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「不思議な薬箱を開く時」

こんにちは!
「不思議な薬箱を開く時」です。
お薬は、常備品の一つですね。
日本なら、富山の薬売りが、
お薬箱が、空にならないように、
そこはかとなく、売りに来ていたとか。
サリーさんが消化するお薬は、
誰も売りに来てはくれません。
必要なら、自分で製剤するしかありません。
では、お薬箱を開けてみましょう。

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お薬番号・29
「死者に予言をさせる薬」

死者には、潜在意識や、企みもなく、
騙そうなんて悪気もありません。
そんな死者ですから、
あなたが聞きたい未来の情報を
嘘偽りなく、語ってくれるのです。
ヨーロッパでは、見世物小屋で、
眠れる男の大予言!などと称して、
死者のふりをした人間に、
出鱈目を語らせていたそうですが。
この薬の製剤法は、
フランスの中央高地に位置する、
クレルモン=フェランにある、
元薬問屋の倉庫から発見された巻物に記されていたものです。
我楽多の詰まった箱に入っていたそうですが、
金文字の装飾もあり、
なかなか価値のある品と見た倉庫の持ち主が、
大学に寄贈したところ、
世にも不思議な薬の製剤法であったというわけです。
もちろん、学者先生方は、信じてはいないでしょうね。
では、調剤料をご紹介しましょう。

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「死者に予言をさせる薬」処方

ギベルラ・プルクラに寄生されたクモ・・・・・・・・3匹
ボーベリアに感染した蚕・・・・・・・・・・・・・・4匹
ミスルトゥの搾り汁・・・・・・・・・・・・・・・・20㏄
レディス・マントルの葉・・・・・・・・・・・・・・5枚
パッション・フラワーの根汁・・・・・・・・・・・・10㏄
アピラク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g
パイオンの樹液・・・・・・・・・・・・・・・・・・10㏄
ボンビュクス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1匹
アルテミシア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30g

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諸注意
一応、毒素を含む調剤料はありませんが、
ギベルラ・プルクラ、ボーベリア、
つまり、夏虫冬草の菌に寄生された昆虫を探すのは、
なかなかの苦労かと思われます。
表記されている以外の夏虫冬草を間違えないように注意してください。
レディス・マントル、アピラク、アルテミシアは、
しっかりと影干しをしてください。
全ての調剤料は、清涼な水に入れて、
とろ火でゆっくりと、よく煎じ合わせましょう。

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備考欄
未来を予言してほしいなら、
占い師や、予言者にという、
お金さえ払えば何とかなる手段が、
きっと、簡単でいいと思われますが、
先にも書きましたが、
無欲無悪な存在とされる死者が語るからこそ、
価値があるという考え方の元に、
製剤されるお薬です。
ちょっと考えればわかりそうなものですが、
死体は、新鮮なものをお勧めいたします。
腐りかけというのは、
心身共に、衛生面からしても、
あまり、良いものとは言えません。
あと、身内の死体は、厳禁であるという、
但し書きがあったようですので、
あくまでも、血縁のない死体をご使用ください。
理由は、定かではありませんが、
禁止されていることをするのは、
失敗を招く可能性大ですから。
血縁であれ、他人であれ、
死体を運んでくるのは、かなりの骨折りでしょうし、
ここは一つ、お友達と、ご遺体の交換というのは、
いかがでしょう。
まあ、同時に死者が出るという、
奇遇があればの話ですが。

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