は台風の影響で、朝から弱く雨が降っていました。
 私が会場に着いたのが午後12時過ぎ、その頃にはもう小雨とは呼べない本格的な雨が降っていました。レインコートこそ着ていたものの、靴はいつもの真っ白なスニーカーという野外フェス初参加者にありがちな舐めた格好で挑んでしまった事に後悔したところですでに遅し。「暇な時にでも」なんて考えでMacBookを持ってこようとしていたけれど、持って行かなくてお利口、正解だった。
 初めのうちは泥濘で靴を汚さないように慎重に歩いていたものの、どうやっても少しずつ濡れていくし汚れていく始末。こんなつまらないことで悩んでいても仕方がないと悟った私は、あっこゴリラを見にいく前の景気付けにビールを一杯購入。ゆっくり飲んでなんていられません。なにせ雨が降っている中で飲んでいるので急がないと、雨で割ったビアカクテルに勝手に変わってしまうのです。お酒があまり強くない私は、その一杯を一気飲みにならない程度に、ゆっくり且つ豪快に流し込みました。心のガソリンタンクはフルタンクです。
 空になった紙コップを捨て、一瞬そばステージのLicaxxxに浮気してから、足元の泥濘は気にせず、りんごステージのあっこゴリラのところへと向かいました。

土砂降りの中で吹っ切れた

 ライブはすでに始まっていて、雨の中ながらステージ前をびっしりとお客さんたちが埋めていました。私は遅れてきた者の流儀として、ステージ向かって左斜めの隅へ向かいながらシームレスに身体をリズムに預けて見る事にしました。
 こういうと大変申し訳ないのだけれど、あえて前置きさせてもらうと、私はあっこゴリラの楽曲をあまり知りませんでした。たまにJ-WAVEのラジオ番組やポッドキャストを聞くくらいの知識しか持ち合わせていません。しかしそんなことはどうでもいいと言わんばかりの、バンドセットを従えたあっこゴリラのライブパフォーマンスと「雨最高」的なMCを聞いて私は、雨降ってるくらいじゃなきゃ野外フェス来た意味ないよな!むしろ恵みの雨だよ感謝感謝!と心のアクセルを全開に踏み込んで、ここで一気に吹っ切れました。

バナナ1つ1000円

 曲間のMCであっこゴリラが「普段は1500円だけど、いまこの場限定でバナナ1000円!ヤバいこと言ってるのはわかるけど、誰か買うやついる?」とエッグシェイカーならぬバナナシェイカーを手売りし始め流じゃないですか。もうアクセル全開の私は、すぐさま財布から1000円札を取り出し、その手を突き上げるやいなや「あっこー!」と叫んでいました。しかしステージ脇の私の声は届かず、勢いでステージまん前まで行った頃には「フェスって時間タイトだからごめん!」と手売りコーナーは締められてしまいました。虚しく天に掲げられた1000円札は雨でびしょ濡れ。結局直接あっこゴリラから買うことはできなかったけれど、このおかげで私はもう一枚吹っ切れて、ステージ前にもいくことができ、結果的にオーライです。
 続くライブは白熱し、なんと『生きてるだけで状態異常』のあっこゴリラのバースを歌い始めました。もしかしたら毎ライブやっているのかもしれないけれど、この日のりんご音楽祭で歌ってくれた事ということに私は、もしやこれは、あっこゴリラなりのgalちゃんたちへのファンサービスなのでは!? と、とても感動して鳥肌がたってしまいました。
 この後も最後までライブは盛り上がりを見せ、私もしれっと1000円札をポケットに戻し、あっこゴリラの残りのライブを目で耳で身体全体で楽しみました。終盤「マグマ」のコール&レスポンスが行われる頃には袖から雨が入ってくることも厭わないほど、両手をあげて声も出ていました。
 あっという間のあっこゴリラのライブでしたが、楽しいが濃厚に詰まった最高に良い時間を過ごせました。この日の幸先の良さを感じざるを得ませんね。

 ライブ終了後にバナナシェイカーを物販に買いに行ったのは言うまでもありません。こういう時は財布の紐なんかあってないようなものですから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?