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THE SMILE『WALL OF EYES』で思ったあれこれ

 正直に言おう。このアルバムの良さが僕にはわからない。

 というと、 “良くない”という否定的な意味合いにとられるかもしれない。厳密に言うなれば、良いのはわかる。確かに良い。本当に素晴らしい。ただ、何が良いのかがわからないのだ。そう、今の僕にはこの良さを言語化できないのだ。 “良い”という感覚でしかまだわからないのだ。
 
 このアルバムが発表されたその日。SNSなどでは絶賛の言葉で埋め尽くされていた。しかも、自らの分析を連ねている者もちらほら見られた。しかし、そんな簡単に1日程度で理解できるようなアルバムなのか、これは? 単純に僕の解析能力が人より劣っているのか?(まあ、その可能性は十分に考えられるが)もしかして、すごい単純なアルバムなのか?(そんなわけはない!)

 しかし、このアルバムをレディオヘッドというパーツを抜きに、THE SMILEというひとつのバンドのみで語っているものはほとんど見ていない。つまり、そこにあるのはレディオヘッドとの比較論であり、このアルバム単体にて、もしくはTHE SMILEというバンド単体で捉えているものがほんとなかった(これを書いている現在ではいくらでもあるかもしれないが)。
 
 もちろん、レディオヘッドのメンバー(そう、トム・ヨークとジョニー・グリーンウッドという脳みそ二人)がいるから、比較してしまうのはわかる。というか、無意識に、脊髄反射で考えてしまうのもよくわかる。しかし、それでこのアルバムを語ること、答えを導き出すことはできるのだろうか?そんな疑問が頭の中をぐるぐるとめぐっていた。
 
 僕自身はこのアルバムはTHE SMILEの1枚目『A LIGHT FOR ATTRACTING ATTENTION』と比べるべきであって、レディオヘッドの過去の作品と比較するのは何か違う気もする。そう思ったりもしていた。だって、THE SMILEの2ndアルバムなんですもの、当たり前だけれど。

 ウィングスのアルバムを語るときにビートルズのアルバムと比較するか?(うん。するな。)

 ゴリラズの新譜が出たときにブラーの過去のアルバムと比較するか?
(まあ、それもすることはあるか。)

 というか、THE SMILEを語っているつもりが、いつのまにかレディオヘッド語りになってる人もいるのではないか?

 いや、ちょっと待てよ。なぜ、そんな風になってしまうのか?これはもしや、現状活動が停止しているレディオヘッドという存在をさらに増幅させるアルバムになっているからなんじゃないか? そこに流れる音楽はまったく別物であるにも関わらず。どえらく完成度が高く、比較論を鼻で笑うことが出来るくらいの作品なのにも関わらず。

 どうやら、レディオヘッドのこれからを心配している人も多いみたいだ。それはこのアルバムが結果的に “レディオヘッドの不在” をより体感させ、完成度が各々の中にあるレディオヘッドの存在意義を思い切り揺さぶっているいるからなのではないだろうか?

 レディオヘッドがいなくても世界は成り立ってしまう。

 それは、THE SMILEというバンドが本物であるということの証であり、レディオヘッドというバンドがストップしている中で動いている別プロジェクトという立ち位置を大きく超えているということではないだろうか?

 ただ、考えてみてほしい。そんな簡単に消えていくはずはないだろう。レディオヘッドだぞ?  毎回、前作を超えるというか、想像をはるかに超える進化を遂げてしまうバンドだぞ! 突然、予想だにしてない形で作品を投げつけてくるバンドだぞ!

 こんな戯言を連ねている間にもTHE SMILEは先へと進み、レディオヘッドは次なる世界を見定め、水面下でもぞもぞと動いている。。。と思うのは僕だけなのだろうか?

 さて、僕がこのアルバムを聴いてどう思ったかって?

 真っ先に思い浮かんだのが『KID A』を初めて聴いたときのことなんですよねえ。そう、同じ感情が浮かんできたんです。良いのはわかるけど、何が良いのかわからないっていう。
 で、、、、、

 って、お前! お前もレディオヘッドと比較してるじゃないか!


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