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「不思議な薬箱を開く時」

こんにちは、
「不思議な薬箱を開く時」です。
あの人には、いい薬だ。
なんて言い方がありますよね。
たいていが、経験した本人にとっては、
嫌なことだったりします。
薬には、あまりいい印象はありませんね。
痛みや苦しみから救ってくれるのですが、
痛みや苦しみを経験したくないことも確かです。
あなたが薬のお世話になりませんように。
では、今日も、お薬箱を開けてみましょう。

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お薬番号・46

「眠らない薬」

眠れないお薬ではありません。
眠らなくてもいいお薬ですよ。
カフェインとか、カンフル、
興奮剤などではなく、
眠らなくても、平気なお薬なのです。
このお薬は、新大陸に渡った移民が、
新大陸の先住民の伝統薬を
深く研究した結果、完成しました。
アメリカ大陸に渡ったピルグリム・ファーザーズと共に、
メイフラワー号に乗り合わせていた、
ピューリタン教徒の医師であったジェームズ・フォランの成果です。
ジェームズ・フォランは、
フランス人の母と、イギリス人の父との間に生まれましたが、
父親が、熱心なピューリタン教徒であったため、
国教会を強制するジェームズ一世から、
激しい迫害を受けていました。
ピューリタン教徒たちは、迫害から逃れるために、
メイフラワー号に乗り込み、
危険な航海へと出奔したのです。
何もかもが、未知、未開。
しかし、初期の原住民との接触は、
戦闘的なものではなく、
狩りや自然にまったく無知な新参者たちを
そこはかとなく世話をしてくれた上に、
生き抜く知恵を分け与えてくれていたのです。
ジェームズは、医者でしたから、
彼らの自然薬に、とても興味を持ちます。
そして、彼らが不眠不休で獲物を追うことを知りました。
1672年に、ジョン・ジョセリンが、
アメリカ先住民の自然薬の本を出版するまで、
まさに、彼らの医療は知られていませんでした。
先住民たちは、ジェームズをメディシンマンに引き合わせました。
そして、眠らなくても、活力に満ちたまま、
活動できる自然薬の存在を教わったのです。
ジェームズは、ヨーロッパの薬学と、
先住民の知恵を合わせたのです。
この処方箋は、フォランの一族が保管していましたが、
現在は、博物館の所蔵庫に保管されています。
では、調剤料をご紹介しましょう。

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「眠らない薬」処方

ポケルートの実・・・・・・・一掴み
ナガバギシギシ・・・・・・・一掴み
ロベリアの根汁・・・・・・・大匙2杯
ルイヨウボタン・・・・・・・3本
ブラックコホッシュ・・・・・2本
サッサフラス精油・・・・・・・大匙2杯
バッファローの肝油・・・・・・大匙2杯
ガラガラヘビの肝臓の血液・・・小匙一杯

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諸注意
ナガバギシギシ、ルイヨウボタン、ブラックコホッシュは、
よく乾かし、粉末にしてください。
バッファローの肝油、ガラガラヘビの肝臓から絞った血液は、
鮮度が命ですので、採集に時間をかけすぎないようにしましょう。
バッファローは、かなりの体躯ですし、
ガラガラヘビは、周知の猛毒ですので、
狩猟の知識が必要になります。
現地の方、プロのハンターの皆さんに、
よくお話しを聞いてから、実行しましょう。

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備考欄
眠ることが大好きな方もいます。
そんな方には、全くようのないお薬ですが、
一日が、30時間欲しい方や、
何かをずっと観察しつづけていたい方、
何がしかの理由で、命を狙われていらっしゃる方、
眠ることが嫌い!と仰られる方なら、
このお薬は、有効な効果を発揮してくれるでしょう。
実際、病気の症状として、
まったく眠らない、というよりは、
眠ることができない方もいらっしゃいますね。
「一日をすべて、有効に使える」という、
プラスなご意見も述べられていますが、
この病気の症状に対して、
一番のマイナスな副作用は、
「とても、寂しい、孤独を感じる」だそうです。
自分だけが、この世界で起きているような気がする、
その感覚に襲われた時、
どうしようもなく、死にたくなってしまうこともあるとか。
24時間をフルに生きよう!という目的を忘れないように願います。
このお薬を服用いたしますと、
眠くならないだけではなく、
生命力にも満ちあふれるのです。
でも、ふと真夜中の静寂に気が付いた時は、
すぐさま、服用を中止し、
ぐっすりとお休みくださいね。

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