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ワイングラス、どう持つのが正解?

先日SNSでワイングラスのボウルを持つか、ステムを持つかという論争?を拝見しました。

ボウル部分を持つのは無粋だとか、そんなことしたらワインの温度変化が、とか、比較的ボウル部分を持つことに対して批判的な意見が多いように見受けられました。

「で、どっちが正しいの?」

という問いかけがありましたが、

「どちらも正しい」

が正解です。

ステム(柄)を持つ

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ステムを持つことの一番のメリット?は「エレガントに見える」です。
ただしこの持ち方、比較的近年の持ち方です。
特に欧米の方はボウル部分を持つのが長らく主流でした。
最近はこちらの持ち方も主流になりつつありますが、今でもボウル部分を持つ方も多いです。

ステムは細く繊細なものなので「モノにも敬意を持ち、大切に丁寧に扱う」というプロトコール・マナーの考え方に基づくと、壊れやすい繊細な部分よりもボウル部分を持つ方が良い、と解釈される場合もありますし、
グラスの歴史を紐解いてみても昔は柄の部分にも装飾が施されていたり、
多角形だったりで物理的に持ち難い/持てないということもありました。

大切なのは「ステムを持つべきだ」とか「ボウルを持つべきだ」などの「べき論」ではなく、どちらにも相応の理由と歴史的背景、そしてその変遷があるのだということ。
それらに理解を示し、どちらか一方を否定するのではなく、どちらも受け入れる。

正解か不正解かでいうとどちらを持っても正解です。

ボウルを持つ

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先日拝見したSNSでは、「本来ワイングラスはステムではなくボウルを持つもの」という意見に対して「ボウル部分を持つなんてエレガントではない!」と断言している方がいらっしゃいました。

しかし、果たしてそうでしょうか。

こちらの画像の持ち方は確かにイマヒトツなのですが、
ちょっとインターネットでエリザベス女王とトランプ大統領の晩餐会のお写真ケンブリッジ公爵夫妻がフルートグラスを手にしているお写真をご覧いただきたいのです。
彼らのグラスの持ち方は、果たして「エレガントではない」と言い切れるものでしょうか?

指先を揃え、ボウルを優しく持つその仕種はエレガントそのものです。

そして、先にも述べた通りワイングラスはその歴史上、ながらく「ボウル部分を持つもの」だったのです。
長い歴史の中で紳士淑女が続けてきた持ち方には当然「ただの鷲掴み」のような無粋な持ち方だけでなく、「指先にまで配慮したエレガントな持ち方」もあったのです。

どんな持ち方でも間違いではない?

どちらも正解ならどんな持ち方でも良いかというと、そうではありません。

NG代表例が二つあります。

一つ目はボウル部分を包み込むように持つ持ち方。

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「え、さっきはボウル部分持ってもいいって言っていたじゃない?」
と思われるかもしれませんが、さすがに手のひらで包み込み温めるようにして飲むのはいただけません。

一昔前まではブランデーはこのように持つのが主流でしたが、最近はブランデーも品質が良くなり、このように手で温める必要もないそうです。

もうひとつはプレートと呼ばれる台の部分を持つこと。

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これはソムリエ/ソムリエールの方々がする持ち方です。
一般の私たちがする持ち方ではありません。
例えるなら、お寿司屋さんでお茶をお願いするときにツウぶって「あがりちょうだい!」と言うようなものです。
業界用語は業界人のためにあるのであり、客が発する言葉ではありません。

ワイングラスのプレートを持って飲む方を時折拝見しますが、お客様としてワインを楽しむときには例えこの持ち方ができたのだとしても、ボウルかステムを持つようにしましょう。



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