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2022.11.16 中国が世界の覇権を握れないワケ

皆さんのご記憶にも新しく残っている通り、10月22日に中国共産党大会が閉会し、習近平総書記の3期目続投が決定しました。

アフリカにまでまたがる中国の巨大経済圏を作り出す一帯一路を押し進め、一極独裁的な力を持ちアメリカにも台湾にも強硬的に見える習氏の続投には、このまま世界が中国に飲み込まれてしまうのではないかと、一抹の不安を覚えている方もいることでしょう。

ですが、私は中国が世界全体の覇権を握ることはないと予測しています。

ということで、今回は、
『パクス・アメリカーナの終焉とパクス・シニカの到来』
というテーマで書いていこうと思います。

最後までお読み頂ければ幸甚です。


近年では盛んに、パクス・アメリカーナの終焉と、それに続くパクス・シニカの到来が叫ばれています。

私たちが今まで経験してきたのがパクス・アメリカーナです。

これは、
『アメリカの軍事力や政治力による支配の下での世界の安定』
ということですが、特に冷戦後に世界を支配した“アメリカの時代”ということです。

これは、人類史上初めて地球規模での支配だったのではないか思います。

このパクス・アメリカーナのアメリカによる世界支配の特長というのは、グローバリズムであり、多国籍企業の活躍であり、それから情報収集や盗聴、そういったものによる人類に対する大量監視であり、さらにメディア支配といえるわけです。

しかし今、この支配体制が徐々に崩れ始めています。

その原因の1つが、イラク戦争とアフガン戦争を長くやってしまったことです。

これは、日本も支持した戦いでもあります。

この戦争がアメリカ人を、アメリカという国を真に疲弊させてしまったと思います。

これによって、アメリカはどんどん覇権を失いつつあります。

そんな今、私たちが目撃しつつあるのが、アメリカに取って代わるチャイナ支配の台頭パクス・シニカです。

来たる中国の支配、パクス・シニカの特徴というのは、アメリカのやり方を真似しつつ、また、そこから技術を盗む形で物理空間のみならず、それ以外のところでの覇権獲得をも狙うのではないかということです。

つまり、サイバーや情報、例えば5Gや6Gの空間、さらには宇宙空間での支配を目論むのではないかということです。

但し、100年後に
「あの時代はパクス・シニカだったね」
と言われる時代はあるかもしれませんが、世界的な覇権には至らないのではないかと私は思っています。

というのも、中国の拡張政策をよく見てみると、その根本の動機が中国自身の生存のためだからです。

軍事力の拡大というのも、
「軍拡をすることによって、食料なり資源なりを自分たちで確保できるようにしよう。他の国からの不当な取引やいろいろな要求に屈することのないようにしよう」
というものなのです。

中国の拡大や支配は、このように自身の生存のためですから、勢力範囲は東アジアから南アジアや中央アジアにかけて、いわば中国にとっての緩衝地帯に留まるのではないかと思っています。

このように述べてしまうと、
「だったら、中国ってそんなに驚異ではないんじゃないの?いや、驚異ではないと坂元は言おうとしているのか?」
と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。

むしろその逆です。

なぜかと言えば、中国の軍隊は、いきなりやって来てワァワァやっているわけではありません。

切実な生存戦略のために、軍事戦力を使って拡張しているのです。

だからこそ強く、かつ怖いのです。

生存戦略もしくは政治的意思のない軍隊というのは、大して怖いものではありません。

一番怖いのは生存に対する欲求、本能を背景にした切実な軍事力の展開なのです。

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