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手が届く存在、手が届かない存在~日本一の歌手と地下アイドルにハマって気づいたこと~

去年の夏頃、YOASOBIを聴くようになった。リリースされた曲を一通り聴き漁ったあと、一体この曲をどんな人が歌っているんだと気になった。ikuraって人か。本名は幾田りら、なんか聞いたことあるな、2年前ぐらいに保険会社のCMソング担当してたよな、それにしても、可愛すぎる。歌上手いのはもちろん、顔も性格もタイプすぎる。
そこからikuraが、そしてシンガーソングライター幾田りらが歌っている動画をYouTubeで漁りまくった。インディーズ歌手が音楽を投稿するウェブサイトも訪れた。再生回数が1万にも満たないような、2016年当時16歳の幾田りらがライブハウスで弾き語りを行う映像なんかも見漁った。気づけばアップルミュージックの再生履歴とYouTubeの閲覧履歴は幾田りら関連に染まっていた。

こうして僕は幾田りらの沼へ落ちていった。

そしてこの冬、知り合いの誘いで地元の地下アイドルのライブを観に行く機会があった。今までアイドルにハマったことは無かったが、その地下アイドルは曲がよかった。あと、今まで色んなアーティストのライブ観てきたからガチの地下アイドルのライブってどんなものか気になる、という興味もあった。
何事もなくライブが終わったと思えば、すぐさま特典会なるものが始まった。1000円の特典券を買えば推しとのチェキが撮れるのだそう。アイドルの名前も顔も一致してなかったが、せっかくなので撮ろう。とりあえずライブ見た中で一番タイプだなーと思ったプランクスターズの虹春ぬしとチェキを撮ることにした。列に並び、自分の番がやってくる。目が合う。握手する。一緒にポーズする。1分間喋る。最後にバイバイのハイタッチ。ただただ、楽しかった。うちに帰って、今一度虹春ぬしがどんな人が調べることにした。インスタを見た。可愛すぎる。こんな子と手繋いで一緒に写真撮ったのか。

21年生きてきて、やっとアイドルの良さがわかった。同時に虹春ぬしの沼へ落ちていった。


と、いうことで紆余曲折あって、今の僕には2人の「推し」がいる。
(歌手を「推し」と呼ぶことに否定的な方もいると思うが、僕は推しという言葉を単純に『好きで応援している人』というニュアンスで使っているのでご理解頂きたい)
幾田りらは、押しも押されぬ超国民的人物。日本で一番売れているアーティストであり、日本で一番声を聴かれている歌手である。その存在は、果てしなく大きい。何万光年も離れている超巨星のようなものだ。もちろんファンも多い。アイドル風に言えば、沢山の同担がいる。まさに、手の届かない存在である。しかし、手が届かないほど遠くに離れているからこそ、星は輝いて見えるのである。
虹春ぬしは、広島のライブハウスで地道に活動する地下アイドル。彼女の所属するプランクスターズというグループは地下アイドル界隈では割と有名な部類に入るが、それでも世間の知名度とすればゼロに近い。SNSのフォロワーも1万に満たないほど。しかしその分、売れてほしいからと応援したくなる。存在を身近に感じる。手を伸ばせば届きそうというワクワク感がある。というか、努力すれば手が届いてしまうのである。ライブに行き、1000円の特典券を買えば、喋れるし写真も撮れる。更にプランクスターズはこんなこともしている。5000円で推しと10秒動画、2万円で推しと愛してるゲーム、40万円程を注ぎ込めば推しと4時間デート。なんとも夢がありすぎる。本当に40万近くも貢いだ人がいるのかは定かではないが、理論上は、ルール上は虹春ぬしとデートだって出来る。すごい世界だ。


そんな推し2人について考えていると、ふと昔にネットで読んだ記事を思い出した。細かな文言は忘れたが、こんな内容だった。

その昔、アイドルという存在は、何千人ものオーディションを勝ち抜いた猛者だけがなれる、歌も顔もスタイルも性格も全てが完璧な、近づきがたい存在であった。山口百恵、松田聖子、2000年代で言えば松浦亜弥もそれに近かった。そして、AKB48が出てきてから、アイドルの価値観が180度変わった。アイドルは、近づきがたい存在から、身近な存在になった。CDを買えば、握手券が貰える。ある程度の努力をすれば、アイドルに会えてしまう。このアイドル観の変容は衝撃的だった。

ざっとこんな感じである。
僕にとっての幾田りらと虹春ぬしにも、同じことが言えそうだ。到底手が届かないような高貴で崇高な存在と、身近で親しみやすくて頑張れば手が届いちゃう存在。
幾田りらをどんなに応援しても、多分直接話して好きですと伝える機会には今後恵まれないだろうし、彼女が毎週やってるオールナイトニッポンにメール投稿しても読まれる確率はとてつもなく低い。
プランクスターズの地元ライブは、確実に月に1回、多くて週に一回はある。いくら虹春ぬしが好きだからといって、毎週ライブに足を運ぶのは金銭的に厳しい。そして何より、再三述べている「努力すれば手が届く」という紛れもないリアルが、逆に推し活モチベを削いでいく。今はただ純粋に応援しているだけだが、いわゆるガチ勢の領域に達してしまえば、本当に毎週通い詰めになってしまうだろう。そこまでにはなりたくないなという自制心が働いてしまうのである。
(もちろんガチ勢を批判する気は毛頭ない)

どちらも一長一短である、しかし、どちらかが正解ということは無い。ひとつ言えるのは、どちらの存在においても、推している瞬間はとにかく楽しい。興奮する。嫌なことを忘れられる。幾田りらと虹春ぬしという2人の推しに出会って気づいたことは、がむしゃらに推しという星に向かって手を伸ばせることがどれだけ幸せかということである。これ以上の幸せはない。


その星に手が届くとか届かないとか、そんなことはどうでもいい。手を伸ばす行為そのものに、意味を見出すのだ。


【追記 2022/9/1】

私事ですが、筆者は広島でちょっとしたバンド活動をしています。数ある広島のローカルバンドの中でもかなりの実力実績を持った「RED in BLUE」というバンドがいまして、広島のバンドマンは誰も知ってる。何なら僕のバンド知り合いの知り合いがRED in BLUEのメンバーだったり。
そんなRED in BLUEのギター兼ソングライターの田口悟さん、なんとこの方はこの記事でも取り上げているプランクスターズの、ほぼ全ての楽曲の制作に携わってるプロデューサーみたいな方でして、言ってしまえばズブズブの関係にあります。
そんな田口さんのギター捌きを9月に生で見れる機会を得ました。しかしそれはプランクスターズのイベントではないのです。大元のRED in BLUEのライブでもない。

なななんとYOASOBIなのです。YOASOBIの夏フェスに田口さんがサポートメンバーとして参加しているのです。
田口悟さんというギタリストを通じて、なんとプランクスターズとYOASOBIが繋がってしまうという個人的すぎる奇跡が起きました。

更に更に、9月中旬にYOASOBIも出演するフェス「WILD BUNCH FEST.2022」にプランクスターズが出演することがたった今(2022年8月31日23時00分)決まったのです。
流石に同日とまではいきませんでしたが、それでも僕にとって特別すぎるグループ2組が、同じフェスの舞台に立つのです。こんな奇跡あってたまるかという話ですよね。

と、いうわけでこれからのYOASOBI、プランクスターズ、そしてグッチさん(田口悟さん)及びRED in BLUEの活躍に目が離せません!!!という追記でした。

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