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サロンメンバーの自己紹介(6)

❑ きっかけは「自然への愛着」「地域おこし」

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「将来の夢は何ですか」

小さい頃から大人が頻繁に聞いてくるこの質問が私は苦手です。いつも答えに困ってきました。確かに目標は生きていく上で大切ですが、少ない経験から簡単に将来の夢を確定させ、その一点に向かって真っすぐに進まないといけないのでしょうか。躓いてはならないのでしょうか。大学に入るまで、私は常にレールから外れずに競争の中で生き抜くことばかりを考えてきました。小中学校の部活動、内申点を気にして優等生を演じていた中学生、難関校突破ばかリ重視されて成績競争をさせられる高校3年間などです。何のために高校に進学するのか分からないと親に泣きついたこともありました。

しかし、大学受験は違いました。

社会学を専攻して地域研究をしたいという明確な目標があったからです(紹介が遅くなりましたが文学部社会学専修3年の月見草です💦)。私は田舎の出身です。とても自然が美しく、山菜を採って天ぷらにしたり、初夏にはカエルの大合唱に包まれる場所です(写真参照)。一方で、生活に不便で閉鎖的な土地です。最初は地元が好きではありませんでした。早く抜け出したいと思い、小都会の高校に進学しました。この経験が私を大きく動かしました。そこで見た都会の忙しなさ、人工物の集合体、ゴミの匂いを前に壮絶なショックを受けたのです。そこで、「唯一無二の特別な場所」として交換不可能な地元の素晴らしさに目覚めました。だから、高齢化が進む大好きな地元を持続可能な住みやすい町にしたいと強く思いました。

しかし、この素朴な夢を真剣に話すことに躊躇していました。「みんな」が思い描くようなサクセスに満ちた人生ではないし、真剣に聞いてくれる人がいなかったからです。

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❑ 私は勉強ができない

そのような折に、このサークルのメンバーに出会いました。そこで話した自分の夢を初めて真剣に受け止めてくれました。「すごいね」ではなく、学問的に積みあがった見地から深く議論をしてくれました。1年生の5月初旬に紹介された本*を読み「単純なアイデアによる地域おこしでは成功しない」ことに気が付かされ、本気で地域おこしを考えるならばあらゆる社会問題を包括的に学ぶ必要があると気づかされたのです。

しかし、1年生の時には学術書を読むことも上手くできず、とても劣等感を感じていました。ただ、嫌でも次々に社会問題が自分のこととして降りかかってきてしまい、それに対して何もできない無力な自分に悔しさが芽生えました。例えば、大切な友人がHPVワクチンの副作用に苦しんだり、先輩が医学部入試差別にあったり、原発の実験が地元で行われたり…。「何とかして解決しなければ」という思いが当初の劣等感を吹き飛ばしました。

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❑ 勉めて強いるのではなく、問うて学ぶ

そこで気が付いたのです。今までは「勉強のための勉強」だったということに。みんな勉強ができるから本を読むのではなく、「本を読まざるをえない」のだと。私は現実の社会を見て、問うて学ぶ「学問」を求めて大学に来たのだと。

入口はどこでも良いと思います。知識が無くても、時事問題に詳しくなくても、勉強ができなくても「社会に貢献したい」思いがあれば十分です。サロンは、価値観や世界を大きく開いてくれました。自分がどう生きるべきか、人権とは何かを「概念」ではなく「現実社会の問題・実態」として捉えることができます。それが今の私の様々な行動**に、自分の目で見て考えて判断する力に繋がっています。だから、充実した学生生活を送りたい人に自信をもっておすすめします。

*     岡田知弘(2005)『地域づくりの経済学入門―地域内再投資力論』現代自治選書.https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA72969914#ref
**    性暴力をなくすための活動、気候危機問題に取り組んでいます。

(文学部3年 月見草)

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